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「・・・・・・・何?」 気付くと、ガウリイがリナを見ていた。 真夜中。 宿の一室。ベッドの上。 何となく目が覚めて、上体を起こし。リナは闇夜に浮かぶ満月を眺めていた。 どれくらいの間、そうしていたのかは分からないけれど。 ふと横を見ると、ガウリイと目が合った。 「・・別に。ただ、見ていただけ。」 「・・・・そう。」 感情の入っていない声で言ったガウリイに、同じく感情のこもっていない声で返して、リナは視線を月に戻した。 「・・何が見えるって訳でもないのよ。」 ガウリイに向かって言っているのか、それとも独り言なのか。 月を見たまま、どちらにも取れる様子。 「綺麗だから・・淡い光が凄く綺麗だから、ずっと見ていても飽きないの。」 そうつぶやくリナの横顔を、ガウリイはじっと見つめ続ける。 薄明かりが差し込む部屋の中。 青白く照らし出される、リナの姿。 少し寂しくなって、ガウリイはリナに向かって腕を伸ばす。 すがり付くように、細い腰を抱き締める。 「ガウリイ?」 少し慌てた声。でも引き剥がそうとはしない。 落ち着くような気がして、更にしがみつく。 「・・このままで・・いてくれないか。」 「・・・いいけど。」 リナの手がガウリイの髪を梳く。 まるで、母親が幼子をあやすように。 心地よくてガウリイは眼を閉じた。 「・・今夜はやけに甘えるのね。」 「・・・そういう気分なんだよ。」 「保護者が被保護者に甘えるんだ。」 くすくす。 「・・なあ」 「いいんじゃない?そういうのも。 あたしも、保護者役は・・・嫌いじゃないから。一晩くらいなら、交代してあげる。」 抗議しようとしたガウリイを遮るように、リナがやんわりと言った。 月が沈み、眩しい陽の光が部屋に射し込むまで。 ガウリイはリナに抱きつき続け、リナはガウリイの髪を梳き続けた。 END |