ある夜のお話




ふっと、目が覚める。
腕の中には天使の寝顔。
愛しくなって、少し、きつく抱き締める。

「ん・・・ガウリイ?何、どしたの?」
「あ、悪い、起こしちまったか。」
「・・・・・・」

まだボーっとしたような顔をしている。その隙にさっと唇を奪う。

「な、に・・すんのよ。」

頬がうっすらとピンク色に染まる。それを見るともっと愛しくなってしまって、再びキスをする。
今度は、もっと深く。その身体から力が抜けるまで。

「・・はぁ。あんたねえ、いきなり何考えてんの?」

開放してやると上目遣いに俺をにらむ。

「何って・・リナのことに決まってんだろう?
それにいきなりってわけでもないだろーが。お前さん、ここにこうしているんだから。」
「“ここにこうして”って・・はぁ。」

悪びれずに言うと、ため息をつき、するりとベッドから降りる。

「おい、どこ行くんだよ。」

慌てて声をかける。まずい。怒らせたかな?

「なんだか目冴えちゃった。夜風にでもあたるわ。」

返ってきたのは意外と穏やかな声。それを聞いて安心する。
隣に椅子を持っていって腰掛ける。
右斜め上に目を遣るとさっきの寝顔とはまったく違う、凛とした表情。
・・綺麗だなぁ。
見惚れてしまう。自然に笑みがこぼれてくる。
ここにこうして、二人でいられることが嬉しくて。
二人で有ることが嬉しくて。

「ガウリイ・・・あのさぁ、そんなにじろじろ見ないでくれる?」
「え?」

耳が赤くなっている。

「・・別に照れなくたっていいだろうが。」
「あんたに見られてたら夜風にあたってる意味が無いでしょう?」
「は?」
「だ〜か〜ら〜っ、余計・・身体が熱くなるって言ってんのよ。」

こっちに向けた顔はまるでトマトのように真っ赤だ。
なんだかどうしようもなくなってしまった。
腕をつかんで抱き寄せる。

「ちょっと!ガウリイ?人の話聞いてんの?」

無視。

「あのねえっ、は、早く寝ないと明日起きらんないわよ?いいの?それでもっっ!」

更に無視。
それでも暫くじたばたしていたが、観念したのかおとなしくなる。
胸に触れる身体の温かさを感じ、まどろむ。




少ししてから。
オレにリナを離す気が無いことを悟ったらしく、諦めきった口調でリナがこうつぶやいた。

「・・もう好きなようにしてちょうだい・・・」

言われたとおり、オレは好きなようにさせてもらった。






おしまい





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