石上神宮の天下万物聚類化生大元乃神宝

マルドゥークは魔力ある怪剣で海神ティアマトを切って、天地を分けた。さらにシムトゥを授かったことで、宇宙万物を創造している。万物の創造は、中国の磐古神話・古代インドのプルシャ神話・北欧のユミル神話などにもあるが、これは巨人解体神話であり、象徴物から万物が創造されるのは、石上神宮のフルの御魂の別名の天下万物聚類化生大元乃神宝と、ユダヤ伝承のエベェン・シティア(世界の礎石)によって、全世界が創造されたという聖なる岩の信仰の二つである。

エベェン・シティアはエルサレムのモリヤ山の地下にあり、アブラハムが子のイサクを神の生贄として捧げた時に祭壇として用いた岩で、イスラム教の開祖マホメッドが、この岩から昇天したともされている。この聖なる岩の上には、かってソロモン神殿があった至聖所で、現在はイスラムの岩のドームがそびえ立っていて、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教にとっての絶対的な最高聖地となっている。

石上神宮の由緒書きによると、フルの御魂は、「天璽瑞宝十種(アマツ シルシ ミズノ カンダカラ

トクサ)に籠もる霊妙な御霊威とされ、十種神宝(トクサノカンダカラ)と通称されているが、「天璽(アマツシルシ)」は、マルドゥークが天にシルシを現したり、消したりした、天の璽(シルシ)のことになる。不思議なことに、十種祓いの呪言では、「天下万物聚類化生大元乃神宝」という言葉が唱えられる。これはエルサレムの地下にあるとされている万物が発生したという聖なる岩と共通した思想体系になる。

石上神宮の「石上」と、アブラハムがイサクを岩の上で生贄にした「岩の上」は同じことで、石上神宮の名は、イサクの生贄伝承や、「ヤコブが石の上に頭を乗せて野宿して、天使が梯子を上り下りしていた夢を見たこと」に由来している。

『旧約聖書』でヤコブが野宿して、天使の夢を見て、神と相撲を取って勝ち、イスラエル(神に勝った者)の名をもらったことが書かれているが、「野宿」と「夢を見た」の合成が、「野見宿禰」の名の由来となった。宿禰の「禰」は「先祖」の意味だから、野見宿禰の名は、ヤコブ(イスラエル)を先祖としていることを示す暗号だった。彼は出雲国造の子孫で、菅原氏の祖でもあったから、ますます面白くなる。

日本神道はシュメール・アッカド・バビロニア・イスラエル・インドと明らかにつながっている。またシュメールの神々がインドに渡ってヒンドゥ教の神々になり、仏教に導入されて、須弥山思想(シュメールの生命の木が生えていた原始の崇高な山)となって、シュメールの宇宙観が引き継がれた。『旧約聖書』のエデンの園も生命の木の生えていた所であり、仏教もユダヤ教も元来はシュメール教だったと言えるのだ。

観音経に見える旧約聖書の背景

『観世音菩薩普門品第二十五(観音経)』に、「悲体戒雷震、慈意妙大雲」と書かれている慈意妙大雲は、ユダヤの三種の神器の十戒・マナの壺・アロンの杖の納められている契約の箱から、常に立ち昇って出ていた雲のことで、これが『記紀』神話の国常立神であり、豊雲野神でもあったし、出雲の出雲たる由縁であった。

「悲体戒雷震」は、「悲(あわれみ)の体(姿)である戒めは、雷の震うが如く」の意味で、十戒石に相当する。シナイ山で激しい雷と稲光りがあって、厚い雲が覆い、地震とともに神が出現したことを告げるラッパが鳴り響いたことが、「悲体戒雷震」の真意である。それに続く「慈意妙大雲」は、「慈しみのこころは妙なる大雲の如し」と訳されていて、ユダヤの三種の神器(神の宿る物)から慈しみのこころの現れとして、妙なる豊かな雲が常に湧き立って出ていたことを示している。

「悲体戒雷震」の前に「普明照世間」が書かれ、観世音菩薩が普照(天照)であることを示唆し、観音の妙智力が、ユダヤの三種の神器の威力を示していることになる。観世音菩薩は原語では、アヴァロキティ・シュヴァラであり、この名にはシュメールの金星神イナンナ(イシュタァル)の名の変化の、イシュヴァラが見える。金星神イナンナは六芒星で象徴され、観世音菩薩が六芒星と無縁ではないことがわかる。

観世音菩薩は、『般若心経』の観自在菩薩である。観自在菩薩の原名がアヴァロキティ・シュヴァラの本当の意味で、ヒンドゥ教のシヴァ神の仏教名の大自在天の原名の、マハー・イシュヴァラも金星神イナンナの変化名である。

シヴァ神は右半身が男性で、左半身が女性という男女合体神アルダナーレ・イシュヴァラと言われるのは、観音が自由に男女に身を変えるのと同じであり、『観音経』には観音は自在天イシュヴァラにも、大自在天マハー・イシュヴァラの姿になったりして、教えを説くと書かれていて、金星神イナンナ(イシュタル、イシュヴァラ)が仏教の観音と大自在天になったことがわかる。

男女合体となったシヴァ神の右半身の横には白牛が描かれ、左半身の横には獅子が描かれる。男性である右半身は虎の毛皮を身につけている。シヴァ神も艮の金神であることを示している。

マルドゥークはヒンドゥ教のミトラ・ヴァルナになり、弥勒と水天になった。マルドゥークの持っていた神々の支配のシンボルはシンドゥ(ヒンドゥ)になり、インドラ神となり、帝釈天になった。六芒星で象徴される金星神イナンナがシヴァ神になり、大自在天となり、観音の変化となった。

釈迦と法華経は艮の金神

シュメールの天神アンの子の地水の神エンキの子が、神々の支配のシンボルを授けられたマルドゥークだった。マルドゥークの性格は、契約の神のミトラと宇宙森羅万象の秩序と運行を支配するヴァルナ神に分けられた。ヴァルナは牛角のヴァル神を名の由来にし、ミトラの名は虎を示すことから、ヴァルナ・ミトラも艮の金神であることを示しいる。ミトラ・ヴァルナは本来マルドゥークのことだから、艮の金神はマルドゥークのことになり、金神とは六芒星で象徴される金星神イナンナを示している。

日本神道の「神道」の言霊の由来となったマルドゥークのシムトゥは、シンドゥという言葉になり、ヒンドゥとなって、ヒンドゥ教の発生の元になり、ヒンドゥがインドゥに変化して、シンドゥがシンドゥラーに変化して、インドラ神となった。インドラ神は釈提桓因と漢訳されて、朝鮮半島の檀君桓因となり、子の桓雄の子の王倹が牛頭天王スサノオとなった。スサノオ系譜の出雲の神々は亀甲紋で象徴されているから、マルドゥーク神紋に完全に符合し、インドラ神がマルドゥークと無関係でないことを示している。さらに牛頭天王の牛角が、ヴァルナの名の由来のヴァルの牛角とも符合することで証明される。

さて、釈迦の原名はゴーダマ・ブッダと言う。ブッダは仏陀のことで、ゴーダマは大きな雄牛の意味だった。釈迦が晩年に説いた仏教の最高の教えは、法華経と呼ばれ、『妙法蓮華経』という経典になった。この経典の原名は、『サッダルマ・プンダリーカ・スートラ』と呼ばれ、「サッ・ダルマ(妙法)」、「プンダリーカ(蓮華)」、「スートラ(経)」の意味になる。