第16話「信じる心の宝石」<その2>
思いもよらなかった、老人の意外な返事に、ショックが隠せないゴルボン。
ゴルボン「なっ・・・、何でだよ!」
老人「なぜだと?・・・フン、どこの馬のホネともわからんお前達に、なぜワシがカードを作らねばならん?」
ゴルボンを鼻先で笑いながら、再び酒を飲み出す老人。
すぐボン?「報酬の事を気にしているのなら、心配はいらんぞご老人。この「すぐボン?コーポ」の社長すぐ
ボン?様が、望むだけの金額を払ってやろう。」
自身満々な態度で、ふところから小切手を取り出し、老人の前に差し出すすぐボン?。
老人「金の事を言ってるんじゃない。・・・お前達のような得たいの知れんヤツらに、ワシが作ってやる義務は
ないと言っているんじゃ。」
あまりに冷淡な態度を取る老人に、ゴルボンだけでなく仲間達も怒りを感じた。彼らの鋭い視線が老人を襲う。
必勝ボン「なんて身勝手なヤツだよン!・・・人が困ってるっていうのに・・・!」
やぶSAN「それでも伝説のカード職人と呼ばれたビーダマイスターですか!?」
怒りをぶつける必勝ボンとやぶSANを、鼻先で笑う老人。
老人「フン、身勝手はどっちじゃ。・・・仲間のためとか言っておったが、どうせお前達も今までここに来た輩と
同様、自分の欲望のためにカードを手に入れる事だけが目的なんじゃろう?」
ゴルボン「ちがう!・・・オレは本当に、ナビボンを救いたくて・・・・・・!」
老人「フン、どうだかな・・・。とにかくダメなものはダメじゃ。とっとと帰れ!」
老人のその言葉を最後に、あたりは沈黙に包まれた。くやしさをかみ締めるゴルボン。
ゴルボン「どうすれば・・・信じて・・・・協力してもらえるんだ・・・。」
老人「何度も言わすな・・・。最初から協力する気などない。」
ゴルボン「それじゃ困るんだよ!!」
必死の表情で老人にうったえかけるゴルボン。その瞳を見て、しばし無言になる老人。
老人「・・・・・エレメンティアカードを作るには、エレメンティアストーンと呼ばれる幻の石が必要じゃ。」
ゴルボン「エレメンティア・・・・・・ストーン?」
老人「そうじゃ・・・・。エレメンティアストーンはこの「元素の山」のどこかでしか手に入らんと言われている。
その石を持ってくれば、作ってやっても良い・・・。」
ゆっくりとイスから立ち上がり、横目でゴルボンを見る老人。思わず息を飲むゴルボン。
必勝ボン「こ・・・、この山のどこかって・・・!」
やぶSAN「こんな広い山の中、何の手がかりもなしに見つけられるワケないじゃないですか!」
老人「大切な仲間のためなら、意地でも探し出せるはずじゃ・・・。それともあきらめて帰るか?」
ゴルボンを見る老人の目は、挑戦的にも見えた。
ゴルボン「いいぜ・・・。取ってきてやろうじゃねえか、エレメンティアストーンをよ・・・!」
老人に試されていると感じたゴルボンは、その老人の挑発にのったかのように、扉の方へ向かい、その扉を勢い
良く開いた。
ゴルボン「約束だぜ、ジイサン・・・。石を持ってきたら、エレメンティアカードを作ってもらうからな!」
強い意志のこもった瞳で老人を見ると、ゴルボンは老人の小屋から勢い良く飛び出していった。
必勝ボン「ちょっ、ちょっと!待ってくださいよン!」
すぐボン?「まったく・・・!次から次へといそがしいヤッちゃな!(^ ^;」
仲間達もあわててゴルボンを追いかけ、小屋を後にした。一人、空しく酒を飲む老人。
老人「フン、バカどもが・・・。エレメンティアストーンは、別名女神の涙とまで言われるほどの幻の石だ。こん
な草木も生えない火山にあるわけがなかろう・・・。」
ソファーにかけ、酒ビンを持つ老人の手が、憎しみによってフルフルと震える。
老人「BBカードを争いの道具としか使えんヤツらに・・・・誰がカードを作ってやるものか!」
憎しみに満ちた目で、手に持った酒ビンをにらむ老人。その時・・・・。
????「そいつぁ〜、ひでえ話だな・・・。ならあいつらは、かないもしねえ願いのために、存在しねえ物を探
しに行ったってワケかい!」
老人「・・・・!?」
突然、どこからか聞こえてきた声に驚く老人。その瞬間、老人がいた小屋の扉が、爆発によって吹き飛ばされた!
