水没車が邪魔だ!

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被災地に行き始めたのは4月に入ってすぐ。
燃料が手に入るようになってからです。

最初のうちは、0泊3日の弾丸ボランティアを週に1〜2回。

今は落ち着いてきて、月に2〜3回ぐらいですけど。
これからも、ちょこちょこ来るつもりです。

そう言うと、よく聞かれることがあります。

「どんな活動をしていたんですか?」

当時、たまたま遊びで買ったクレーン付き積載車があったので、それで行ってみたんです。

「セキサイシャ?」

クルマを運ぶトラックです。

クレーンがついてるので、水没車を引っ張ったり、吊り上げたり、運んだり。

……と説明するより、写真を見せたほうが早い。

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「どこのボラセンですか?」←ボランティアセンター

いいえ。
まったくの個人です。

最初のうちは、ボラセンにも行ったんですけどね。

「こういう特殊なのは、ちょっと……」
……とか何とか、受け付けてもらえませんでした。

それどころか、水没車の回収を担当しているセクションや、下請けの会社に取り次いでもくれませんでした。

あ、非難してるわけじゃないです。

あの状況で、誰もが精一杯のことをしていました。
それは実際に現地に行って、いろいろな方と話してみて、よくわかっています。

そうじゃなくて、事実として書き残してるだけ。
次の震災に備えての、教訓として。

クルマの趣味が高じて、クレーン付き積載車を個人で(遊びで)所有している人が、どのぐらいいるのか?
そのうち、被災地に駆けつける人が、どのぐらいいるのか?

けっこう特殊な例だろうな。
……とは、自分でも思いますけど。


で。
ここからは、運転しない人には想像しにくいいかもしれませんけど。

水没車って、重いんですよ。
海水をたっぷり含んだ自動車は予想以上に重いです。

しかも、「ここだと取りにくいかな?」的な、ゲームセンターのUFOキャッチャーみたいな配慮は何もない。
水没車のすぐ隣にトラックを停められるわけじゃないんです。

クレーンって、ブーム(アーム?)の長さを2倍にすると、吊れる重さは半分になるじゃないですか。
3倍に伸ばすと、3分の1じゃないですか。

そうすると、2tのクレーンでも、実際には 600〜700kgぐらいが限界。
変な場所にあると、軽自動車ぐらいが限界なんです。
水没してなくても。

それがあなた、メルセデス・ベンツみたいな、ただでさえ車重2tぐらいの高級車が、たっぷりと海水を含んでるんですよ。

大型車じゃないと吊れないような重い水没車が、大型車が入れないような場所に転がってたり、引っかかってたりするわけです。


で。

クルマが好きな人にとっては、思い入れのある大切な愛車ですけど。
他人にとっては、迷惑きわまりない邪魔な鉄のかたまりなわけですよ。

「お兄さん、これ動かせないかなぁ?」
「こんなところに停められて、邪魔で邪魔で困ってるんだよ」

持ち主も、好きで停めたわけじゃないと思うんですけどね。
いつ取りに来るとか、引き上げるとか、連絡ないんですか?

「それが、何も言ってこないんだよ」

向こうも、大切な愛車がどこに流されたか、探してるんだろうなぁ。

「持ち主が生きてれば、だけどね」

……。

まぁ、とりあえずやってみましょうか。

でも、そんな奥じゃ、届くかどうかギリギリだし。
しかも、かなり重そうだなぁ……

クルマが好きな1人として、他人様の愛車も傷つけたくないし。

「このパン、あげるから」
「頼むよ」


で。

いっぱいまで伸ばしたブームがギシギシと音を立てたり。
ウィーーーーン、ガガガガとか言って、止まったり。
あわててレバーを逆に入れても、動かなかったり。

(ガガガガって、何の音だろ?)

引っ張ってるつもりが、トラックのほうが引っ張られてたり。
トラックが傾いたり。
トラックが動かないようにしたら、ワイヤーが切れたり。

まぁ、いろいろありました。

トラックとか、クレーンとか、ウィンチとか。
その辺についても、だいぶ鍛えられました。


ひとつ、厄介なのは所有権とか財産権というやつ。

自動車の場合は、不動産じゃなくて、動産。
他人が勝手に処分するわけには、いかないんです。

所有者に無断で積載車に積んで、どこかに走り去るわけには、いかない。
それは、刑法で言うところの窃盗罪。

こういう非常事態で、そんなこと言うヤツいるか?……と言う人もいるけど。
大切な愛車を勝手に持ち去られたら、と。
やっぱり、そっちの視点で考えちゃうわけです。

なので。

玄関や店の入口が、出入りできるようにしたり。
商店街の歩道をふさいでるのを、車道に出して、路駐してる形にしたり。
歩道の上でも、せめて、車道と平行に、歩行者や自転車が通れるようにしたり。
動かすといっても、その程度です。

でも、これがえっらい感謝されたんだな。

菓子パンももらっちゃったし。

あ。
たかが菓子パン1個、とバカにしちゃいけませんよ?

現地では、とてもとても貴重な食料の1つでした。
それをくれるってことは、どれだけ喜んでもらえてるか!ってことです。
たぶん。

あとで聞いたら、おにぎりが配られる地域は毎日おにぎりばっかり。
パンが配られる地域は、毎日パンばっかり。
「もう食べたくない!」という気持ちは、あったみたいですね。

水没車については、いろんな話があるんですけど。
今回は、この辺で。


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