【海外工場】
(1)海外鋳物の状況
諸外国からの輸入や、海外進出企業の現地調達の増加、輸出の減少などによって
鋳物産業の空洞化が進み、国内鋳物需要が減少し近い将来に重大な危機を迎えることが予想されると
いわれている。
産業の空洞化とアジア製品に対処していくためには、高精度化、高品質化が、一番必要である。
アジアの製品は国民性の問題から現時点では技術は低いが、海外進出や技術移転が進めば
安くて質の高い製品が作られることも将来は可能であると思われる。
その時点で日本ではさらなる技術の高度化、高付加価値化が進んでいないとアジアの製品には
太刀打ちできなくなる。価格面でも合理化、効率化や機械化などによる対処が必要である。
世界の主な国の生産状況を見ると、平成8年の銑鉄鋳物ではアメリカとロシア、そして中国の生産量が
日本の生産量を上回っている。韓国や台湾、インドでは日本よりは少ないが生産量は多い方である。
アジア諸国から研修生が日本の技術を学びにくるなど、各国の技術は今後さらに高くなり
生産量も多くなると思われる。
(2)海外への工場進出
日本経済の国際化とともに、海外への工場進出する産業業界が増えている。
労働力の安さ、労働力不足への対応、急激な円高、海外の工業化や技術の支援、国際的交流や
その他諸々の要因によって、組立産業を中心に海外進出が進んでいる。
鋳物産業も海外工場の進出は進んでいる。川口鋳物でもアジア諸国に進出している。
台湾・中国ですべて生産を行っている企業もある。
海外工場は、インドネシア、中国、バングラデシュ、タイにそれぞれ1企業が進出している。
その他にも、タイの工場と提携、インドネシアの工場に一部出資をしている企業がある。
海外工場の一例として、インドネシアに進出した企業を取り上げる。
ステンレス鋳物のI社は、インドネシア・ジャワ島中部のクラテン市のバイパス国道沿いに
海外工場を設立した。6年前から準備をし、2年前(1996)に操業を開始した。
工場進出のきっかけは、コンサルタントの話によりインドネシアの大きな潜在的需要
(国内のインフラ整備のため)に魅力を感じたからである。この点では一般的な進出のきっかけと違う。
もちろん賃金格差の魅力もある。またインドネシアに競合同業者がなかったこと(ステンレス鋳物のため)、
親日的国民性、労働者・技術者の交流で両社にメリットがあること、若い技術者の雇用の魅力なども
工場進出のきっかけである。
社長は月に10日ほどインドネシアに滞在し技術指導や工場を軌道に乗せるために努力している。
日本から木型のベテラン技術者を派遣し、木型の生産及び人材の育成にあたっている。
また常時現地工場から日本へ研修生を受け入れ、技術、知識を教え育てている。
インドネシア人は性格は明るいが、責任感が無いのでリーダー育成が難しい。
また大雑把であり緻密な仕事に向いてないので根気強く教育しなければならないし、
仕事に対して緊張感が薄い、飽きっぽく長続きしない、など他にも様々な性格・国民性を持っている。
性格の他にも、宗教や歴史背景を十分考慮してインドネシア人と付き合っていき教育していくのが
工場経営にとって一番重要である。指導においても、やって見せ、言って聞かせてが重要であり、
これが無ければ理解してもらう事は到底無理である。
今後の方向性は、少しずつ技術が上がり安くていいものが出来れば、近い時期に日本のメーカーに
素材の供給も考えている。現地消耗品の完成部品として今後供給する方向でいく。
優秀な人材を入れていき、より付加価値のある製品もめざす。日本の工場と不足部分を補完しあっていく。
といったことが挙げられている。
現状ではまだ現地工場だけでは採算が取れず、海外製品を日本の工場で扱ってそこで上げた利益を
海外工場に充てていきたいということである。現地工場が完全に軌道に乗れば
日本工場と連携し補完しあい、生産の向上、安定が見込まれる。
このように海外へ鋳物工場が進出をするのも、これからの時代における重要な戦略であり
ますます増えることと思われる。しかし低価格で技術も上がってくるならば、日本の鋳物産業界にとって
大きな脅威にもなるのである。日本においてもさらなる技術の研究開発が必要であるし、
価格でも対抗できるように機械化・自動化・効率化を含めて一層の努力をしなければならない。
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