第13話「悲しみの妖精ボン」<その1>
〜前回までのあらすじ〜
海の街「ブルーシータウン」をあとにしたゴルボン一行が、次にたどり着いた先は灼熱砂漠の中心に位置する村
「サンドロン」であった。
太陽の日差しによって地面の上が焼けたように熱くなったその村は、謎の集団に仕掛けられた「水無の呪い像」
によって雨はおろか、「水」というもの自体が存在しない呪われた村と化していた。
そのことが原因で声を失ってしまった悲劇の少女アクアのために、必勝ボンは「水無の呪い像」を破壊し、村に
水を取り戻すことを決意する。
しかし、そこに「水無の呪い像」を仕掛けた張本人であるダークムーンが現れ、光の十勇士ごと「サンドロン」を
壊滅させるという作戦を決行する。
村を守るため、ビーバトでダークムーンに挑む必勝ボン。しかし謎の女戦士コバヤシの恐るべき強さにじょじょ
に追いつめられていく。
敗北を悟り、絶望する必勝ボンだったが、アクアの願い、そしてナビボンの神秘な力を借りることで見事コバヤ
シに勝利し、ダークムーンの魔の手から「サンドロン」を救い出したのであった。
日の光が心地よさをさそう昼下がり。景色を見わたすとそこはすでに砂漠ではなく、青々を生い茂る美しい草原が
広がっていた。
ゴルボン「ふわぁ〜、この心地よさ・・・。これはおてんとさまが昼寝をしろといってるにちがいない。」
大きくあくびをしたと思うと、とつぜんその場に寝転んで寝息を立て始めるゴルボン。昼寝好きの彼にとってこの景
色はまさに天国といった所であろう。
ナビボン「う〜ん、たしかにそうかも・・・って、そんなワケないでしょ!とっとと起きなさい!ゴルボン!!」
草原で寝そべるゴルボンのボンボリ(?)を力強くひっぱるナビボン。ゴルボンの首がグキッ!という鈍い音を立
てる。
ゴルボン「〜♂※⇔∬〇〒±∇〜!!!!」
言葉にならない悲鳴を上げながらのた打ち回るゴルボン。ナビボンはその情けない姿を見て思わずため息。
ナビボン「はぁ・・・。まったく情けないなぁ。王ゴルボン様とはえらいちがいだわ・・・。」
ゴルボン「あのなぁ〜、ナビ子さんよぉ!!オレたちはここんところの激戦続きで、心身共につかれちゃって
るワケ!たまには休息させてもらってもバチは当たらんと思うんですがね!?」
わざとらしくイヤミ口調でうったえるゴルボン。ゴルボンの言うこともまんざらではないと感じたナビボンはしばらく
考えモードに入る。
ナビボン「・・・そうだね。ゴルボンも必勝ボンも、最近はスゴくがんばってるしね。「すぐボン?シティ」まで
まだだいぶ距離があるし、近くの街で休憩していこっか♪」
ゴルボン「おっしゃぁ〜!!話がわかるねぇ、お嬢ちゃん!(^_^)」
なぜかオッサン口調でしゃべりながら大よろこびするゴルボン。そのよろこぶ姿を見てナビボンも思わずニッコリ。
必勝ボン「あの〜、ナビボンさん。ひとつたのみが・・・。」
ナビボン「ん?なに?急にあらたまって・・・。」
必勝ボン「休憩は球け・・・・・・」
ナビボン「あ・あ・あ・あ・あ〜っ!!!!」
瞬時に身の危険を感じたナビボンは、大声を張り上げ、必勝ボンの言葉をかき消した。ギャグを言いきれなかっ
た必勝ボンはショックでイジケモードに入る。
ゴルボン「よっしゃあ!ひさしぶりの休息だぁ!!心行くまでエンジョイしまくんぞ〜!!(^▽^)」
緑の草原をさらに西へ進むと、そこには「ブルーシータウン」並に活気にあふれた街「エンジョス」が待っていた。
ゴルボン「へぇ〜、ここが「エンジョス」かぁ〜。ゲーセンとか遊園地とか、いろんな遊び場があるんだな。」
ナビボン「この「エンジョス」という街は戦い続きで気が立ったBBマスターを童心に返してあげるという目的で
