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とある町、とある日のお昼時。 とある食堂の中。 リナとガウリイはテーブルにつき、いつもより多少勢いよく食事をとっていた。 「ごちそうさん! よし勝った!」 ぴた。ごっくん。 「っえええ! うそっ、負けちゃった・・・。」 フォークとナイフを両手に持ったまま、口の中のものを飲み込んで愕然とするリナ。 隣では満足げに胸を張るガウリイ。 「やー、結構さくっと食えるもんだなあ、楽勝楽勝。」 結果に納得できないリナは、最後の悪足掻きで疑いの目をガウリイに向ける。 「・・ちょっとアンタ、ホントに10人前きっちり食べたんでしょうねえ?」 「当然だろ? ほら見てみろよ、この皿の数。」 「いち、にい、さん、し、ごお、ろく、しち、はち、きゅう、・・・・・・・・・じゅう。」 リナが数えてみたところ、きっちり10枚テーブルの上に積まれていた。 「リナじゃないんだからごまかしたりする卑怯な手使うわけ無いだろう。 ひでえなあ。」 「うっさい! くう、こうなったらリベンジでもう一戦、今度はケーキセット五人前で勝負よ!」 「ああ、いいぞ。でもどっちにせよここの会計はお前持ちな。」 「・・・・ん、何のことかしら?」 ガウリイの言葉に動きを止めて、明後日の方向を見るリナ。 勿論その額からは一筋の汗が流れ落ちている。 「ランチセット10人前早食い勝負、負けたほうが奢り。 言い出したのはお前さんだぞ、リナ。 まさか忘れたとは言わないよなあ?」 「や、やーね、鳥頭のガウリイじゃないんだから、たった十数分前のこと忘れるわけ無いじゃない。 軽いおちゃめなジョークよ、ジョーク。」 「のわりには目が泳いでるように見えるが・・」 「しっかりすっきりはっきり気の所為だから、心配しないで。」 リナがにっこりと微笑むと、それを見てガウリイも笑顔を返す。 にこにこにこにこ。 「そーかそーか。じゃあ安心した。 それじゃあ食後のデザートとして、リナの奢りでケーキセット5人前勝負と行くか!」 「そーね、ってちょっと待てい!」 「ん?」 「何であたしの奢りになるのかなあ?」 「これもついさっき、お前さんが言ったことだが?」 「それとこれとは別勘定に決まってるでしょーが。」 「『ここの会計』には変わり無いけどなあ。」 「く・・・っ、ガウリイの癖に高等な弁論術を・・・・。」 予想外の切り替えしに思わずダメージを受けるリナ。 「どこら辺が高等なのかは知らんが、そりゃあこれだけリナと一緒にいたら否が応でも・・・」 ぽつり。 「んー? 何か言ったかな?」 「いや何も。」 「・・・まあいいわ。 なら、店を変えれば問題無いわけよね? 隣の店で再戦決定!」 「問題ないというかリナが支払わなくても良くなると言うだけの話だけどな。」 「耳の痛い事実は言わなくて良いから。 ほらほら、とっとと席を立つ!」 余計な一言にこめかみを引きつらせつつガウリイを急きたて、財布を取り出すとそこからいくらかの金額をテーブルに置いて。 「じゃおねーさん、お勘定ここ置いときますから!」 横で二人のやり取りを圧倒されながら眺めていたウェイトレスに声をかけ、ガウリイを引きずりながら出て行った。 そして二人が去った後は、台風の過ぎたような静けさ。 END |