クルマの趣味が高じて積載車を買うヤツは、かなり珍しい。
そういう興味からなのか、その辺の活動を詳しく知りたいみたいです。
でも……
水没車に関しては、所有権やら財産権やら保険会社やら、あるいは買い取ってくれだとか。
震災直後から時間が経つにつれて、被災された皆さまの考え方も目まぐるしく変化していきました。
「このクルマをこっちに動かしてください」
……というご依頼だけではダメ。
「きちんと所有者のOKももらってます」
……ここを確かめてからじゃないと。
なので、水没車は最近、あまり扱ってないんです。
それと、もう1つ。
水没車を引っ張ったり吊り上げたりしてる画像を載せられない理由。
クレーンの操作、吊り上げがへたくそなのが、バレてしまう……
なので、ちょっと視点を変えまして。
水没車の引き上げをドタキャンされた話を。
各自治体の末端部では、今も人手が足りてない。
現場の職員の皆さんは日夜、ものすごい心労を重ねておられる。
それは、東京や大阪でニュースを見ている皆さんも、ご存知だと思います。
その人手が足りてない部分を、全国から駆けつけたNPO法人や個人ボランティアの皆さんがフォローしている。
そこもご存知だと思います。
「得手に帆あげて」
と言ったのは、本田宗一郎さん。
自治体の長所と短所、個人ボランティアの長所と短所。
お互いの長所、得意分野を活かし合う発想が大切なわけで。
もっと「上」の人達が、個人ボランティアはもう不要だ、来るな!とか言っても、現場では全然たりてない。
あるいは、自治体の末端として働く個人ボランティアは余ってても、自治体を通さない勝手ボランティアはまだまだ足りてない。
わざわざ役所に申し立てるほどじゃないんだけど。
隣近所の手前、うちだけが役所に言うわけにはいかないんだけど。
でも、実はかなり困っている。
そういうニーズに目を向ければ、人手も物資も、全然足りていなかった。
しかし、自治体には全国からの救援物資が山積みになっていた。
「行きたいけど、行けば迷惑になるらしい」
「行っても『うちは募集してません』と門前払いをくらうらしい」
……等々、被災地から遠く離れた街では、貴重な戦力をムダに眠らせてしまった。
その辺の、報道と現実のギャップ。
これも、今回の震災での教訓の1つだと思います。
その辺については、後日また書くとして。
今回は、そういう現場の皆さんからの、水没車のご依頼について。
ある公共施設の室内に、スッポリはまり込んでる軽自動車。
これが、地域での今後のいろんな活動を考える上で、ヒッジョ〜に邪魔らしい。
それに、自動車は4本のタイヤが地面に接してることを前提に作られているから。
寝っころがったり、ひっくり返ったり、逆立ちしてるような状態は、それ自体が地球に優しくない。
冷却水とか、オイルとか、燃料とか、硫酸とかが、流れ出たりもするわけで。
いろんなポーズで散らばってる1台1台を、きちんと4本のタイヤが設置した状態にしていく。
それも、大切だと思うんですけどね。
(海底に沈んだ自動車は、どうするんだろう?)
お役所のレベルで考えれば、まだまだヘリを飛ばして、行方不明者を捜索してる段階。
ひっくり返ってる自動車を起こしてる場合じゃない。
もちろん、それも当たり前のこと。
それで、所有者の方とは連絡ついてるんですか?
「いえ、それが、ご存命かどうかもわからないんです」
所有者に無断で勝手に移動するのは、トラブルの元。
「バンパーのこんなところに傷はついてなかった」
……とか何とか、難癖をつける人もいるんですよ。
傷がどうこう以前に、明らかな水没車なのに。
普通にきちんとお付き合いをして会話すれば、いい人なんでしょうけど。
こういう非常事態で、手持ちの現金も日に日に減っていく一方。
それも仕方ないのかも、ですけど。
勝手に動かしちゃって、いいのかなぁ?
でも、地域の皆さんの公共の施設。
炊き出しその他、今後の支援活動の妨げになる!
とにかく邪魔だ!!
……など、地域の皆さんからの「強い」ご要望があるなら。
この辺の権利関係、責任の所在を明確にしないと動けない。
なかなか面倒なもんですね、世の中って。
次に、こういう非常事態が起きた時に。
こういう面倒も、またくり返されるんでしょうか?
で。
「では、●日の午前中からお願いしますね」
……という話になって。
前夜から東京を出発して、当日の朝、行ってみれば。
「本当にすみません!」
「私たちよりもっと『上』からのひと声で、撤去しちゃいました」
現場の皆さんがいろんなケースを想定して、あちこちに話をして、頭を下げて、段取りを決めてるのに。
「上」からのひと声で、すべてがひっくり返ってしまう。
会社勤めとか、役所勤めの皆さんには、普段からよくあること?
自営業者ってのは、1人1人が、その「もっと上」なわけで。
どうにも納得しがたい、組織の論理ってやつですか?
その判断をした人と話をさせてください、とか。
この件について責任を取れる人と、最初から直接、話をさせてくださいよ、とか。
いえ、そういうのはできないんです、とか。
そうやっていくつもの銀行や保険会社とケンカ別れしてきた私には、納得できません。
でも。
こういう状況で、そんなこと言ってる場合じゃないですよね。
その場所は、もう水没車には困ってない。
そして、所有者の方は、ご存命だった。
それだけで十分ですよ。
……と、にっこり笑顔で退散するのでした。
……というわけで。
現場の人達が一生懸命にやってることが、「上」からのひと言でひっくり返される。
そういうムダは、あちこちで頻繁に起きていたみたいです。
組織での活動にも長所がある以上、仕方ないんでしょうけど。
組織のリーダーが、いつまで経っても決断できなかったり。
指示が二転三転したり。
責任逃れのための保全が、被災された人達よりも大切だったり。
そういう例が、ものすごく目につくじゃないですか。
いや、どこか特定の自治体とか、特定の国の政府じゃなくて、一般論として。
あくまでも一般論ですけど。
たぶん。
震災が発生した時に、忘れてはいけない教訓。
組織の末端、手足となって働く個人ボランティアとして、自治体に志願する人達も、もちろん大量に必要。
だけど、自治体に上がってこない、草の根レベルのニーズに対応する勝手ボランティアも大量に必要。
(特に震災直後)
とにかく、現地に駆けつけてみる。
そして……
あなたは間違ってるとか、言ってることとやってることが違うとか。
自分が納得できないとか、ムカつくとか。
俺の顔が立たないとか。
そんなのは全部、あと回し。
ドタキャンされても、にっこり笑顔で対応。
こうやって、あとから書きましょう。
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2012.-2.-8 Wed 22:00 from 東京
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