板金加工の基礎知識

一昔前、板金加工といえば「銅工」のことでした。銅板や鉄板をたたき成形して、
鍋、薬缶、屋根といった建築や生活用品を作る加工方法でした。
しかし、現在、板金加工といえば、建築分野、自動車分野、機械分野等の幅の広い
加工方法です。

しかし、板金製品は工場内で造られ、完成品となって市場に出ているので身近で知
ることが少ない。それは、自動販売機、銀行端末機、厨房機器といった形で綺麗
に塗装され、美しい環境の中に設置され現代文明の支えになっているものです。
世の中が豊かになり、個性が尊重され、また一方では科学技術が急速な進歩を
遂げる現代は、多品種少量生産で個性化に対応し、また、モデルチェンジの早急
な対応で、コストダウンや技術革新を乗り切ろうとしている。

これらの要求に優れた答えを出すのが「精密板金加工」といわれるものです。

まだ、その歴史は40年であり、これからの進歩が楽しみです。加工機械には、
レーザーや放電といった高密度エネルギーからエレクトロニクス、コンピューター等の
ハイテク技術が加わり、また、加工技術も新素材、複合材といった研究も進んで
ますます発展しています。



1−1 鋼板の種類

     熱間圧延鋼板(SS)
     冷間圧延鋼板(SPC)
     亜鉛鉄板   (SPG)
     電気、亜鉛メッキ鋼板(SPE)

     ・寸法・呼称

     メートル法の実施に従い、厚さ・幅・長さともmmで呼称する

     ・板の標準的厚さ

薄板  0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.3 2.5(2.6) 2.8(2.9) 3.2
中板  3.2 4.5
厚板  6  9  12  19  22  25
  

1−2  鋼材の種類

     A: 一般構造用厚延鋼材(熱間圧延材)  通称 クロカワ・・・黒皮    

種類 記号 引張強さ
 1種    SS 34      34〜44kg/mu  
 2種   SS 41    41〜52kg/mu
 3種   SS 50    50〜62kg/mu
 4種   SS 55    55kg/mu以上

        B: 熱延薄板

種類 記号 引張強さ 適 用
 1種    SPHC     28kg/mu以上    厚さ1.0以上13mm以下の一般用  
 2種   SPHD   28kg/mu以上   厚さ1.2以上6mm以下の一般用
 3種   SPHE   28kg/mu以上   厚さ1.2以上6mm以下の深絞り用

     C: 冷延薄板(冷間圧延材)  通称 ミガキ・・・磨き

種類 記号 引張強さ 適 用
 1種    SPCC     28kg/mu以上    普通用
 2種   SPCD   28kg/mu以上   絞り用
 3種   SPCE   28kg/mu以上 深絞り用

冷間鋼板の規格

1種 SPCC ・・・ 普通用(Commercial Quality)、平板用と呼ばれるもので、
           曲げ加工及び簡単な絞り加工は可能

     用途   自動車・車両の外板、電気洗濯機・冷蔵庫の外板及び部品、
           電装部品、配電盤、鋼製家具、各種容器類等

2種 SPCD ・・・ 絞り加工に適している、寸法の精度でSPCCに比べて厳しい
           (Drawing Quality)

     用途   自動車・電機・機械の部品等の絞りを行うもの

3種 SPCE ・・・ 深絞り加工に用いられる(Deep Drawing Quality)

     用途   自動車の外板・ボンネット・側板・どろよけ・ドア等の部品

1−3  ステンレス鋼

鉄が錆びるのは、大きい欠陥です。この鉄に約12%程度のクロームを合成
させると鉄の錆びやすい性質が急激に鈍り、錆びはほとんど進行しない。
これは、酸化作用により金属の表面にクロームを主体とする保護皮膜ができて、
これが酸化を押さえる。これは、鉄が不透性をもったといい、このように錆び
にくくなった鉄のことをステンレス鋼と呼びます。

使用頻度の高いステンレス鋼は、次の2種です

種類の記号 引張り強さ Cr Ni
SUS 430 46kg/mu以上 16.00〜18.00 ――――
SUS 304 53kg/mu以上 18.00〜20.00 8.00〜10.50
 *Cr(クローム)摩擦に強く、鉄を錆びにくくする
  Ni(ニッケル)粘り強さを増し、特に低温で衝撃に耐える

    A: 特性  SUS 430 ・・・ 耐食性・耐熱性に優れています
            SUS 304  ・・・ 耐食性・耐熱性・深絞り性に優れています

    B: 用途  SUS 430 ・・・ 自動車用部品、建築用材、厨房用品等
            SUS 304 ・・・ 化学工業用、高熱工業用、食品工業用等

    C: ステンレス鋼の表面仕上げ
        No.2D ・・・ つや消しロールによって、最後に軽く冷間圧延したもの
        No.2B ・・・ 適度な光沢を得る程度に冷間圧延したもの
        No.3  ・・・ 100〜120番(メッシュ)で研磨して仕上げたもの
        No.4  ・・・ 150〜180番(メッシュ)で研磨して仕上げたもの
        HL    ・・・ 連続したみがき目がつくように研磨して仕上げたもの

    D: 板の標準厚さ

 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.2
 1.5 2.0 2.5 3.0 4.0 5.0

1-4  アルミニウム板

アルミニウムは銀白色をしており、比重は2.7で鉄よりはるかに軽く、鉄の約3/1です。
純度の高いアルミニウムは延性が大ですが、強さは小さいので、そのまま使用する
よりも合金として諸性質を向上して使用するほうが多い。
アルミニウムは、成形性(展延性が大)が良好でプレス、鋳造、鍛造性等にも良い。

アルミニウム板の記号 ・・・ A◯◯◯◯Pによって表示される。
引張り強さ        ・・・ 範囲は非常に広く脆いもので5.5kg/mu
                  強いもので50
kg/muまである

    A: 用途  厨房器、建築の窓枠、家屋の屋根、車両の窓・ドア・金具類、
            自動車・オートバイのエンジンの主要部品等に使われる。
            その他、アルミニウムは紫外線・赤外線の光熱波をよく反射する
            性質があるので、光学機械の反射面、熱の絶縁反射面にも
            使われる。

    B: 
板の標準厚さ

 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1.0 1.2 
 1.5 1.6 2.0 2.5 3.0 4.0 5.0 6.0

1−5  比重

鉄 - 7.87   アルミニウム - 2.7   金 - 19.32   銀 - 10.49
鉛 - 11.36   銅 - 8.96   白金 - 21.45

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