レクイエム

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◆レクイエム (Requiem)
鎮魂歌、死者を追悼する音楽。

3月に東京で開催されるはずだった、フィギュアスケートの世界選手権。
東日本大震災で1ヶ月ちょっと延期されて、4月下旬にモスクワ(ロシア)で開催されました。

タイトルを見ただけで、笑ってる人達がいると思うけど。
でも、フジテレビの放送は、あまりにもひどかった。

フジテレビでしか見てない人には、さっぱり伝わってないのでは?
フジテレビの放送さえ観られなかった被災地の皆さんには、正しく伝わったんだろうか?

……と、そこを一番に考えて、やっぱり書き残します。


できるだけ簡単に説明してみますけど。

フィギュアスケートは、秋から春までの半年間が1シーズン。
その1シーズンの締めくくりとしての最後の大会が、春の世界選手権。

日本の今年の出場枠、女子は3人。
それは、クリスマスに開催された全日本選手権で決まります。

「過去の実績を考慮しての」とか何とか、引退した人間や外部の人間が介入しない、予め期日を決めての一発勝負。
そういう決め方が定着しつつあるようで、とてもいいことだと思います。

ところが!

独占放映権を買ったフジテレビは、大会前から「特定の日本人選手vs特定の韓国人選手」という構図での報道ばかり。
あるいは、優勝候補として報道するのは、特定の韓国の選手ばかり。

スポンサー・マネーなのか、何なのか?
昨シーズンまでの古い構図に縛られていて、客観的な報道をしない。

今シーズンの全選手の全演技の録画をチェックすれば、優勝候補として扱うべき日本人選手は誰なのか、明らかなのに。
そんなことするまでもなく、もうわかってるはずなのに。

特定の選手だけを応援する専門チャンネルなら、どうぞご自由に、ですけど。
独占放映権を買っておいて、これ?

ひと昔ふた昔前なら、いざ知らず。
ネットの時代になってもそんなことやってるから、「これだからマスコミは」と言われるんですよ。

……と。
元々、その辺に不満は感じていました。

でも、そのぐらいならいいんですよ。
あまりマニアックなことを書くと、オタクだと思われちゃうし。


初日(前半?)のSP、ショート・プログラムの結果が出てすぐ、Twitterでつぶやきました。

【初日SP】
1位 キムヨナ 32.97 + 32.94 = 65.91
2位 安藤美姫 34.20 + 31.38 = 65.58
(技術点+演技構成点)

ところが。
それでもなお、昨シーズンまでの古い構図に縛られてるマスコミが多かった。

ここまでくると、もう、笑っちゃいます。

政権政党とマスコミによる情報操作は、相変わらず。
だからこそ、これからは個人によるインターネットの時代だね!
……と、この時点では軽く考えていたんですけどね。


びっくりしたのは翌日、FS(フリー・スケーティング)の結果が出てからです。

【最終結果】
1位 安藤美姫 +130.21 = 195.79
2位 キムヨナ +128.59 = 194.50

事実上の優勝候補2人のスコアが出て、残り3人。
その時点で、「最終結果」の速報が次々と、ケータイに届き始めたんです。

え?
なんで?
これ、生中継じゃなかったの?


大震災による延期と、遠く離れたロシアでの開催。
ロシア側はそこを考慮して、日本のゴールデンタイムに合わせて開催してくれたんです。

しかも、開催式では日本の被災地を応援する演出。
フィナーレも日本人選手たちを中心に、みんなで日の丸を描くパフォーマンス。

たった1ヶ月での開催と、これだけの演出。
ロシアの皆さんには、ただただ、感謝するだけ。
頭が下がります。

競技としてのフィギュアスケートでは、ヴォーカル(歌)の入った曲は使用禁止。

それを承知で、敢えて歌の入った曲を使った選手もいました。
被災した日本の人達への、応援の気持ちを込めて。

苦労の末に手に入れた、世界選手権の切符。
その夢の舞台で、勝負よりも優先したいことがあった。

「ヴォーカル入りは使用禁止ですよ」
「減点になっちゃうのに、どうしてでしょう?」

私たち日本人(報道する人間)がそんなこと言っちゃ、ダメでしょ。

「ありがとう」でしょ?

さらに!

