琉球紀行 初めての沖縄旅行

4 国際通り「奇跡の1マイル」

 今回の出張の宿は、宜野湾市のホテルだったのです。台風の中、海岸沿いを走る国道331号線で南部地域を一週した車はなんとか那覇をめざし、そこから国道58号線を北上して、浦添市を通り抜けて宜野湾市に辿り着いたころには、さすがに日の長い南国沖縄でも台風ということもあり、すでに暗くなっていた。強い雨の中、駐車場からホテルに入るのがせいぜいで、この後、楽しみにしていた夕食の外出は諦めざるを得なかった。ホテルのなかのレストランで、明らかに値段の高い料理が相応の味かどうか分からないまま、記念すべき沖縄初日の夕食は終了してしまった。
 沖縄2日目はすぐに夕方になって、夕食はどこで?、とホテルの周囲の観光案内をみても、さほど興味を引きそうなところは載ってなかった。初めての場所だし、みんなで悩んでいたら初日に運転手をしたSが、「どうせだったら国際通りに行くべ。オレが運転すっから。」「Sさん、飲まねのすかー?」とは出張メンバー中、若手のA。「うん、実はネー、オレ通風に罹って医者に2週間酒止められてる」というわけで、Sには悪いが妙な形であの有名な繁華街「国際通り」行きは実現してしまった。
 とりあえず、ホテルを出発して国道58号線を那覇に向かったが、だんだん渋滞が激しくなって、そもそも沖縄で渋滞に出会うこと自体予想外で、しかもこの渋滞、かなり激しくなるのです。しだいに薄暗くなり、カーナビも付いてなかったので、今どのへんにいるのかもわからなくなくなってきた。地図を見ながら覚悟を決めて左折したのですが、後に那覇の道路事情に慣れてから思うと、泊港近くの泊高橋交差点から県道29号線、通称崇元寺通りに入ったらしい。そして一度は国際通りとの交差点を行き過ぎて、国道330号線の安里交差点のあたりで、さすがに地図上の現在地に気が付いたのでした。
 レンタカーをホテル西部オリオンの裏のあたりの駐車場に停め、国際通りをしばらく歩いて目に付いた割と大きい居酒屋に入って、観光客らしくゴーヤーチャンプルーだとかミミガーだのグルクンの唐揚げを注文したように憶えている。飲み物は、10月とはいえ日中30度にもなっていたので、一同ビールが主だった。オリオンビールは軽く癖のある感じはしたが、なかなか評判がよく、帰りに沖縄土産にした者もいたほどだった。それに比べると泡盛は初めてだったせいか、味わいを楽しむまではいかず、あまり上等ではない焼酎という評価で、口に入る量はごく少なかった。何という銘柄だったのかも憶えていない。もっとも居酒屋の名前も忘れてしまったが、2年後に再び訪ねてみたとき、その場所に居酒屋はなかった。このときは、何年後かにはいっぱしの沖縄通になって、泡盛にうんちくをたれる自分を想像することはできなかった。
 居酒屋にいる時間もさほど長くはなかったし、運転手に気兼ねするほどには酔うことなく、ほろ酔いで静かにホテルに帰って2日目は終わった。  続く