できた街なの。まあ、遊び場という点で比べれば、「ビーダラスベガス」にはかなわないけどね。」
ゴルボン「遊び場かぁ・・・。「ゴルディ村」にはそんなもんなかったから、心がワクワクするぜ!(^_^)」
子供のようにはしゃぎながら、まわりのあらゆる遊び場を物色するゴルボン。
ナビボン「ちょっとぉ!私たちには遊んべるほどの余裕はないんだからね!ただでさえ「ブルーシータウン」
での一件で金欠状態なんだから!」
ここでいう一件とは、言わずと知れた「モミテボン340枚事件」のことである。わからない人は第11話を参照して欲
しい。
ゴルボン「わかってるよ!少ない資金は大切に・・・だろ?」
ナビボン「わかればよろしい。・・・じゃ今日泊まる宿でも探しましょうか♪」
ナビボンは体が小さいためサイフを持つことができず、資金管理ができないため、こうやってサイフを持っているゴ
ルボンがムダ遣いしないよう、日頃からきつく言い聞かせているのであった。
ナビボン「この付近で、安くて質のいい宿はぁ〜と・・・。」
必勝ボン「あの宿なんかはどうやど(宿)。・・・なんちゃって(^ ^;」
あいも変わらず寒いギャグを言い放つ必勝ボン。だが、ナビボンはしっかりと耳栓を付け、必勝ボンのギャグを完
全に遮断していた。ショックで再びイジケモードに入る必勝ボン。
ゴルボン「ん?なんだあれ。」
泊まる宿を探すため街中を歩くゴルボンは、道の端っこに座り込み、大風呂敷を広げて何かをしている中年の男
性が目についた。ナビボンたちがさっさと前へ進む中、思わずその場で立ち止まってしまうゴルボン。
ゴルボン「オッチャン、こんなところで何してるんだ?」
興味ひかれるままその男性に近づき、話しかけるゴルボン。よく見ると男性の前にある風呂敷の上には、中に赤と
緑のメタコロが入った、お菓子の箱がポツンとおかれていた。
ゴルボン「メタコロが2個?・・・まさかこれ売ってるとか・・・言わないよな?(^ ^;」
ゴルボンの問いにようやく顔を上げる男性。見るからに怪しさがただよう、不気味な顔をしていた。
男「こりゃあな、ボウズ・・・。「バクチメタコロ」っていう、一種の大人の遊びだ。」
ゴルボン「バクチ・・・・・メタコロ?」
男「かけ金は1回1000ビー円。赤と緑のメタコロを振って合計「3」以下になりゃあ、かけ金が3倍になるって
ぇゲームさ。」
ゴルボンはいまいちルールがわからないせいか、頭のまわりで?マークがクルクル飛び回っている。
ゴルボン「なんか・・・よくわかんねえな。(^ ^;」
男「なぁに、やってみりゃあ簡単なもんさ。メタコロ運さえありゃ大もうけさ。どうだ、一勝負してみるか?」
「大もうけ」という言葉に触発され、思わずサイフを取り出すゴルボン。しかし、ナビボンの言葉が脳裏をよぎり、再
びサイフをふところにしまい込んだ。
ゴルボン「や、やめとくよ。使っちまったらあとでどやされちまうし・・・。」
男「なんだぁ?その年でもうおっかあか彼女がいんのか?・・・なら話は早え。ここで大勝ちして、その子に高え
アクセサリーでもプレゼントしてやればいいのさ。」
男の言葉を聞き、頭の中でナビボンがよろこぶ姿を思い浮かべるゴルボン。再びサイフを取り出し、「サンドロン」
の村長から礼金としてもらった6000ビー円の中の1000ビー円を男に手わたした。
ゴルボン「よ、よっし!やってやるぜ!」
力強くメタコロを握り締め、気合いを込めるゴルボン。十分に気合いを込め終わると、箱めがけてメタコロ2個を
かるく投げ落とした。
ゴルボン「いけっ!メタコロ〜ル!」
箱の中でコロコロと転がるメタコロ。出た目は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「3」と「3」!
