逗子ジュニアヨットクラブ

ヨットのしくみ

  右の絵は、セールをヨットの真上から見たものです。
 この絵は飛行機のつばさや、傘のように見えますね。
 風のある日に傘を持っていると、傘が上に持ち上げられるように感じることがあります。
 この力を利用して飛行機は空を飛びます。
 ただし、飛行機は重いので、風の力だけでは浮くことは出来ません。エンジンを使って前に進むことで、つばさの上下に空気の流れ(風)を起こします。
 飛行機が早く飛ぶのは、目的地に早く着くためだけでなく、空に浮くために速さが必要なのです。

 絵の様な形の物の上下を空気が流れると、どうして下から持ち上げる力が生れるのでしょう。
 下は真っ直ぐですが、上は遠回りしなければなりません。だけど、前のはじから後ろのはじにたどりつく時間は下も上も一緒ですから、上の方が早く空気が流れます。

 ここで、実験してみましょう。
紙の端を両手で絵のように持って息を吹きかけます。
 Aのように、紙の裏に息を吹きかけると、紙が吹き上げられるのは分かりますよね。
 次に、紙の端を下唇の下に付けて、Bのように紙の表を強く吹いてみてください。
 紙が上に持ち上がります。

 Bの例では、息を吹くことで紙の表の空気が流れます。でも、裏には息がかかっていないので空気は流れません。
 空気の流れが早い方に引っ張り上げる力、逆に言うと空気の流れの遅い方から押し上げる力が分かりましたか。

 セールには、テルテールという、細い毛糸やリボンが付いています。ある程度ヨットに乗れるようになると、コーチから「テルテールを流しなさい。」と言われます。セールの裏と表にきれいに風を流さないと、この力が出来てこない。つまり、ヨットが走らないからです。

 ヨットには、センターボードという大事な部品があります。センターボードは、ヨットの下に板を突き出し、風でヨットが風下に流れるのを止める働きをします。セールで作られた力のうち、艇を横流れさせようとする力をセンターボードで止めることによって、ヨットは風上にも進むことが出来るのです。

 風上に走るといっても、真っ直ぐ風上に向かっては走れません。この絵は風上に対してヨットが走れる向きを表しています。赤いところは走ることができません。真っ直ぐ風上にある目標には、ジグザグに走ることでたどり着くことができるのです。

 ヨットが風上に走る理由を大まかに説明しました。小学生には難しいお話でしたが、一つだけ覚えてください。自分から見て裏側のテルテールをきれいに流さないと、ヨットはうまく風上に進んでくれません。
 もっと詳しく知りたい人は、ヨットの本を買って勉強してくださいね。

ふろく
セール断面図
紙を使った実験
航行可能範囲

風向

遠回り(早く行かなきゃ間に合わないよ!)

近道(ゆっくり行ってもだいじょうぶ)

スタートラインと風向の傾き

 ヨットレースのスタートラインは、船やブイを結んだ線で示します。
 通常は、風に向かって右側に本部船を配置し、左側はアウターマークと呼ばれる船またはブイを配置します。

 ヨットは、本部船に掲げられる旗による信号を合図に、スタート時刻丁度にラインを切って風上マークに向かっていきます。旗の種類や掲げるタイミングは、別の機会に説明します。

 スタートラインは、風が吹いてくる方向(風向)に対して直角(風向に対して真横のことです。まだ「直角」を習っていない子は、ここで覚えちゃいましょう。)になるように設置しようとしています。

 右の絵を見て下さい。風向に直角に設置したスタートラインであれば、本部線側からスターボードタックでスタートした艇と、アウターマーク側からポートタックでスタートした艇はA地点で出会います。

 ところが、風はいつも同じ方向から吹いていることは少なく、右や左に振れたりするので、風向とスタートラインは直角ではなく、左右どちらかに傾いているのが普通です。

 次の絵を見て下さい。先程と比べて風向が右に傾いています。すると、本部線側からスターボードタックでスタートした艇は、アウターマーク側からポートタックでスタートした艇の前を横切ることができます。このように風向の傾きによって、本部船側と、アウターマーク側でどちらかが有利になります。

風向の振れ角 0度 5度 10度 15度 20度
不利なタック 70.7m 76.6m 81.9m 86.6m 90.6m
有利なタック 70.7m 64.3m 57.4m 50.0m 42.3m
0.0m 12.3m 24.6m 36.6m 48.4m

 海の上でスタートラインと風向の傾きを知るのは難しいことです。方法はいくつかありますが、ここでは省略します。

 現実のレースでは、アウターマーク側が有利であっても、最もアウターマーク寄りからスタートできるのは1艇のみです。あえて皆が集中する側を避ける作戦もあるので、ここでは、スタートラインには有利な側と不利な側があることだけ覚えてください。

出会うまでの距離(スタートラインが100mの場合)

 スタートラインに対する風向の傾きが、どのくらいの差になるか自分の目で確かめてみましょう。

 机の上に画鋲を2本刺してスタートラインとします。三角定規を2本の画鋲にあて、少し傾けて、左右の画鋲から三角定規の頂点までの長さ(AとBの長さ)を比べて下さい。三角定規は小さいのであまり大きな差には見えないかもしれませんが、実際のスタートライン100メートルを、画鋲の間10センチメートルで表しているとして、1センチメートルの差は、OPの場合は約4艇身の差になります。200メートルなら約8艇身です。けっこう大きな差ですね。

 振れ角と帆走距離の差は、パソコンを使えば簡単に計算することが出来ます。小学生には難しいので、次の表で結果だけお見せします。

 もう一つおまけがあります。
 スタートラインと風上マークの位置です。下の絵を見てください。
 左の絵は、風上マークが極端に右にずれていますが、スタートラインと風向は直角です。
皆さんは本部船側とアウターマーク側のどちらが有利だと思いますか。
 一見すると本部船側からスタートした方が風上マークに近いようですが、右の絵を見て下さい。線の長さを比べれば分かるとおり、両方の船が出会う地点までは同じ距離です。つまり、帆走距離だけ考えれば有利不利はありません。
 ただし、現実にはタッキングのスピードロスや、並んで走るとき受ける風の影響等があり一概には言えません。

A地点