一時期、被災地に行くたびによく聞いたフレーズの1つ。
「いま、一番お金を持ってるのは漁師だ」
4月下旬から、日本財団ナントカ、だったかな?
それが終わって、5月1日からは水産庁?
その辺、詳しくは知らないけど、要するに漁協からの仕事。
つまり、漁師さん達だけの特権。
がれきを撤去する仕事で、日当1万2千円ぐらいがもらえるらしくて。
しかも、定員枠がかなり広かったらしくて。
家も職場も仕事の道具も流されてしまった人達。
今後の収入のメドが立ってない人達から見ると、そういう言葉が出てくるらしいです。
まぁ、そう言いたくなる気持ちは、わかるんだけど。
でも、ちがうよね?
いや、魚が好きだからって、漁師さん達に肩入れしてるわけじゃないよ。
がれきがなくなったら終わってしまう、期間限定の仕事。
それで食っていけるわけじゃないし。
家も自動車も船も流されてしまった、とか。
船はかろうじて残ったけど、船着場もなければ、市場もない、加工場もない。
それ以前に、発泡スチロールの箱がないし、氷もない。
漁業の再開まで3年はかかるだろう、と言われていた。
牡蠣の養殖も、最初の収穫まで3年かかるらしいです。
しかも、今の時期に開始しないと、1シーズン(1年)遅れてしまうとか。
いちばん速いのは、ワカメの養殖なのかな?
食べる専門、聞きかじった知識だから、よくわからないけど。
その一方で、仮設住宅は2年。
そういう、まったく先の見えない状況での、1ヶ月か2ヶ月限定、せいぜい50万円前後の現金収入。
手元に、いくら残せると思いますか?
ここで、ちょっと思い出してください。
3〜4年前だったかなぁ?
ネットカフェ難民って言葉があったじゃないですか。
たとえば、ビジネスに失敗して、離婚して独り身になって、住むところも失った人とかが。
ネットカフェ難民しながら、日雇い派遣でコツコツとお金を貯めて。
数ヶ月かけて、部屋を借りる資金を貯めて。
その間に温めた新しいアイディアでビジネスを始めて、社長になった。
……みたいな話が、よくあったでしょ?
あの日雇い派遣が、時給1千円ぐらい。
朝から夕方まで、8時間で8千円。
あるいは、夜勤で1晩1万円。
そこから風呂に入ったりネットカフェ代だったり洗濯だったりで、手元にいくら残ったか?
……と、考えると。
家がなく、日給1万2千円という状況は同じだけど。
奥さんや子ども達や、年老いたご両親の面倒もみなくちゃ、という、背負っているものがあるわけで。
しかも、2ヶ月ぐらいの期間限定の仕事。
ネットカフェ難民からの再起よりも、状況は厳しいと思うんですよ。
確かに、その収入さえ無い人から見れば。
そこはわかるんだけど。
「今は、一番お金持ちなのは漁師さんらしいよ」
「へぇ、そうだったんだ」
「じゃあ、支援物資は、もう要らないね?」
……と言われると、それは違うと思うんです。
せっかくの貴重な現金収入。
それは、できるだけ手をつけずに残しておきたい。
また、いつ次の余震で大きな津波が来るか、わからないんだし。
私だったら、そう考えるけどなぁ。
「現金収入があるんでしょ?」
……なんてことは言わない。
「その考えは間違ってますよ」
……なんてことも言わない。
(よそ者が口出しをすることじゃない)
(被災してない人間が説教をすることでもない)
その辺は知らないフリをして、今までどおり応援していこう!
……と思って続けてました。
あなたは?
「今この状況では、あなた達が一番お金持ちなんだから」
「それは貯め込まず、どんどん使いなさい」
「そうやって少しでも経済を回しなさい」
……とか、思う?
それって……
「この物資を受け取れるのは、自宅が流された人だけです」
「自宅が残ってる人達にはあげません」
……とか言って、被災された皆さんの間に火種をつけた人達と変わらないよ?
自宅が流された人も、自宅が残った人も、みんな被災者。
日給1万2千円の仕事が一時的にある人も、ない人も、みんな被災者。
現地の人達の間では、その辺で感情的な行き違いは起きるだろうけど。
被災してないよそ者の私たちが、そこを煽ってどうするのさ。
そんな些細なところで差別してどうするのさ。
(何をしに行ってるの?)
今となっては、昔話。
震災から何ヶ月かは、そんな話もありました。
(……と、笑い話になってればいいんだけど)
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2012.-3.-7 Wed 17:00 from 東京
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