宿に部屋を取り、夕食をとって。もうそろそろ寝る支度でもしようかな、という時に。
トントンと、部屋の扉がノックされた。
「リナ、いるかあ?」
聞き慣れたガウリイの声。
「いるわよー。・・・・どしたの?」
ドアを開けて顔を出す。
宿屋の部屋着に着替えたガウリイがそこにいた。
「月が綺麗だし、散歩でもどうかなと思ってさ。」
「・・・・・・」
「どうした?」
「似合わない・・・・ガウリイがそんな詩人みたいなコトいうなんて。」
あたしの言葉に気を悪くしたのか、憮然とした表情になる。
「いいから、さっさと行くぞ!」
腕を掴まれて、あたしは半ば無理矢理に連れ出された。



そこは小さな街で、街灯もほとんどなくて。
上を見れば、月や他の星たちがきらきらと輝いていた。
ガウリイの言ったとおり、かなり綺麗な満月。
「・・あんたにしては見る目あるじゃない。」
「俺にしては、ってのがかなり余計だぞ。もっと素直に誉められないのかよ。」
ガウリイは苦笑した。


二人並んで夜の街を歩く。
月を眺めながら、あたしは前に誰かから聞いた言葉を思い出した。
「知ってる?お月様って、太陽の光を受けて輝いてるんだって。」
「へえ、そうなのか・・」
言って、ガウリイは空を見上げた。
「俺みたい、だな。」
「え?」
視線を、あたしに戻して。
ガウリイは優しい微笑を浮かべた。
「俺って、月に似てないか?」
「・・どこが?」
一歩踏み出したガウリイの腕が、あたしを攫う。
「太陽がないと、輝けない。」
頭の上から聞こえる声。背中に回された温かい腕。
「ガウ・・・」
「リナがいないと、生きていられない――――――――」
唇に触れる、熱。






さわやかな風が頬を撫ででゆく。
しんとした静けさと、夜の闇が心地よかった。









Fin...



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