男「残念〜、合計が「6」でボウズの負けだ。・・・両方とも「3」を出すなんて、オメー、メタコロの才能ねえな。」
男がかるく言い放ったこの一言が、ゴルボンの勝負魂に火を付けた。再びサイフの中から1000ビー円を取り出
し、男に突き出すゴルボン。
ゴルボン「オッチャン!もっかいだ!!」
男(ククク・・・。またカモがかかりやがった!)
ゴルボンには見えないように怪しく笑う男。ゴルボンから1000ビー円を受け取ると、怪しい手付きで彼にメタコロ
を手わたした。
男(そのメタコロは重り入りなんだよ!お前がいくらがんばろうと、一生「3」しか出ねえっての!)
イカサマされているとは気づかず、再びメタコロに気合いを込めるゴルボン。目を大きく見開き、メタコロを持つ手
を大きく振り上げる!
ゴルボン「次こそは・・・・・!メタコロォォール!!」
再び箱めがけてメタコロを投げるゴルボン。はたして結果は・・・・・・!?
ナビボン「・・・・・・・・・あれ!?ゴルボンは?」
宿を探し始めてから約20分、ナビボンはようやく後ろにゴルボンがいないことに気づく。あわてて周りを見まわす
が、そこにゴルボンの姿はなかった。
必勝ボン「犬をはっけん(犬)、プリンとプリント・・・ってあれ?ホントにいなくなってるよン!!」
小声でギャグ帳を音読していた必勝ボンも、ナビボンの言葉でようやくその事に気がついた。
ナビボン「ちょっと目をはなすと、すぐこれだから!・・・とにかく来た道を戻ってみよう!」
必勝ボン「OK!OK!風呂オッケ(桶)〜!・・・よン!(^ ^;」
180度反転し、ダッシュで来た道を戻るナビボンと必勝ボン。あちらこちらで群がる人ゴミの中を必死で探してい
るうち、街の中心に位置する噴水広場で座っているゴルボンを発見した。
ナビボン「ごっ・・・ゴルボンっ!!何やってるのよ〜っ!?」
息を切らしながら、ゴルボンに近づくナビボンと必勝ボン。放心状態で座り込んでいたゴルボンだったが、ナビボ
ンの声でふと我に返った。
ゴルボン「あっ!!・・・よ、よう!ナビボン・・・。(^ ^;」
ナビボン「よう!、じゃないよ!・・・勝手にいなくなって!何やってたのよ!?」
ゴルボン「あ・・・いや・・・・・・その・・・・(^ ^;」
頭をかきながら苦笑いをするゴルボン。どうもおかしいと感じたナビボンは、ゴルボンのふところから強引にサイ
フを奪い取った!
