第15話「アイドルを守れ!」<その1>

〜前回までのあらすじ〜

光の十勇士を探す旅の途中で娯楽の街「エンジョス」へと立ち寄ったゴルボン一行は、そこでデルタハンターズ
ジェイルと名乗る男に敗れ、ナビボンを失ってしまった。
ナビボンを守りきれなかった自分の無力さに戦う気力を失ってしまうゴルボン。そんな中、またもダークムーン
女戦士コバヤシが街を占拠し、ゴルボンたちに襲撃をかけに来た。
罪もない人々を救うため一人コバヤシのもとへ向かう必勝ボン。そんな必勝ボンの姿と仲間の言葉に苦悩する
ルボン
は、謎の男、龍皇使の言葉でようやく戦う意志を取り戻し、コバヤシにビーバトを挑んだ。
いつも以上の猛攻を繰り出すコバヤシに追いつめられるゴルボンであったが、カードとおのれの力を信じることで
ついにレジェンドカードを発動させることができ、見事コバヤシから逆転勝利を手に入れたのだった。


雷雲とどろき大嵐が吹き荒れる暗黒の大地。その地に建つ「ダークムーン城」は、いつもとちがう雰囲気におおわ
れていた。

マツモト「・・・・・。」

沈黙したまま立ち尽くすマツモト。その前にはゴルボンとの戦いで敗れたコバヤシが、回復カプセルの中で深い眠
りについていた。

オオタアイさん・・・・。」

ハマサキ「ど、どうしてこ、こんなことにな、なったんだな・・・?」

他のダークムーンメンバーたちも心配そうな顔でコバヤシを見ていた。ダークムーンの中では嫌われ者だった
バヤシ
だが、この時だけは誰もが彼女をあわれに思っていた。

カトリーヌ「フンッ!・・・自業自得よ!自分一人ででしゃばったマネなんかしたから、こんな目にあうのよ!」

オオタ「なっ、なんだと!?・・・てめえぇっ!!」

コバヤシをののしるカトリーヌに激怒し、つかみかかるオオタ。まわりの仲間があわてて二人を止める。

マツモト「やめんか!バカモノがっ!!」

カトリーヌオオタ「!!」

マツモトの大声ひとつで、静まり返るメンバーたち。今のマツモトは、今までのふざけていたマツモトとはまるで別
人のようであった。

マツモト「仲間内でもめあっている場合ではなかろうが!・・・コバヤシが倒れた今、どうやって光の十勇士
         対抗するを決めんとならんのだ!」


深刻な表情で訴えるマツモトを見て、言葉を失うメンバーたち。もめあっていたカトリーヌオオタも肩を落とす。

マツモト「我々の中で一番の実力を持っていたコバヤシが倒されたのだ・・・。生半可な作戦では勝ち目はあ
         るまい・・・。」


メンバーたちのいる治療フロア内が、重苦しい空気につつまれる。誰もが絶望を感じたその時・・・・。

????「どうしたの?みんなしてこんな所に集まって・・・。」

マツモト「!?」

声に気づき、すばやく振りかえるマツモトたち。その視点の先には重厚な鎧に身を包んだ大男2人と、その間に影
に隠れて姿がよく見えない人物1人が立っていた。

マツモト「しょ・・・将軍!!・・・いつお戻りに!?」

真ん中の人物を見たマツモトの顔色が急変する。まわりにいたメンバーもすばやくひざまずいた。

DM将軍「つい今さっきだよ。・・・・だれも迎えに来てくれないんだもん。ちょっとさびしかったな。」

マツモト「もっ・・・申し訳ありません!!すっ、少しトラブルがありまして・・・。」

あわてふためくマツモトをよそに、将軍と呼ばれた人物がコバヤシの眠るカプセルへと近づいた。そしてその中で
眠るコバヤシをじっと見つめる。

