一昨日に増補改訂した、『親王・諸王略傳』 「 孝 [孝顯] 」は、花山源氏の白川兼親(源朝臣兼親。もと孝顕王、白川孝顕)に関する情報の集成を試みたものである。 白川兼親は、「歴史好き」でも殆ど知る人のない、無名の殿上人である。もし、彼の名を知る人がいるとすれば、戦国時代の土佐一条家の歴史に興味があるか、または、白川神祇伯家の系譜に余程興味があるか、のいずれかに限られよう。 ところが、この兼親、いささか気の毒な人物造形ではあるが、数年前にして、既に「東アジアの白川兼親」となっていたのであった。 即ち、現代漢語(中国語)による電網上創作物を収録した「玄幻魔法小説網」(http://www.d123.net/index.htm)中に所載の、「胆小的猫」なる筆名の作者によるSF時代小説、 「征服日本之我為天皇(日本を征服するオレは、天皇になる)」 http://www.d123.net/page/126/12697/index.htm において、兼親は、土佐国高岡郡の蓮池城の城主にして、随分とマヌケな武将として、登場しているのである。 時は2050年、世界の覇権を争う中国が米国と開戦、日本は中国に核兵器攻撃を行い(うぅむ... アリエナイ...)、そのために家族を失った主人公、胡コなる名のチビデブ不細工男(身形矮胖,其貌不揚)が、仇をうつため軍に入り、対日秘密任務にあたり、「中国秘密培養」の「殺手型戦士」と共に性能不安定なタイムマシン(時光旅行機)に乗って「戦前」の日本に行き、中国に核攻撃をかけた日本の首相を殺害しようと計画したが、この「時光計画」は失敗、彼らは十六世紀、戦国時代の弘治三年にタイムスリップしてしまい云々、という主旨であるが、舞台となるは土佐一条家。一条兼定や源康政も登場する。 当該の小説の作者は、2004年8月30日筆の「作品相関 声明」(http://www.d123.net/page/126/12697/2.htm)によると、日本と天皇をゾーオする「憤青」との由。不穏な題名は、要するに「オレたちの夢想」をそのまま表題にしたもの。 小説自体は、第二巻第九章(http://www.d123.net/page/126/12697/48.htm)に至った所で、小説ノ題名ヲ改メヨ、「日本」ノ2文字ヲ用フルコトヲ許サズ、との「勧告」を受け、それを認めることを肯んじなかった作者によって、中断された。この作者、「憤青」としての過激な言動のためであろうか、がーるふれんどを失って、しごとを失って、さらに、心血を注いだ小説さえも失うこととなった、ということである。ケダシヒツゼントイハザルベカラザラン。 が、五年以上の歳月を経て、かつての「胆小的猫」氏には、新しい仕事とシアワセな家庭に恵まれ、そして、このたびの東日本における災禍に心を痛める人となっていれば、と願う次第。 ところで、当該の小説における「外篇 土佐一条小伝」(http://www.d123.net/page/126/12697/42.htm)には、土佐一条家の当主と家臣についての情報がある。これは、ある日本語サイトに載せられていた内容(但し、今では内容が改訂されてしまっている)を、そのまま現代漢語に訳出したものであるが、そこには、
一條家臣,生平不詳。天文13年一條氏攻滅高岡郡的國人大平國興後。成為高岡郡蓮池城主。 白川兼親が蓮池城主になったという事実は、史料上、確認できないことを、念のため指摘しておきたい。 ともかく、日本では限りなく無名である歴史上の人物が、国外の創作物において、きゃらくたー化されたこと自体は、なかなか面白いことであると思う。 (二千十一年五月四日)
本頁更新日時 : 2011.05.22. 本頁開設日時 : 2011.05.13. |