こんにゃく物語

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「男はつらいよシリーズ」と「釣りバカ日誌」。
寅さんと、釣りキチ三平。

映画が好きな人に言わせると、日本の映画をダメにしたのは、この2人(2作品)らしいです。

でも、私は寅さんの大ファン。

「尊敬する人は?」と聞かれると、高田屋嘉兵衛、本田宗一郎、車寅次郎。
この3人の名前を、必ず挙げています。

そんな私が選ぶ、ベスト・オブ・寅さん。
全48作の中から、手っ取り早く寅さんの魅力を知るには、次の6作品。

・第1作
・第2作
・第11作
・第15作
★第17作
・第25作

★がついてる第17作が最高傑作だと、私は思ってるんですけどね。

ところが!
被災地でいろんな光景を見て、いろんな方の話を聞いて、ふと思い出した寅さん。
それは、このどれでもない、別の作品だったんです。

それが、寅さんの「こんにゃく物語」です。


昔、あるところに男がいた。

男はある日、この世の者とは思えないほど美しい女と出会い、恋に落ちる。
苦心惨憺の末にようやく口説き落とし、2人はめでたく結婚する。

しかし、2人の幸せは長くは続かない。
やがて女は病に倒れ、あっという間に亡くなってしまう。

男は泣いた。
来る日も来る日も泣き続けた。
3ヶ月が過ぎ、6ヶ月が過ぎても、愛する妻の面影が頭から離れない。

せめてもうひと目だけでも逢いたい!
その一心から、男は妻の墓を掘り返す。
しかし、そこにあったのは、腐り果てた肉の塊だった。

男は人生の無常を感じ、出家して仏門に仕えたという。


被災された皆さんの、津波に襲われた時の話。
つらい話ばかりです。

濁流に溺れながらも、必死で握り続けていた奥さんの手を、つい、離してしまった。
それっきり1ヶ月以上、奥さんと連絡が取れていない。

そんな話が、いっぱいあるじゃないですか。

自動車や漁具の例から考えると、だいたい半径2〜3km。
でも、10km以上離れた沖合いでご遺体が見つかったケースもある。
とてつもなく広範囲、とても自分1人で見つけられるもんじゃない。
それはわかってるけど、でも、探さずにはいられない。

手を離してしまったことを謝って、きちんと弔ってやりたい。
1つでも多くの遺品を手元に残したい。

そういう気持ちから、毎日あちこちを探しまわってる人達のことは、東京でも報道されていました。
現地でも、実際にそういう方をよく見かけました。

こんにちは〜
何を探してるんですか?
……なんて、とても軽々しく声をかけられません。

一緒に探しましょう!と言ったところで、そう簡単に見つかるもんじゃない。
それは、ご本人も承知の上で現場に来てるわけで。

客観的に見れば、ただの瓦礫(がれき)の山、災害ゴミなんだけど。
でも、その1つ1つには所有者がいる。(いた)
奥さんとか旦那さんとか、子どもとか親とか、ご先祖代々からのとか、その1つ1つが大切な品物だった。
……かもしれない。

そう考えると、ガレキを狙った窃盗団なんて、とんでもない話ですよね。

なので。
生きてるだけで丸儲けだよ!とか。
犠牲になった皆さんの分まで、前向きにしっかり生きていこうよ!とか。
1日でも早い復旧や復興のためには、1日でも早いがれきの撤去が必要だよ!とか。
被災してないよそ者が言っても、おそらくダメで。

被災された皆さんの中には、現状のままでもうちょっと時間が必要な人も、いるのかもしれません。


そして。
なぜ、自分だけが生き残ってしまったんだろう?
1人しか生き残れないなら、自分が死にたかった、とか。
あの時に手を離してしまった自分を、生涯ずっと抱えていく。

自分がその立場だったら、はたしてその重みに耐えられるだろうか?
そんなことを考えるたびに、ふと思い出すのが「こんにゃく物語」なんです。

全然ちがうだろ!と言われれば、それまでですけど。
どうしても、この2つがリンクしてしまいます。


ここで、ちょっと聞いてみたいんだけど。

「こんにゃく物語」の作品。
人生の無常を感じた直後、バッタリ出会った美人に、寅さんはまた恋をするの。

これって、どう思う?
寅さんらしくてOK?


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