DM将軍「へぇ〜。あのアイちゃんがやられちゃうなんて・・・よっぽど強いんだね、その光の十勇士って。」

急に振りかえり、冷徹な目でマツモトたちを見る将軍。その視線に恐怖を感じ、冷や汗を流すメンバーたち。

DM将軍「・・・で、打開策がないから、ここでこうやってみんなで頭をかかえていたってわけだ。」

将軍の視線がさらに鋭さを増していく。そのあまりの恐ろしさに、誰もが目を合わせることができなかった。

マツモト「そ・・・・それは・・・・・。」

DM将軍「まあいいや・・・。じゃあ、みんな作戦室に来てよ。いままでのいきさつを聞いて、これからどうする
         べきかを話し合おうよ。」


将軍の何気ないその言葉からも、メンバーたちは恐怖におののいていた。その顔はまるで深海のように真っ青に
なっていた。

DM将軍「・・・どう、光の十勇士を消すかをさ・・・。フフフ・・・。」

冷徹な目をしながら怪しくほほ笑む将軍。その瞬間、稲光が鳴り響き、嵐がさらに激しさを増した。まるでゴルボン
たちの、この先の運命を暗示づけるかのように・・・・。




見上げるとそこは空が見えなくなるほど立ち並んだ無数の高層ビル。その下を行き交う人の群れ。「エンジョス」
あとにしたゴルボン一行が次にたどり着いたのは、「アシスト大陸」一の大都市「すぐボン?シティ」であった。

必勝ボン「す、すごいよン・・・。地面が人で見えなくなってしまってるよン。(^ ^;」

今まで見たこともないような未来都市の姿に驚く必勝ボン。旅芸人の彼にも、この都市の衝撃は大きすぎたようで
ある。

やぶSAN「この「すぐボン?シティ」は世界一、技術が発達した未来都市ですから・・・。人は便利な場所に
          集まるのが世の道理ってものでしょ?」


必勝ボンの驚く姿を見て、小さく笑うやぶSAN。が、彼女自身も内心はこの都市のすごさに驚いていた。

必勝ボン「こんなに大きければ、いろんな情報が手に入りそうですよン!きっとデルタハンターズのことだっ
         て・・・・。ね!ゴルボンさん!(^ ^)」


ゴルボン「あ、ああ。・・・・・・そうだな!」

しばし空を見上げ、ナビボンの、そしてデルタハンターズのことを考えていたゴルボンだったが、必勝ボンのは
げましに気づき、軽く笑いかけた。その時・・・・。

ピコンピコンピコンピコンピコンピコン・・・・。

ゴルボン「ん!?」

ゴルボンの身に着けていた2つのエンブレイダーから、とつぜん大きな音が鳴った。ゴルボンがあわてて右手の
エンブレイダーを見ると、その宝玉部にうっすらと紋章が浮かび上がっていた。

ゴルボン「見たことがないプラネットエンブレムが浮かび上がっている・・・。これってまさか・・・・。」

必勝ボン「ま、まちがいないよン!・・・この街のどこかに光の十勇士がいるってことだよン!」

ゴルボンの持つエンブレイダーにはプラネットエンブレムを探知する機能がついている。これが反応したというこ
とは、近くにプラネットエンブレムを持つ者、すなわち光の十勇士がいるということになるのである。

ゴルボン「こ、こんなデカい街にいる光の十勇士ってくらいだから、いろんな情報を知ってるはずだ!」

うれしさのあまり顔がほころぶゴルボン必勝ボン。思わず二人でガッツポーズを取る。

必勝ボン「よ〜し!そうとわかれば即、行動よン!さっさと光の十勇士を探し出すよン!」

満面の笑みを浮かべながら、おおはしゃぎでステップを踏み出す必勝ボン。その時・・・。

ドンッ!!

