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朝。 あたしは食事に行こうと、ガウリイの部屋の戸を叩いた。 「ガウリイ、ご飯食べに行こ〜。」 そしてしばし待つ。 間。 返事がない。 もう一度呼ぼうとして、気付く。 そう言えば今日は、別行動をすることになっていた。 あたしは買い物、ガウリイは何か用があったらしい。 昨日、寝るくらいなら邪魔だからついてくるなと言ったところ、じゃあ俺は、とあっさりそう決めてしまった。 ・・だからって、朝ご飯くらい一緒に食べてもいいじゃない。 何となくむかむかしながら、あたしは1人で朝食をとった。 一息ついてから、買い物へ出掛ける。 ・・・何を買うんだっけ。 頭の中で確認作業。 ・・上手く頭が働かない。変なの。 そうしているうちにマジック・ショップに到着して、一応店の中に入って品物を物色してみるけど・・駄目だ。 どれも全然欲しくない。 昨日までは、確かに、何か要ると思っていた物があったのに。 それから、普通のお店にも色々寄ったりして、でも何も買わずにただぶらぶらしていると、教会の鐘が正午を告げた。 「お昼・・また、1人で食べるのか。」 目に付いた適当なお店に入って席に着く。 ウェイトレスさんが注文を取りに来て、あたしはランチセットのBを、何となく食欲もなかったので二人前、頼んだ。 ・・やっぱり何処かおかしい。 一皿目は結構すんなり入ったけど、二皿目がどうも・・・ 徒にマカロニサラダさんをフォークでつついてみたり。 時間をかけて、ゆっくり食べて。 どうにか綺麗に平らげて、お店を出た。 どこへ行こう。もう少し、お店を見て回ろうか。 それとも、宿に帰ろうか。 足取りは重い。 どうしてだろう。 心当たりは。 いつもと違うこと。 ガウリイがいない。 ガウリイがいないから? ガウリイ、が。 ただそれだけなのに? 別れた訳じゃない。 一生会えないなんてことがあるわけがない。 夕方にでもまた、すぐに会える。 なのに何故苦しいんだろう。 隣にガウリイがいない。 顔が見えない。 声が聞こえない。 それだけでどうして、こんなに悲しくなるんだろう。 無意識のうちに、人混みの中にガウリイを探していた自分に気付いて苦笑した。 「・・たく・・・どこ行ったのよあのバカ・・」 呟いて、宿へと向かった。 まだ、あっちも戻っていないかもしれないけど、1人で街を歩いていたくなかった。 宿に着く。 ガウリイはもう先に戻ってきていた。 「よ、リナ。お帰り。」 「・・ただいま。」 いつもと同じように、のほほんとした口調。 「・・・?どうした? なんか、元気ないみたいだぞ?」 「誰の所為よ。」 聞こえないくらいの小さな声で呟いてみる。 「へ?」 「なんでもない。大丈夫だから。」 「・・ならいいが。」 言った後も、ガウリイは視線をあたしから外さない。 「何?なんか付いてる?」 「・・あ、いやそうじゃなくて。買い物・・そう、買い物できたか?」 取って付けたような質問。 なんでガウリイが狼狽えてるんだろ。 「買い物、ねえ。 ・・・欲しい物買えなかったから、明日、あんたつき合ってくれる?」 「え、でも昨日は付いてくるなって・・」 「気が変わったのよ。」 「また寝ちまうかもしれんぞ?」 「努力して起きてればいいでしょう。」 「・・・わかったよ。」 苦笑いをして、あたしの頭を撫でる。 しょうがない奴だなあと言われているようで、子供扱いされているようでちょっと腹が立つけど。 あたしは何故かほっとしていた。 もう、悲しくもなかったし、苦しくもなかった。 だから、そういうことなんだと思った。 やっぱり、何故かは分からないけど。 ガウリイがいないと、あたしは悲しくなるのだ。 ...end |