素朴な疑問 〜彼女と彼のくらげ談義〜





「ねえ、ガウリイ。
 どうしてそんなにくらげなの?」

ある朝。
いつものように朝食をとり、食後のお茶を飲んでいると、リナがいきなり口を開いた。
「はあ?
 なんだそりゃ。」
ガウリイは呆気に取られる。
「なんだじゃないわよ。
 つくづく思うんだけど、あんたってほんっとにくらげでしょ?
 どうしてなのかなーって。」
至極まじめな顔をして言う。
「どうしてって・・・・別に今始まった事でもないだろうが。
 今更って気がするけどなあ。」
お茶をすすりながらガウリイは答える。
「でも、もしあんたが子どものときからこんな感じだったとしたら、
 あたしと会うまで一人で旅してきたってのが信じられないのよ。
 どう考えても、途中で餓死とかするに違いないのに。
 それにあたしと始めて会った時って、今ほどじゃなかったと思うけど。」
鬱陶しがるガウリイにいらだつように、リナは矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
「そうなると、あたしと会ってからって事になるのよね。
 やっぱり魔族とかと激しい戦いしてるからかしら。」
一人で考えを進めるリナをちらりと見て、ガウリイが呟く。
「・・お前さんのせいだと思うぞ。」
「ええ?
 どーゆーことよ。」
心外だとでも言いたげな表情。
「しょっちゅう魔法でふっ飛ばしてくれてるのは誰だっけ?」
「誰かしら?」
あさっての方向に目をやるリナ。
しかし額をひとすじの汗が伝っている。
「オレの目の前にいるヤ・・」
リナの瞳に宿る怪しげな光に気付き、ガウリイは言いかけた言葉を飲み込む。
「・・・でも、お前さんのせいである事に変わりはないけどな。」
「まだ言うかこの口はっっ!!」
ガウリイの口を左右に引っ張る。
「ひてててっ!
 ひゃ、ひゃめろって!
 しょーゆーひみじゃにゃいっ!!」
ぱっ、と離し、ガウリイの顔を覗き込む。
「どーゆー意味よ。」
不信げな顔。
ガウリイはにっこりと微笑む。
「オレの頭の中がリナで一杯になったせいで、くらげになっちまったんだよ。」
しばしの沈黙。
「・・・何でよ。」
「何でって・・他に何にも入れらんないだろ?」
「じゃなくて!
 どうしてあんたの頭の中があたしで一杯になってんのよ!?」
「言わす気か?」
にやり。
ぼんっという音を立て、リナの顔は真っ赤になった。
「え、遠慮しとくわ!!」
背を向けて逃げ出すリナを見送りながら、ガウリイは苦笑を浮かべていた。




おしまい。



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