謎の少女「きゃっ!!」

ルンルン気分で歩く必勝ボンにとつぜん一人の少女がぶつかってきた。ぐつかった拍子で転ぶ必勝ボンと少女。

ゴルボン「な、なんかどっかで見たようなシチュエーションだな・・・。(^ ^;」

必勝ボン「あいたたた・・・。」

謎の少女「だ、大丈夫ですか!?」

あわてて立ちあがり、必勝ボンに手を伸ばす少女。必勝ボンは打った腰をさすりながらも笑顔で立ちあがった。

謎の少女「ごめんなさい・・・。よそ見してたもんですから・・・。」

申し訳なさそうに何度もあやまる少女。しかし頭を下げながらも何かを気にするかのようにチラチラと横目で後ろを
見ていた。

必勝ボン「い・・・いいってことですよン。それよりも・・・どうかしたんですかよン?」

謎の少女「い、いえ・・・。な、なんでも・・・・。」

少女が何かを口にしようとしたその時、少女を中心としたゴルボンたちのまわりに、数人の黒服を着た男たちがあ
らわれた。

謎の少女「・・・・!!」

黒服の男を見た瞬間、おびえるかのように必勝ボンの後ろに隠れる少女。その普通ではないおびえぶりに、必勝
ボン
の表情が鋭くなる。

必勝ボン「なるほど・・・・。そういうことかよン。」

黒服A「ようやく見つけましたよ、ソフィア様。」

必勝ボン「!!・・・そ、ソフィア!?あの大人気アイドルの!?・・・まさかこの子が・・・・。」

少女の意外な正体に目が飛び出るほど驚く必勝ボン。案の定ゴルボンの頭の周りには?マークが飛んでいた。

ゴルボン「あいどる?・・・・それって止まってる車がエンジン低速回転させるっていうアレか?」

やぶSANゴルボンさん、それはアイドリング・・・・。(- -;」

ゴルボンたちのまわりにかすかに冷たい風が吹いた。

黒服A「さあ、社長がお待ちです。今すぐ返りましょう。」

ソフィア「イヤよ!!私は歌いたいの!・・・歌わせてくれるまでは絶対に帰らない!」

黒服A「困りましたね・・・。しかたない、こうなったら力ずくで社長の元へ連れて行くことにします。」

一言そういうと、まわりにいた黒服の男たちが、いっせいにソフィアの方へと迫り始めた。

ゴルボン「おい、待てよオッサンたち。」

ジリジリと迫る黒服の前に、ゴルボンが鋭い目つきをしながら立ちはだかった。立ち止まった黒服も、ものすごい
目つきへと変わる。

黒服A「ジャマだ小僧。無関係者がでしゃばったマネしてると、痛い目見るぞ。」

ゴルボン「へっ。真っ昼間から誘拐なんかしようとしているヘンタイ男をほっとけるかってんだ。」

腕を鳴らしながらものすごい迫力でゴルボンに迫る黒服。だがゴルボンはそんなことはものともせず、鼻先で黒服
をあざ笑った。

黒服A「じょ、上等だ小僧・・・。オレらをナメたらどうなるか、その体に叩き込んでやるぜ!!」

すさまじい勢いでゴルボンに襲いかかる黒服。ゴルボンはすばやく腰のケースから1枚のカードを取りだし、黒服に
向けて構えた。

黒服A「な、何!?・・・・キサマ、まさか!!」

ゴルボン「アシスト!「いっぱつおみまい」!!」

ドゴォーン!!ゴルボンが声高らかに叫ぶと同時にカードから光の弾丸が飛び出し、黒服に炸裂した!黒
服はものすごい勢いで後ろへふっ飛んだ。

黒服A「ま・・・まさかBBマスターだったなんて・・・。」

黒服B「こ、このガキ!・・・よくも黒服Aを!」

黒服C「この街で我らに逆らうことは重罪だ!大ケガどころじゃすまんぞ!」

黒服Aがやられたことで逆上したまわりの黒服たちが、いっせいにゴルボンたちに襲いかかった!

ゴルボン「上等だ!相手になってやるぜ!・・・行くぜ、必勝ボン!」

必勝ボン「もちろんよン!・・・女の子ボンをイジメるヤツは許さないよン!」

ケースから取り出したカードを構え、黒服たちを迎え撃つゴルボン必勝ボン。その時・・・!

