|
がさごそ、と。 ガウリイを前にしてあたしたちは藪を通り抜けていた。 ・・本来ならば通る必要のない道だったのだが、ちょーっとあたしが悪戯心を起こしたために、こんな所を進むことになってしまたのだ。 「いたっ!」 指先に痛みが走る。見ると、白い手袋に血が滲んでいた。 「どーした?リナ。」 「んー、ちょっとトゲか何か刺さったみたい。 大したことないから大丈夫・・って、何やってんのよ!」 あたしの手を取って手袋を脱がせ、トゲを抜いてくれたのはありがたい。 が。 「何って。消毒。」 「だからって舐めなくてもいいわよ!!こんなの、かすり傷みたいなもんなんだから!!」 「ばい菌が入ったらどうするんだよ。 小さい傷でもそこからじわじわと腐っていっちまうことがあるんだぞ?」 至極もっともだという顔をして、言う。 「じゃあ自分でリカバリイかけるわよ・・言ってる傍から何でまた舐めるかなあんたはっ!!」 「・・念には念を入れないと。」 「もういいって!手、放しなさい!!」 睨んでやると渋々と言った表情で、やっとあたしの手を解放する。 「ったくもう・・・」 ぶつぶつ言ってたら、ガウリイがひょい、とあたしの顔を覗き込んだ。 「なあ、顔赤いけど、なんか悪いもんでも食ったのか?」 「食べてないっ!! いーからさっさと行くわよ!!」 一方的に宣言して、あたしはすたすたと歩き出す。 「なー、何で赤いんだ?」 しつこい。 「赤くなんかなってないわよ。」 ガウリイの顔は見ないようにして言う。 「そーか?俺の目がおかしくなったのかな。」 「そーよ!!」 ちらりと横目で伺うと、にやにや笑うガウリイと目があった。 コイツ・・・絶対にからかって楽しんでる・・ 下手なことを言って墓穴を掘るのは何としてでも避けたいので、あたしは苛立つ気分を抑えようと努力した。 この藪を抜けたら、問答無用でディル・ブランドでも食らわせようと、堅く心に誓いつつ・・・ おしまい。 |