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夜。ガウリイの部屋へ行くと、テーブルの上に美味しそうなお菓子がのっていた。 三日月の形をした、この街の名物で、確かキフェルという名前だったような。 「あ、おいしそー♪ もらうわよ?・・あ。」 取ろうとした瞬間、お菓子は入れ物ごとあたしの視界から消えた。 「ちょっと、何するのよ!」 ガウリイに向かって抗議するあたし。 「何するのよ、じゃないだろ? これは俺のなんだから、勝手に食べるなよ。」 「だから『もらうわよ?』って言ったじゃない。 ちょうだいよ。」 手を差し出す、と。 「イヤだ。」 きっぱりと断られてしまった。 「ケチ〜〜っ!1つや2つくらいいいじゃない。」 「イヤなものは、イヤなんだよ。」 ふと思い当たることがあって、あたしはガウリイの顔を見る。 「もしかして昨日のこと、根に持ってるの?」 「・・・・・・・・」 「そりゃ確かに、ニギタケのホイル焼を独り占めにしたのは悪かったかもしれないけど・・ 仕方ないじゃない。一人前しかなかったんだし。」 更に沈黙を続けるガウリイ。 あたしは隙あらばお菓子を取り返そうとしてみるけれど、ガウリイがしっかり腕の中に抱え込んでガードしているので手が出せない。 「あ、じゃあ一昨日入った食堂で、あんたがウェイトレスのお姉さんと話してる隙にエビフライ取ったこと? それとも・・今朝、あんたがなかなか起きてこないから先におすすめのサンドイッチ食べちゃったこととか?」 「少ないと思ったら・・そんなこともしてたのか。」 どうやらこれは気付いていなかったらしい。 ガウリイの瞳にもっと剣呑な光が宿って、あたしは墓穴を掘ってしまったことに気付く。 「そうだなあ・・・・リナ。どうしても欲しいか?」 「だってそれ、この街でしか手に入らなくて、しかも一日50個限定でしょ? 欲しいに決まってるじゃない。」 「じゃあ、俺の頼み1つ聞いてくれるなら、やってもいいぞ。」 「いいわよ?それくらい。だからちょーだい。」 「まず先に、耳貸せよ。」 ちょいちょい、と手招きするので、あたしはガウリイに耳を寄せる。 「今夜一晩、お前さんの身体を自由にしていいんなら、やるよ。」 にこにこ。 いつもと同じ笑顔のガウリイ。 一瞬の沈黙の後。 どかっっ!! あたしのアッパーカットはガウリイに綺麗に直撃した。 「バカな冗談言わないでよ、この変態!! これは罰として没収させてもらうから!!」 お菓子をひったくって、あたしはガウリイの部屋を出ていった。 その後。 ガウリイはこう呟いた、らしい。 「本気なのに・・・」 余計悪いわあっっ! ..end |