それだけで



日曜の昼間。
場所はN駅の大時計前。
ここで午後1時丁度に、オレはリナと待ち合わせをしている。
もちろんデートをする為だが、今日はそれだけじゃない。
重要な予定があるのだ。
けっこう前に決意していたのだが、なかなか実行に移すことができなかった。
だから。
今日こそ!
今日こそ、リナに・・・
「あ、いた〜!ガウリイーっっ!」
今日、こ、そ・・・
「ごめんね、遅れちゃって。待った?」
「いや、全然。今来たところだよ。」
「そ?ならいいけど。」
今日こそ・・何だっけ?


「どうかした?」
不思議そうな顔をしてオレの顔を見上げてくるリナ。
「へ?何が?」
「さっきから何か考え込んでるみたい。あんたには珍しく。」
「ん〜・・何か、大事なことがあったような気が・・するんだが・・・」
「思い出せないのね?」
「・・ああ。」
「じゃあ大したことじゃないのよ。気にしない気にしない!
 ほら、今日は何処行くの?」
オレの手を引いて、先へ進もうとする。
「あー、今日はな・・」
あ!!思い・・出した!!
「リナ!」
「!?何?」
オレのいきなりの大声に、弾かれたように振り向くリナ。
足を止めて、多少驚いた様子。
驚いた顔も可愛い・・って、そうじゃなくて。
「思い出した。言いたかったことがあったんだ。」
「・・言いたいこと?」
「いやな、お前さんと会う度に言おう言おうといっつも思ってるんだけどさ、リナの顔見るとすぐぱーっと何処かへ飛んで行っちまうんだよなあ。
 それだけで、嬉しくなって幸せになれるもんだから、他の事なんてどーでも良くなって・・
 本当に抜けてるよなあ、オレって。」
おや。何故かリナの顔が赤い。
「恥ずかしいこと言ってないで、さっさと本題言いなさいよ・・何なの?」
「えーっと、・・・これだ、これ。」
オレはごそごそとポケットの中を探って、小箱を取り出す。
「・・何よ。」
「開けてみな。」
リナの手に押しつけると、恐る恐る、といった様子でふたを開ける。
そして、中身を確認すると同時に目を見開いた。
「指・・環・・・・?」
オレを見る。
「ガウリイ?」
「結婚、してくれないか?」
真っ直ぐにリナの目を見ながら、オレはゆっくりとその言葉を口にする。
「絶対に、幸せにするから。」
リナが俯く。何も言わない。
「あ、やっぱ・・唐突だった、か。それとも・・・オレとなんて、嫌か?」
「・・・か。」
もの凄く小さい声で、リナが何か言った。
「へ?」
オレが思わず聞き返すと、顔を上げて。
「なーにが、『幸せにする』よ。この大バカ!!
 あんたなんて、あたしが居なきゃ地獄に堕ちたも同然の生活送るしかないくせに!
 それなのにあたしを幸せにできるなんて・・厚かましいにも程があるわ!」
一気にまくし立てる。
「確かに、そうだなあ・・」
何故だか嬉しくなって、オレは笑う。
この後に何が起こるのか予期しているのかも。
「だから・・だから、」
リナは、言いながら、箱から指輪を取り出して。
左手の薬指に。
「あたしが、あんたを幸せにしたげるわよ!!」
言って、オレに背を向ける。
耳が、真っ赤に染まっている。
オレは足を踏み出して、リナとの距離を無くして、後ろから腕を回して抱き締めた。
「よろしく頼む。」
抑えようとしても、声が笑ってしまう。
「・・あんたも、努力しなさいよ・・・?」
「もちろん。リナのためだからな。」
暫くそうやって、オレはリナの温もりを感じていた。







おまけ。

「ところでさ、ガウリイ。」
「ん?」
「忘れてたって・・やっぱり、指輪のことなの?」
「ああ。」
「・・あんたって、本当に頭の中にヨーグルトが詰まってるのね・・・
 普通、そんな大切なこと忘れたりしないわよ?」
「そう言われてもなあ。
 リナの顔を見て、声を聞いて、そばにいると、嬉しくてしょうがなくって・・さっきも言ったろ?」
「言ったけど!・・はあ。打つ手無しって気がするわ。」
「リナ。」
「何。」
「愛してるよ。」
「・・・・」
「愛してるよ。」
「・・わかってるわよ。」
「今までも、これからも、いつだって、いつも。愛してるよ。」












...end



*いいわけ*
ザ・ブームの歌を聴いていたらどうしても書きたくなりました(笑)
書きたかったのは『おまけ。』におけるガウさんの台詞なので、
プロポーズ云々はそう重要じゃなかったりします(おい)
本歌は「それだけでうれしい」。名曲です!!
歌詞がめちゃくちゃ良いのですよ・・・(TT)

そんなわけで、一万ヒット記念と銘打った小話でした。


苦情、感想、何でもどうぞ♪

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