ナビボン「ああ〜!!!!・・・・な・・・中身が・・・な・・・い・・・。」
サイフの中身がカラッポという恐ろしい自体を目の当たりにし、思わず気絶しそうになるナビボン。
ナビボン「バカァ〜!!!!6000ビー円もの大金、何に使ったのよ!?」
ものすごい剣幕でゴルボンのスカーフをつかむナビボン。あまりの申し訳なさにゴルボンはただヘラヘラするしか
なかった。
ゴルボン「そ・・・その・・・・「バクチメタコロ」で負けちゃって・・・(^ ^;」
ナビボン「ばっ、「バクチメタコロ」!?・・・なんでそんなものに大切なお金を使っちゃうのよ!?・・・あれは大
切な宿代だったのよ!!」
今までにはなかったほどのすさまじい怒りを見せるナビボン。スカーフをつかむ手に、さらに力が入る。
ナビボン「必勝ボンだってキミを信頼してお金を預けてたんだよ!?それなのにキミは・・・・・。いったいどう
いう神経してるのよ!?」
ゴルボン「す・・・スマン・・・。(^ ^;」
ナビボン「最近はちょっと成長して、尊敬してたのに・・・!結局何も変わってないじゃない!!・・・キミは王ゴ
ルボン様の生まれ変わりなのよ!?もうちょっとしっかりしてよ!!」
ヘラヘラ苦笑いをしていたゴルボンだったが、王ゴルボンという言葉を聞いた瞬間、力強くナビボンの手を振り払
い、鋭い目付きでナビボンをにらみつけ出した。
ゴルボン「いいかげんにしやがれ!・・・さっきから王ゴルボン王ゴルボンって・・・オレはゴルボンだっ!そ
うやってすぐに王ゴルボンと比較するんじゃねえよ!」
大声で怒りの叫びを上げるゴルボン。そのものすごい剣幕に、ナビボンは思わず言葉を失う。今までにない険悪
なムードに、必勝ボンはただオロオロするしかなかった。
ゴルボン「一言二言すぐに王ゴルボン!・・・結局お前はオレのことをただの「王ゴルボンの生まれ変わり」
としか見てなかったんだろうが!」
ナビボン「そ、それはちがう!!・・・・・・・・私は・・・・。」
ゴルボン「そんなに王ゴルボンが好きなら、ずっと王ゴルボンと一緒にいればよかったんだ!・・・王ゴルボ
ンの守護精霊とかいいながら、王ゴルボンも守れない能なし妖精ボンのクセしてよ!」
ズキィッ!!ナビボンの胸に、ナイフが突き刺さるような痛みが走る。
ゴルボン「王ゴルボンも内心ホッとしてんじゃねえの!?死んだことでようやく、うるさい妖精ボンから解放さ
れたんだもんな!ハッハッハ〜!!」
ナビボン「・・・!!!!!」
バシィッ!!!!ナビボンの力強い平手打ちが、ゴルボンの左ほおを襲った!
ゴルボン「なっ!何しやがる!!」
ナビボン「何にも・・・・わかってないくせに・・・・!」
顔を伏せながら、怒りに全身を震わせるナビボン。小さなしずくが地面にポツポツと落ちる。
ゴルボン「お・・・おい。」
ふと冷静さを取り戻し、ナビボンに語りかけるゴルボン。ナビボンが勢いよく顔を上げると、つぶらな瞳から大粒
の涙があふれ出ていた。
ナビボン「私の気持ちなんか・・・・・・・・全然わかってないくせにっ!!」
ナビボンの、涙を流すその瞳の奥から悲しみを感じ取ったゴルボンは、思わず言葉を失ってしまう。
ナビボン「ゴルボンなんか・・・・・・大っきらいよぉぉっ!!!!」
涙のしずくを降らせながら街のどこかに飛び去るナビボン。ゴルボンは沈黙したままその場に立ち尽くしていた。
必勝ボン「ゴルボンさん!いくらなんでもひどすぎるよン!!」
必勝ボンは一言そう言い放つと、泣きながら飛び去ったナビボンの後を急いで追いかけていった。
ゴルボン(・・・・・・・・・。)
うつむきながらナビボンにぶたれた左ほおをギュッと押さえるゴルボン。そんなゴルボンの姿を遠くの建物の屋上
から監視する者たちがいた。
謎の少女「あ〜あ、泣かしちゃった。」
明るい声でゴルボンを批判する少女。そんな彼女の後ろには黒いローブで身を包んだ青年と、表情の固い中年の
男が立っていた。
謎の青年「あれがウワサの光の十勇士?・・・見るからに弱そうな顔してら。」
謎の少女「そうだね!これなら今回はオジサンが手を出すまでもないね!」
無邪気に笑いながら中年の男に語りかける少女。だが男の目に映るものはゴルボンではなく、飛び去ったナビボ
ンの姿であった。
謎の男(あの妖精ボン・・・。)
To be Continued