老人「なっ・・・、何じゃ!」
爆発に驚き、思わず身をふせる老人。彼がふせたまま爆発した扉の方を見ると、そこから怪しい鎧を身にまとった
数人の男達が、小屋の中へと入ってきた。その先頭に立っていたのは、ダークムーンの戦士オオタであった!
オオタ「天下のビーダマイスターともあろう者が、人をだますなんていただけねえなぁ!」
老人「だっ・・・、誰じゃ、お前は・・・!」
オオタ「オイラはダークムーンの特殊部隊隊長、オオタ!・・・・・ビーダマイスター!これからオイラ達といっ
しょに来てもらおうか!」
オオタがサッと片手を上げると、彼の部下達が不気味な足取りで老人に歩み寄り、強引に老人を取り押さえた。
老人「はっ、はなせ!ワシはもうカード作りはやめたんじゃ!・・・今さらどこに連れて行かれようとも、何をされ
ようとも、絶対にカードは作らんぞ!」
逃れようと必死でもがく老人を見て、不気味にほほ笑むオオタ。
オオタ「ヘッ、おめえの作るカードなんかに興味はねえよ。・・・おめえにはエサ(人質)になってもらうのさ。アイ
さんを傷つけたにっくき光の十勇士、あのゴルボンをおびき出すためのなぁ!!」
老人「・・・!!」
老人の小屋から離れて数時間。空を照らしていた太陽が「元素の山」に差しかかろうとしている頃、山道の一角に
馬車から降りてあちらこちらを探索するゴルボン達の姿があった。
必勝ボン「あ・・・、暑いよぉ〜ン・・・。ここが火山だった事、すっかり忘れてたよン・・・。(^ ^;」
流れる汗をふきながら、せっせとエレメンティアストーンを探す必勝ボン。他の仲間達も無言で石コロを拾い、一
つずつ確認していた。
必勝ボン「本当にあるのかよン?カードを作れるほどの力を持つ石が、こんな火山に・・・。」
すぐボン?「たしかに・・・。せめてどんな物かなどがわかれば、この「すぐボン?コーポ」特製ロボットビーダ
ロン、何でも探しちゃロンで見つけられるんだがな〜。」
暑い中での細かい作業に、だんだんストレスがたまり、グチをこぼし始める二人。
必勝ボン「きっとオレ達、あの酔っ払いジイサンにだまされてるにちがいないよン!」
ゴルボン「そんな事ねえ!」
必勝ボン「・・・!!」
イラ立ちまぎれにはなった必勝ボンの一言に、感情むき出しで否定するゴルボン。
ゴルボン「天下に名高いビーダマイスターが、ウソなんてつくはずねえだろ!」
必勝ボン「で・・・、でもあのジイサン、最初からカードを作る気なんてなさそうでしたよん!?・・・やっぱりオレ
達、あのジイサンにだまされてるんですン!」
ゴルボン「だまされてるかどうかは最後にわかる事だ。それに・・・・・・」
けいべつしたような、そんな冷たい目で必勝ボンを見るゴルボン。
ゴルボン「人が信じれなくなったら、それで終わりだぜ?必勝ボン。」
必勝ボン「う・・・・・。」
ゴルボンの言葉に、思わず絶句する必勝ボン。その時・・・・・!