????「やめぇぇぇ〜〜〜〜〜いッッ!!!!」

カン高い声が、ゴルボンたちのまわりに響き渡る。ゴルボンが耳をふさぎながら声の主を確かめると、そこには高
価そうなネクタイをしめた一人の少年が立っていた。

必勝ボン「こ、子供!?」

ゴルボン「なんだぁ〜!?このボウズは・・・。えらそうに登場しちゃってさ。」

仲裁した少年に近寄り、頭をペシペシたたくゴルボンソフィアと黒服たちの顔がたちまち真っ青になっていく。

ゴルボン「ん?・・・みんなどうかしたのか?」

黒服B「こ、このおろか者!・・・その方は世界一の大企業「すぐボン?コーポ」の社長にして、この街の若き
        市長、すぐボン?様だ!」


ゴルボン「し・・・しちょお・・・・?(^ ^;」

バシバシと少年の頭をたたいていたゴルボンの顔が徐々に青ざめていく。

すぐボン?「この・・・・無礼者ぉ〜〜〜〜!!!!(怒)」




「すぐボン?シティ」の中央に立つ一番高い高層ビル。純金のプレートで「すぐボン?コーポ」と書かれたこのビル
の最上階にある豪華な部屋にゴルボンたちの姿があった。

すぐボン?「なるほど・・・。だいたいの事情はわかった。つまり君たちはソフィアをかくまって黒服たちと争っ
           た、そういうことだね?」


ゴルボンたちがすぐボン?の言葉に無言でうなずく。

すぐボン?「こちらの黒服たちの無礼はおわびしよう。・・・しかし事情も知らずいきなりカードに宿るパワ
           を人にぶつけるなんて・・・。本来なら重罪ものだぞ。」


ゴルボン「しゅ、しゅんましぇぇ〜ん。(- -;」

タバコの箱より小さくなり、深く頭を下げるゴルボン。そんな彼を無視し、すぐボン?ソフィアをじっと見つめた。

すぐボン?ソフィア・・・・。」

ゆっくりとソフィアの方へ歩み寄り、心配そうな表情で話しかけるすぐボン?。たまらず目をそらすソフィア

すぐボン?ソフィア、わかってるのか!?・・・君は狙われているのだぞ。」

ソフィア「・・・わかってるわ。でも、私は歌いたいの!私の歌を待ってくれている人のために!」

必死の表情ですぐボン?にうったえかけるソフィア。だがすぐボン?は首を横に振り、同意しようとしない。

ソフィア「どうして・・・どうしてわかってくれないの?」

目に涙を浮かべながら悲しげな声を出すソフィア。そんな彼女を見てたまらず立ちあがり、すぐボン?をジッとにら
必勝ボン

必勝ボン「どうしてだよン!?歌いたがってるんだから、歌わせてあげればいいじゃないかよン!」

必勝ボンの言葉に思わずため息をつくすぐボン?

すぐボン?「はぁ〜。これだからトーシロは困る。・・・いいか、ソフィアは今、命を狙われているのだ。」

すぐボン?は大きな社長机の引出しから1枚の紙切れを取り出し、必勝ボンたちの座るテーブルに置いた。

すぐボン?「それは先日開かれたソフィアのコンサートで、とつぜんステージに投げ込まれたものだ。」

紙切れを手に取りじっくりと拝見する必勝ボン。その表情が急に強ばったものへと変わる。

必勝ボン「これ以上歌うことを続ければ、お前の命はないぞ・・・・これってもしかして脅迫状!?」

すぐボン?「その通り。・・・それが投げ込まれてから、ソフィアは歌うたびに危険な目にあってきたのだ。」

やぶSAN「ど・・・どうして歌っちゃダメなんでしょうか?」

やぶSANの問いかけを聞きソフィアの方を見るすぐボン?ソフィアがそれに無言でうなずいた。

すぐボン?「信じられないだろうが、ソフィアの歌には邪悪な気を消し去る力があるらしいのだ。」

やぶSAN「邪悪な気を消し去る力!?・・・・それってもしかして王ゴルボン様が持っていたというセイントパ
         ワー
みたいなものですか?」


すぐボン?「ま、そのようなものだ。・・・とにかく、その力のせいでソフィアは命を狙われるようになったのだ。
           だから歌わせるわけにはいかない。」


すぐボン?の言葉に、再び深く落ちこみ始めるソフィア

ゴルボン「ダッセーの。」

ソファーでくつろぐゴルボンが一言そう言い放った。思わずムッとなりゴルボンをにらみつけるすぐボン?

すぐボン?「なんだとっ!?なにがダサいのだ!(怒)」

ゴルボン「だってそうじゃねえか。それって逃げてるだけだぜ。・・・それじゃいつまでたっても解決しねえよ。」

すぐボン?「じゃ、じゃあどうすればいいというのだ!?・・・・犯人が誰かもわからないから、手の出しようも
           ないのだぞ!」


すぐボン?の言葉に企みを込めた表情で軽く笑みを浮かべるゴルボン

ゴルボン「相手がわからないのなら、こちらからおびきだしてやるのさ。・・・・・なに、オレにまかせとけって!
          いい作戦があるんだ。」


自身満々な笑顔でみんなにほほ笑みかけるゴルボン。はたして彼の考えた作戦とはいったい?

To be Continued



NEXT(その2)