【周囲に対する環境】

 工場周囲の都市化が進み、生産環境が悪化するとともに都心に通勤する新住民が増えたことによって、
工場から出る粉塵、騒音、振動に対して苦情が出るようになった。
この環境問題に対応できず、操業が困難であると判断して工場移転を行なったり、
廃業・業種転換する工場もあることは工場立地の変化の部分で述べた。
ここでは現在も川口で操業している工場について、周囲や工場の環境について述べる。

 D社は他の数工場とともに現在地に工場を移転してきたが、
その後廃業した工場があり、すぐ近くにマンションが建った。
そこでマンションを扱う不動産業者に部屋を売るときにはそばに鋳物工場があることを明記させて、
そのことに異存の無い人に入居してもらうようにしているのでトラブルはない。
また、近所の小学校の鋳物工場見学を受け入れたりして地域との交流も図っている。
(川口市では小学校または中学校で鋳物について、鋳物製作または工場見学などの学習が
行なわれている。)

 アルミ鋳物のB社は、10年前に工場裏手に10階建てのマンションが建ち、
騒音、粉塵などには十分注意し、亜硫酸ガスの発生が多い重油炉から
都市ガス炉に代えるなどして周囲に対する環境に気を配っている。

 T社は平成5年新工場が完成し設備完了済みであるが、その建物の外見は他の工場と比べても
非常にきれいである。一見しただけでは鋳物工場とは感じないほど、建物のデザインは優れている。
鋳造の近代化を実現し最新設備を整え、工場全てに共通する機能レイアウトを考慮した
各生産拠点であり、無駄のない高能率工場、ミスのない高品質工場を実現している。

 住宅の中にある工場では看板を掲げている工場もある。内容は、鋳物工場であること、
騒音・振動・粉塵を減少させるよう努力しているが多少の騒音・振動・粉塵は免れないこと、
地域の住民へご理解をお願いしていること、ここは準工業地域であること、などを書いている。
しかし、都市型住民がこれに対し完全に理解することは不可能であり、
工場施設にさらに環境対策をする必要があるのである。

 多くの工場が準工業地域に存在し粉塵・騒音が大目に見られているとはいえ、
街の中で生産を続けていくにはクリーンな都市型工場に変化しなければならないが、
多くの中小工場は不景気のため設備や施設に対して投資するのが難しいのである。
 川に挟まれた工場や、工場に囲まれた工場は周りからの苦情は起こり得ないが、
そのために現状でも許されている点がある。
 現在多くの中小工場ではどのような対策をしているかを次に述べる。 


【追記(2009年)】
上記は1998年当時の状況です。
いくら周囲に対する環境に気を配っても、
さらに進んでいく都市化の前には限界があるようにも思えます。
それゆえに、上記に書いた工場で移転してしまった所もあるようです。
どうすれば工場と都市は共存できるのでしょうか。


川口鋳物産業の城!