競技が終わった翌日、日曜はノンタイトルのエキシビション。

たくさんの選手が、日本を励ますメッセージを出し、そういう祈りを込めて演技をした。
ロシアのスケート連盟は、「日本に捧げる詩」なるメッセージも出した。

フジテレビは、それらをすべて無視。

前日までのハイライト映像を延々としつこく無駄にくり返していました。
特定の韓国選手の特集も流していました。

しかも、肝心の演技は約15分遅れの録画で。


それだけじゃないですよ。


最終日のエキシビション、優勝した安藤美姫選手は当然、「レクイエム」だと思ったんです。
ところが、ちがった。
とても意外だったし、不可解でもありました。

ところが!
満場の拍手を受けての、アンコールで「レクイエム」。


今までのフィギュアスケートで、私の心に響いてきた演技は、3つ。

1つは、トリノで金メダルを決めた時の、荒川静香選手。
もう1つは、一昨年の全日本での、中野友加里選手の「火の鳥」。
そして、同じ一昨年の全日本での、鈴木明子選手の「ウエスト・サイド・ストーリー」。

ジャンプとか個々の技術で、この3人(と美姫ちゃん)を上回る選手は、他にいるけど。
でも、演技の全体を通して心に響いてきて、今でも(これからも)ずっと記憶に残っているのは、この3つだけ。
……と、思っていたんだけど。

この3つを上回る内容でした。

賞金とか、お金をぽんと寄付して、あとは自分たちでやってね。
……というのも、それはそれで確かに尊い志なんだけど。

フィギュアスケート選手にしかできない、とても心のこもった演技。
もしかしたら、彼女の選手生活で一番の最高傑作になったかも。
……と、数年来のファンが感動してしまったほどの、名演技を。

「放送延長」という不可解な扱いで、録画できなかった人がたくさんいたらしい。

競技会じゃなくて、ノンタイトルのエキシビション。
それが、なぜ放送延長という扱いなの?

答:不要なハイライト映像や特集映像に時間を使い過ぎたから


まだあるよ。

女子で優勝した安藤美姫選手は、ロシア語で感謝の気持ちを伝え、英語で日本の現状を伝えました。

マスコミの過熱ぶりに、「私はスケートが好きで滑ってるだけなのに」と困惑していたスケート娘が、「1人でも多くの人に笑顔を」とか「日本のために」と言うようになった。
そんな重圧の中でもきちんと結果を出して、日本を代表して世界にお礼を言うまでになった。

それも、フジテレビは伝えませんでした。


20年以上かけて、フジテレビは日本にF1を定着させてくれた。
そこは誰もが認めるところです。

ところが、フィギュアスケートに関しては、そういうビジョンが無いらしい。

余計な演出は不要、過去のハイライト映像をムダにくり返す必要もない。
スタジオからの、ゲストとの会話も不要。

スポーツ中継におけるテレビの価値は、ハイビジョン映像とスローモーション再生。
余計な演出など試みず、生中継さえしてくれれば、それでいい。

インターネットでリアルタイムに結果を知ることのできる時代。
それが、テレビに求められている役割(の1つ)だと思うのですが。

フジテレビに文句を言うだけじゃ、ダメですよね。
ああいう報道にお金を出した、スポンサー各社にも文句を言わないと。

協賛各社の名前をここに書いても、被災地の皆さんは喜ばない。
……と思うので、ここでは自粛しておきますが。


被災地では、強制的に派遣された無気力ボランティア達があちこちで問題を起こしてる、といった話を伝え聞く一方で。

遠く離れたロシアからは、人並み外れた強い感受性に恵まれたスケート選手たちによる、心からの思いを込めたメッセージの数々。

そして、それらをリアルタイムで日本に届けなくちゃ!
……と、たった1ヶ月できっちり準備を整えてくださった、ロシアのスケート連盟や、スポンサー各社、関係各位の皆さんの努力。

そういう気持ちが、被災地にはまったく届かなかったのでは?
……と、強い不満を感じたので、書いてみました。


エキシビションでの世界女王の「レクイエム」を筆頭に。
2011年のフィギュアスケート世界選手権は、あなたの心に響きましたか?

今回の震災で心を痛めてる皆さんに、届いたでしょうか?

震災の翌月じゃ、テレビはおろか、電気さえ無かったはずだけど。
その後、(フジテレビ以外の)映像は入手できましたか?


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