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雨の日。 特にすることもなくて、あたしとガウリイは一緒に部屋でのんびりしていた。 「暇ねー。」 「暇だなー。」 二人してベッドの上でごろごろしていると、部屋に備え付けてある鏡が目に入った。 あたしは無言で起きあがってそれに近寄る。 化粧台の上の鏡。 結構大きくて、二人でも楽に使えそうなぐらい。 覗き込むと、見えるのはもちろんいつものあたし。 でも、あともう一つ。 「何やってんだ?」 後ろから掛けられる声。 「面白いものが見える。」 振り返らないまま答えるあたし。 でも、視線はしっかりガウリイを追っている。 「面白いものって、何だ?」 ガウリイも起きあがってこっちにやってくる。 「ガウリイ。」 あたしは振り向いてガウリイに笑い掛ける。 「俺?」 「そ。鏡の中の。」 鏡の中。いつもと違うガウリイが見える。 「左右逆さまになってるでしょ? だから、いつもと違って見える。それがなんだか面白い。」 「そうか? 俺にはいつもと一緒に見えるけど。」 あたしの横からガウリイも鏡を覗く。 「当たり前じゃない。 あんたはいつも見てるんだから。 あたしは、鏡越しにガウリイを見ることなんてそうないから、違って見えるのよ。」 「確かに。 リナは少し違う。」 「でしょ? どっちが綺麗?」 「何だよそれ。」 至近距離からの笑い声。 「少し違うんなら美しさも違うと思うけど。」 「うーん。 この場合どう言っても角が立ちそうな気がするなあ。」 「そう? じゃ、どっちも同じくらい綺麗ってことで。」 「綺麗って言うのもなんか違うような・・」 「あのね。」 「冗談だよ。どっちもめちゃくちゃ綺麗。」 「よろしい。」 「でも俺は。」 「何?」 「こっちのリナの方が好きだな。」 言ってあたしの腰に腕を回す。 「どうして?」 「実物の方がいいに決まってるだろ? 触れられないなんて残酷すぎる。」 「正直ねえ。 そんなこと言うと身体だけが目当てだと思われるわよ?」 「そう思うのか?リナも。」 「そうじゃなかったの?」 しれっと口から出る言葉。 「ひでえなあ。」 苦笑するガウリイ。 吐息が耳にかかってくすぐったい。 「ちょっと、くっつきすぎだってば。」 押しのけようとするけどびくともしない。 「いいだろ?どうせ雨だし、他にやることもないんだし。」 「他にって、何の他によ。」 「この体勢なら一つだろうが。 嫌か?」 「嫌・・のようなそうでもないような。」 「なら嫌じゃないな。」 「そうなの?」 「そうなの。」 「じゃあ、嫌じゃないってことにしてあげる。」 「そりゃどうも。」 ガウリイに抱き寄せられながら鏡を見ると、幸せそうな恋人たちが映っていた。 まあ、そんなこんなで。 雨でも、あたしたちは結構有意義な日を過ごせたのだった。 Fin... |