1993第15戦:日本GP

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「晴れでも雨でも、ウィリアムズ・ルノーは1周で約2秒ずつ安定して速い」
「これはもう、どうしようもない」

「ところが、コースの一部で雨が降ったり晴れたりするような状況になると、マクラーレンのほうが約2秒ぐらい速くなるんだ」

いや、それはマシンの性能じゃなくて、あなたの腕。
あなたの腕ですから。


あっという間に、今年も鈴鹿の季節。

照る照る坊主と、るてるて坊主。
両方ともぶら下げればいいのかな?

モナコ以来、いいところなし。
来季のウィリアムズ移籍も決まったし。

今年はもう、このまま終わるのかな?という気持ちと。
いや、雨が降ったり、何かが起きるかもしれないじゃん!という気持ちと。

とにかく、行かなくちゃ!と、鈴鹿へ。


「勝ち目はないとわかっていても、大好きなスズカ、全力を尽くすよ」
……と、東京中日スポーツに連載していた独占手記に、セナは書いてました。

これが、単なるリップサービスじゃなかったんです。

予選は、1周のタイムアタック競争。
計測ラインを過ぎて、1コーナー、2コーナーを曲がったあたりで止まっちゃいました。

トラブルではなく、予定通りのガス欠ストップ。

どういうことか、わかりますか?

何周も何周も続けて走ったところで、ウィリアムズ・ルノーには絶対にかなわない。
それならば、燃料をギリギリまで減らして軽くしよう。

もし予選2番手に入れたら、最前列。
スタートもうまく決めてトップで1コーナーに入れたら、もしかしたらレースになるかもしれない。

勝負は、たった1周。
ピットまで戻れる必要もない。

そんな特攻アタックで、予選から勝負に出たんです。

セットアップに手間取ったウィリアムズが伸び悩み、結果的にはトップタイムからの1秒間に5台が入る大混戦。
久しぶりのそういう状況の中でも、見事に予選2位。

周回遅れに引っかからなかったら、「まさか」のポールポジションだったかも。
最初からあきらめて普通に燃料を積んでいたら、後方集団に埋もれていた。

そんな、見応えのある予選でした。

YouTube動画

日本GP以外の年間15戦はどれも、遠く離れた国々でのレース。
夜中にテレビで見てるだけだと、わからなかったけど。
近頃は、いいところなく簡単に沈んでいるように見えてたけど。

こういうギリギリの勝負を、毎回毎回くり返していた。
それでも歯が立たなかったんですね。

ブラジル、ヨーロッパ、モナコ。
転がり込んできたチャンスは、逃さず全部つかんで、結果を出してきた。

セナだけは、どうしてそんなことができるのか?
こういうラッキーは、なぜ、セナだけに?

どう考えても勝ち目のないレースで、これだけのモチベーション。
あきらめず、できることは全部やる。

言葉で言うのは簡単だけど、ものすごいことですよ。

やり直しのきかない、チャンスは1度きりという状況でも萎縮しない。
むしろ、自分の力を100%以上フルに発揮して、成功をつかみ取る。

そうやって勝ち続けることで、生き残ってきたんだろうね。


さあ、予選は大成功。

明日の決勝は、最前列(イン側)からのスタートです。

もしかしたら……
もし、本当にスタートで前に出られたら……
そこに、いくつかの幸運が重なったら。

もしかしたら、久しぶりに「レースになる」かもしれない。

期待が高まります。

当時の前夜祭の映像、見つけました。↓

YouTube動画

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