????「この山にいる光の十勇士、ゴルボン!」
スピーカーから発せられたような男の大声が、「元素の山」中に響き渡る。ゴルボン達がすばやく空を見上げると、
そこには巨大な立体映像によって、オオタの姿が映し出されていた。
ゴルボン「あっ、アイツは・・・!「エンジョス」でコバヤシを連れ去ったヤツ!」
オオタ「オイラはダークムーンの特殊部隊隊長、オオタ!おめえが真剣ビーバトで傷つけたコバヤシ・アイ
の一番弟子でい!」
立体映像を見るゴルボンの目が、オオタの言葉で鋭さを増した。
ゴルボン「こ、コバヤシの一番弟子・・・!?」
オオタ「この立体映像とオイラの声が聞こえているなら、今すぐこの山の頂上にある火口付近まで来い!そこ
でオイラと真剣ビーバトをしてもらう!」
オオタの言葉を息を飲みながら聞く仲間達が、ゴルボンの方へと振り向く。
ゴルボン「勝手な事言いやがって!こっちは時間がないんだ。今はアイツらなんかに付き合ってられるか!」
オオタの挑戦状を無視し、再びエレメンティアストーンを探し始めようとするゴルボン。
オオタ「もし30分後に、オイラの前に現れなかった場合は・・・・・・、コイツを火口に突き落とすからな!!」
そう言い放ち、ロープでしばりつけた老人を、立体映像内に引き入れるオオタ。立体映像に映ったビーダマイスタ
ーの姿に、衝撃を受けるゴルボン達。
ゴルボン「ばっ、バカな!あれはビーダマイスター!!」
すぐボン?「どうしてあんな所にいるんだ!?」
やぶSAN「きっと私達がエレメンティアストーンを探している間に、捕まってしまったんだわ!」
ビーダマイスターが捕らえられたという事態が、未だに信じられないゴルボン達だったが、やぶSANの言葉でよ
うやく納得する。
オオタ「いいな!30分後だぞ!30分後にオイラの待つ火口付近までくるんだ!・・・・逃げんじゃねえぞ!」
その言葉を最後に、オオタが映し出されていた立体映像が消えてしまった。オロオロと混乱する仲間達。
必勝ボン「どっ、どうするんですかよン!ゴルボンさん!」
ゴルボン「決まっている!ビーダマイスターを助けに行くんだ!」
すぐボン?「じゃ、じゃあエレメンティアストーンはどうするんだ!?」
ゴルボン「ビーダマイスターが死んじまったら、元も子もねえだろ!それに・・・・・・。」
急に深刻な表情になるゴルボン。握り締めたこぶしを、フルフルと震わせる。
ゴルボン「これ以上、オレのせいで無関係な人の命を失わせるワケにはいかねえんだ!」
仲間にそう言い放つと、ゴルボンはその場から勢い良く飛び出し、そのまま山道を走り出していった。
すぐボン?「あのバカ・・・。馬車の事も忘れて走って行ったぞ・・・。(- -;」
必勝ボン「とにかく・・・、馬車でゴルボンさんを拾って、山頂へ向かうよン!」
必勝ボン達はすばやく馬車に乗り込むと、先を行くゴルボンを追って馬車を発進させた。
「元素の山」が夕日によって赤く染まる頃、山の頂上ではゴルボンが現れるのを待つオオタと、彼に捕らわれた老
人こと、ビーダマイスターの姿があった。
老人「お前・・・、本当にあやつらが来ると思っとるのか?ワシはあやつらに向かって、鼻先であしらうような態
度を取ったんだぞ。」
投げやりな態度でオオタに話しかける老人。オオタは、その老人の言葉を鼻先で笑った。
オオタ「ヘッ、あいつらがおめえを見捨てられるワケねえだろ。・・・すぐにカッ飛んで来やがらぁ。」
老人「・・・・・。」
オオタのその言葉を最後に、顔を伏せたまま無言になる老人。その時、頂上で待つ彼らの前に、勢い良く馬車が
飛び出してきた。
オオタ「来やがったな・・・。、ゴルボン!」
鋭い視線で身構えるオオタ。馬車から降りるなり、目の前にいるオオタをにらみつけるゴルボン。
ゴルボン「ダークムーン・・・・!てめえ!ジイサンは・・・ビーダマイスターはどこだ!!」
オオタ「ヘヘ・・・、心配すんな。あのジジイならちゃんと生かしてあるぜ。・・・・・・・・・・・・ほれ、見な!」
勢い良く左をさすオオタの指の先を見るゴルボン達。そこにはクレーンのような機械で、火口の真上につるされた
老人の姿があった。
ゴルボン「ジ・・・、ジイサン・・・!」
たまらず宙づりにされた老人の元へ駆け寄るゴルボン。その前に、オオタが立ちはだかる。
オオタ「おっと、そうはいかねえ!・・・・ゴルボン!おめえにはこれからオイラと、命をかけた真剣ビーバトを
受けてもらうぜ!・・・敗者は火口に落ちて命を落とす、恐怖のビーバトをなぁ!」
