・・・・・
さて、八月三十一日付『朝日新聞』オピニオン面に於て、田原総一朗氏が
◆歴史観 自虐でなく正しい認識を
と題して、西暦一九一九年の「ベルサイユ条約」に就いて言及してをりますが、むしろ、西暦一九二八年(昭和三年)八月二十七日調印のケロッグ=ブリアン條約(パリ不戰條約)即ち「戰爭抛棄ニ關スル條約」を擧げた方が、より適切であつたやうに思はれます。
第一條 |
締約國ハ國際紛爭解決ノ爲戰爭ニ訴フルコトヲ非トシ且其ノ相互關係ニ於テ國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭ヲ抛棄スルコトヲ其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ嚴肅ニ宣言ス |
第二條 |
締約國ハ相互間ニ起ルコトアルベキ一切ノ紛爭又ハ紛議ハ其ノ性質又ハ起因ノ如何ヲ問ハズ平和的手段ニ依ルノ外之ガ處理又ハ解決ヲ求メザルコトヲ約ス |
第一條の「其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ」といふ部分が所謂「不戰條約批准問題」を引き起こし、美濃部達吉を含む東大の法學者たちのみならず、どちらかといへば政府には批判的な『朝日新聞』までが、この時ばかりは全面的に政府を擁護したといふのは有名な話ですが、それは兎も角、この條約の以前と以後とでは「侵略戰爭」に對する國際的糾彈の重みがすつかり變はつて仕舞ひ、「侵略戰爭」に對する肯定的な見方が、以來、國際的に通用しなくなつて仕舞つたのです(ロシア近代史の倉持俊一氏の表現を用ゐました)。この事實を知らぬ人がをりましたら教へてあげて、日本國民、皆ンナで知識を共有するやうにしませうね。
尤も、昨年の九月より以降、國際的な對戰爭觀に變容が生じてゐるといふ現實も、之に付記する必要があるやうです。甚だ遺憾なことではありますが。
(平成十四年九月三日 誤字訂正アリ)
本頁新装開設日時 : 2004.04.13.
|