| カウトダウン | |
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意識を失った犬の身体は重い。 容易ならざる事がペコの身体の中で起こっている!!大声で主人を呼びペコを主人の腕に託しペコの名を何度も呼びます。 2004年2月1日のこの朝から始まった命のカウントダウンを私は生涯忘れることがないと思います。 ですが今でこそ それがペコが私たちに残してくれた数日間だと思えるのであって、この時は・・・ペコの逝った2月6日の朝よりも むしろ『死』と直面していたように思えます。 2月3日に近所の獣医さんに行き、5日には 主治医である大阪の獣医さんを訪れ、どちらの獣医さんにも『まだまだ大丈夫』との言葉を頂き 安心していた部分がありました。6日の朝ですら また意識を取り戻してくれると信じていたのです。獣医さんであっても命の期限はわからないのでしょうね。 3度めの正直という言葉がありますが・・いくらペコが がんばっても さすがに3度めの発作からは立ち上がれなかったでしょう。いえ・・・ それとも これが私の望む結果だったからなのかもしれません。私は苦しんでいるペコを早く楽にしてやりたかった。もうがんばらないでほしいと願い、祈りました。 |
| 獣医さんの最後の役割 | |
犬が高齢だと主治医なる獣医さんがいらっしゃると思いますが、愛しい命の危機が目の前に迫ってきてから良好だった獣医さんとの関係を悪化(正確には獣医さんへの不信)させるという話を以前からあちこちで聞いておりました。 私自身16年間お世話になった獣医さんであり、関係も良好でしたのでカウントダウンの始まった数日間に獣医さんへの湧き上がった不安が 相手によるものではなく、冷静さを失った私自身の問題だという自覚はありました。 獣医さんから長年の苦労を労うお言葉や慰めのお言葉を頂けることは、人によってはとても気持ちを軽くしていただけると思います。そして獣医さんに限らず 僅かでも気持ちを軽くしてくれる人の言葉というのは飼い主と相手との信頼関係が大きく作用するのではないかと私は思いました。
カウントダウンの始まった数日間に2軒の獣医さんに掛かりました。一方は『こうしなさい。こうするべきです。』と主張される獣医さん。そして一方は 飼い主の判断に任せてくださる主治医。 ペコの倒れる2月1日より数日前に下痢が始まり、倒れたこともあって1月31日に主治医に電話をしました。『下痢をしています。倒れました』と言われれば下痢の対処としては『絶食』をさせることが普通でありましょうし、下痢の薬は以前から頂いていますし、診察をしているわけでもないので主治医にとったら それ以上の返答のしようがないのが事実なのだと思いますが、私が聞きたかったのは『総合的な判断』が聞きたかったのです。 高齢で体調もよくない時に絶食などを行えば更に全体状態を悪化させるのではないか!と・・・。この時 心に沸いた黒いものを拭い去ることもできないまま、カウントダウンの始まった2月1日を迎えることとなりました。 2月1日は日曜日で 先生はお留守でしたので留守番電話にメーセッジを残しておきましたら、その日の夜中0時近くなって電話を頂ました。先生はペコの状態について『かなり悪い』とおっしゃっていましたが この時私が獣医さんに聞きたかったことは『こんな悪い状態で長時間 車に乗せて大阪まで連れて行くべきかどうか』ということでしたが その件を含めて獣医さんは『明朝 改めて電話をする』という返事でした。 2月2日 獣医さんからの電話の対応を主人に任せたこともあって、望んでいた『答え』は得られないまま こんな非常時に主人とケンカになりました。この日は大阪の獣医さんへ行くのは見送りました。 2月3日 さすがに脱水症状が気になり 近くの獣医さんにペコを抱えて行きました。この獣医さんとは以前から意見が合わず、ほとんど この病院には来ていません。相手の獣医さんも 私が『嫌っている』ことは ご存知のようなので 遠慮のない言葉をどんどん吐いてくださいますが、それはこちらも同じことなので 言いたいことの全てを吐き出すことができます。本来なら信頼している獣医さんとの関係で このように吐き出すことができればいいのでしょうが、どんなに信頼していても遠慮はありますし、今後のつきあいもありますし、関係悪化を避けるために言いたいことは多少飲み込んでしまいます。これは 別に相手が獣医さんに限ったことではなく良好な関係を続けるのに言いたい放題というわけには まいりません。この日 私の嫌いな獣医さんはペコの顔を見て『まだまだ大丈夫だ』と言ってくださいました。 2月4日 前日に打った薬が合わなかったのかペコは吐き続けていました。 2月5日 主人が休みで ペコの状態がすこし落ち着いてきたので 大阪の主治医へ行くことを決断し 午後に出掛けました。ペコは獣医さんで 今まで目にしたことのない症状がありました。舌が小刻みに震えていました。獣医さんも診てくださいましたが わからなかったようです。後に考えるとこの症状が 数時間後の哀しみを予見していたのでしょう。。。 ただ 私はこの主治医の獣医としての腕を見込んで 16年間つきあってきたのではなく、この獣医さんの人間性、動物に対する接し方、そしてなによりペコが 唯一この獣医さんにだけに見せる安心感で つきあってきましたから それが間違っていたとは思っていません。 普段から この主治医は『小さい頃から あちこち悪い子でしたのに 本当によくここまで育て、お世話をしてきましたね。』と労う言葉をかけてくださっておりましたし、遠くに住む我が家へ必要な薬や食事はすぐに送ってくださいました。奥様もスタッフの方もなにかとお気遣いくださいました。 ペコの逝く前日に この獣医さんに診察していただけたことを本当によかったと思っています。 2月6日の朝6時5分 ペコは大きく手足で宙を蹴った後 息を引き取りました。午前9時には主治医に電話をし、亡くなったことを知らせてお礼を述べましたが もちろん ほとんど会話にはなっていなかったと思いますが、受話器の向こうで先生の息を殺したように絞り出された声を今も覚えています。 |
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