ゴルボン「な、何だと!?・・・・そんなバカげたビーバト、誰が・・・・・」
オオタ「イヤとは言わせねえぜ!おめえがこのビーバトを断れば、あのジジイが火口へまっ逆さまだぜ!・・・
・・・ジジイを助けたいのなら、オイラとのビーバトに勝つ事だ!」
ゴルボン「くっ!」
どうする事もできずに、くやしさをかみ締めるゴルボン。
オオタ「もっとも・・・、あんなウソつきジジイのために、おめえが命をかければの話だがなぁ!」
ゴルボン「なっ、何!?どういう事だ!」
オオタ「ヘヘヘ・・・!おめえらがさっきまで必死に探してた何たらって石・・・。本当にこんな火山なんかにある
と思ってんのか?」
オオタの言葉にゴルボンの表情が凍りつく。
ゴルボン「ま・・・・・、まさか・・・・・・。」
オオタ「そう言う事でい!すべてはあのジジイの口から出たでまかせだったって事でい!・・・あのジジイ、ハナ
からおめえらにカードを作る気はなかったんだよ!ハッハッハッハッハッ!!」
ゴルボン「そんな・・・・、ウソだろ?ジイサン・・・・。」
オオタの笑い声が響く中、悲しそうな表情で老人を見るゴルボン。その表情をを見て、鼻先で笑う老人。
必勝ボン「やっぱり!オレの思った通りだよン!」
やぶSAN「ひどい・・・。ひどすぎます!」
老人「フン、だまされる方が悪いんじゃ!何度も言ったじゃろう!最初からカードを作る気はないと!」
あくまでもゴルボンに対し、ひねくれた態度を取る老人。
老人「お前達のような、カードを争いの道具としか使えんヤツらにカードを作るのは、もううんざりなんじゃ!」
ゴルボン「・・・・。」
老人「お前達のせいで・・・・ワシの親友が・・・・ワシの家族が・・・・・・!」
ゴルボン「ジイサン・・・・。」
顔を伏せたまますすり泣く老人の姿に、言葉を失うゴルボン。老人は再び顔を上げると、ゴルボンをにらんだ。
老人「わかっただろう、小僧・・・。カードが手に入らない今、お前達が命をかけるほどの価値は、ワシにはない
んじゃ。・・・・わかったなら、こんなバカげた勝負など受けずに、とっととここから去れ!」
ゴルボン「バッカヤロォォっ!!」
老人「・・・・!」
自分をけなす老人に、思わず叫び声を上げてしまうゴルボン。老人はたまらず言葉を失う。
ゴルボン「自分の命に・・・・人の命に価値なんかつけんじゃねえよ!」
老人「・・・・。」
ゴルボン「ジイサン・・・。あんたが今までどんな目にあったかはわからねえ・・・。でもこれだけはわかってくれ。
オレはカードが欲しいから、あんたを助けに来たワケじゃねえ・・・!」
老人「ハッ!じゃあお前は、カード以外の何が目的で、こんなひねくれジジイを助けに来たと言うんじゃ!」
ゴルボン「人を助けるのに・・・・、理由なんているのかよ?」
老人「・・・・!!」
ゴルボンの言葉に、言葉を失う老人。
ゴルボン「たしかにウソをつかれたって知った時はショックだったさ。・・・・けど、ウソつきだろうと、ひねくれ者
だろうと・・・・・」
老人「・・・・・・・。」
ゴルボン「大切な命のひとつである事には代わりないんだ!」
りりしい目をしながら、老人に語りかけるゴルボン。その言葉に、思わず涙があふれそうになる老人。
老人(くっ・・・。この荒れた世に、まだこんな素直な考えをする若者がおったとは・・・・。それなのにワシは・・・
ワシは・・・・!!)
老人の黒くすさんだ目に、光が差しかかる。今までこわばっていたその表情が、やわらかいものへと変わる。
老人「ば・・・、バカなヤツじゃ・・・。こんなひねくれた老いぼれのために・・・お前は・・・・!」
ゴルボン「ああ、バカだぜ!・・・そうじゃねえと光の十勇士なんてやってられねえからな!(^ ^)」
申し訳なさのあまり、大粒の涙をポロポロと流す老人に、笑顔で答えるゴルボン。仲間達も笑顔でうなずく。
オオタ「いつまでもくだらねえ事やってんじゃねえっ!!(怒)」
ゴルボン達の内輪話にしびれを切らし、怒りを爆発させるオオタ。彼の放つビーダエネルギーが、嵐のように巻き
上がる!
オオタ「アイさんを傷つけたおめえらが、生きてここから帰られると思うなよ!!」
怒りをむき出しにするオオタを、鋭い目つきで見るゴルボン。両者のビーダエネルギーがはげしくぶつかりあう。
ゴルボン「それはこっちのセリフだ・・・。無関係のジイサンまで、まき込みやがって・・・・・!」
ビシイッ!!ゴルボンの人差し指が、勢い良くオオタをさす!
ゴルボン「絶対に許さねえからな!ダークムーン!!」
To be Continued
