個人ボランティアさんの故障とか

現在地:HP東日本大震災→ここ

前回の「利点もあるよ」でもちょっと書いた、個人ボランティアさんのクルマのトラブル。
これが、ちょこちょこと聞くんですよ。

たとえば……
どこそこの周辺にガソリンスタンドはありませんか?とか。
地元の方に燃料を分けていただきました、とか。
絵に描いたような迷惑ボランティアですね、とか。
こんなアホなツイート、もうイヤ!とか。

助けに来たはずなのに、助けてもらってどうするの?とか。
甘やかすな、ほっとけ!とか。

特定の個人攻撃をする意図はないから、1つ1つの詳細は書かないけど。

ガス欠、パンク、脱輪、居眠り運転、事故、その他。
恥ずかしいから伏せてるだけで、実はけっこう頻繁に発生していたらしい。


でも。
私としては、そういう人達を非難したり、批判するつもりはありません。

みんなそれぞれ、自分の仕事を抱えながらの、自宅と被災地とを往復する生活。

仕事が終わって夜通し、朝までに被災地にとなれば、居眠り運転だってするでしょう。
がれきの中を走りまわっていれば、パンクだってするでしょう。
不慣れな肉体労働で疲れ果てれば、思わぬところで脱輪もするでしょう。

そういうのは恥ずかしいこと。
……と、個人ボランティアさん同士で罵倒するのは、いいと思います。
自分を戒める意味でも。

でも。
それを他人がどうこう言うのは、違うと思うんです。

「ご苦労さまです」
「お身体は大丈夫でしたか?」
……でしょ?


で、気がついた。

水没車や水没バイクを吊り上げます、とか。
プレハブ小屋、発電機、投光機、冷蔵庫や洗濯機も運びますよ、とか。
東京の銀座郵便局の私書箱まで送っていただければ、皆さまからの支援が届きにくい地域に直送しますよ、とか。
……の、直接的なボランティア活動だけでなく。

せっかくの、クレーン付き積載車。
個人ボランティアさんのクルマがトラブってしまった時に、助けに行く。
そういう後方支援のニーズも、あるはずだな、と。

実際問題として、何もかもが大津波に流されてしまったわけで。
ガソリンスタンドが、これからようやく営業を再開できるかも、という状況。

そして、工具とか機材を買い揃えたら、中古でも1〜2千万円はかかってしまうのが、修理屋さん。
積載車とかレッカー車だって、軽トラックや乗用車の値段じゃ買えないわけで。

さらに、「これじゃぁ迷惑ボランティアだ、恥ずかしい」という、ご本人の気持ちもある。

もう1つ。
全国から駆けつけた個人ボランティアさんの誰もが、クルマに詳しいわけじゃない。

スペアタイヤの交換とか、ブースターケーブルでのジャンピングとか。
ディーゼル車のガス欠なら、エア抜きとか。

そんな勉強をするために被災地に来たわけじゃないでしょ?

被災地を大学に例えるなら、全国から駆けつけた個人ボランティアはみんなが大学生。
そして、たくさんいる同期生の中で、私は自動車部。
クルマで困った時は相談してよ、と。

あまり深刻な相談をされても、困るんだけど。

地元の修理屋さん達の本格的な営業再開まで、まだ時間がかかりそうな現在。
よそ者がウロチョロして、個人ボランティアさんの故障車に対応する。
これは、悪いことじゃないだろう。
……と、思ったのさ。


ここで問題になるのは、金額です。

自分の生活や収入や貯金を犠牲にしながら、はるばる被災地までやって来ている個人ボランティア同士。
私としては、無料でサポートしたいところなんですが。

「甘やかすな!」
「ほっとけ!」
「思い切りぼったくって反省させろ!」
……などの声も、少なくないんです。

(特にガス欠)

それなら、相場よりもちょっと安いぐらいで、とも考えたんですが。
これは、被災された地元の業者さんや、近隣の業者さん達の営業妨害になる。
少しでも経済を回さなくちゃ!という意味で、よくない。
……というご意見もいただきました。

そして、トラックはお金がかかるという現実。

タイヤは大きいし、バッテリーは2個だし、オイルも量が多い。
電動ウィンチのモーターはともかく、ワイヤーは消耗品。
クレーンのワイヤーも何回も切ってるし、油圧系はメンテナンスが必要だし。
最後にトラックがつぶれた時に買い換えるための、積み立ても必要だし。
……と、計算してみると。

やっぱり、1台5万円とか6万円はいただかないと、ペイしない。
儲からないという意味ではなく、そのぐらいのコストがかかっている。

無料であっちこっち、皆さんを助けて回ることはできるけど。
そうすると、トラックが壊れた時点で終了。
さようなら、となる。

末長く続けることが、できないわけです。


ここで思い出すのは、ガソリンスタンド。
全国あちこち、地方では、ガソリンスタンドの閉鎖が問題になってますよね。

給油所の地面の下に埋めてある、大きな燃料タンク。
これが最近、次々と寿命を迎えていて。
交換するのに、およそ2千万円。
これを負担できず、廃業する給油所が相次いでいる。

ガソリンを入れるためだけに、隣の町のさらに隣の町まで行かなくちゃ、とか。

そんな話は聞いたことあります?

約40年後には、2千万円ぐらいの費用がかかる。
地域の給油所として末長く続けていくためには、この分は削っちゃいけなかった。
積み立てておくべきだった、と。

あとから他人が言っても、結果論なんですけどね。

これは、皆さんの乗用車についても同じ。
トラックについても同じこと。
クレーンなどの装備がついていれば当然、それだけコストはかかるわけです。


で。
いわゆる相場よりも、高い金額を取ったほうがいい。
そんなご意見もいただきました。

理由の1つは、地元の業者さん達の仕事を奪わないため。
恥ずかしくない範囲で、地元の業者さんを利用してもらうべきだ、と。

理由のもう1つは、そんなにお金がかかるの?!という、抑止力。
……だそうです。笑


たとえば、パンクとか脱輪とか、ガス欠とか。
出動1回につき1万円。
その場で解決できず、積載車に積み込んで運んだら7万円。

え?
ボランティアなのに、お金を取るの?
……と言う人もいる。

高いなぁ……
ぼったくりじゃん?
……と言う人もいる。

だからと言って、5万円にディスカウントすると。

え?
ボランティアなのに、地元の業者さんの仕事を奪うの?
……と言う人もいる。

値段を安くすれば親切に見えるけど、それで続けられなくなったんじゃ意味がない。
むしろ、それで撤退するなら無責任とも言える。
末永く続けられるように、きちんと請求するべきだ。
……と言う人もいる。

人それぞれ、いろんな意見があるもんですね。

ぼったくるつもりは、ないんです。
むしろ、できるだけ安く対応したい。
でも、地元の業者さんを困らせたのでは、私自身が迷惑ボランティア。

ご意見の1つ1つを拝聴しながら、ちょっと考えてます。


とりあえず……
次回からは、ガソリン缶も積んでいこう。

迷惑ボランティア!
……と、後ろ指をさされる前に、こっそり呼んでくださいね。

大丈夫。
秘密は守ります。


……と。
そんな時期もありました。

今になって思えば、正解は1つ。

被災地で知り合った修理屋さんに、あのクレーン付き積載車をあげればよかったな。
……と思っています。

名義変更だけは、きちんとお願いしますね。
……って。


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