周磨 要の 2005 ピンク映画カタログ


●周磨 要プロフィル
 「周磨要でございます。私、映画が大好きでありまして、キャッチフレーズは<無声映画からピンク映画まで、古今東西邦洋を問わずすべての映画を愛する男>ということで、あの映画好きでは人後に落ちないと言われました淀川長治さんよりも、さらにリーチの広い映画好きということでございます。その映画好きが高じまして、とうとう活動弁士の方に手を出す、あ、いやいや、口を出すということに相成りました」
 これは、昨年の「蛙の会」公演で「雪の渡り鳥」の活弁の舞台に立った時の前説の冒頭であるが、正に私はそのとおりの存在。物心ついてからの東映チャンバラに夢中になったのを皮切りに、57歳の今日に至るまで、変わらず映画を愛し続けている。
 2002年に公益事業を定年退職し、関連企業に再就職。第一線を引くと、精神的にも時間的にも余裕が出来て、ますます映画三昧にのめり込んでいる毎日でございます。
●リニューアルの御挨拶
 昨年末に「周磨要のピンク日記」で記したが、従来のこの日記の中のピンク映画にからめての一般映画の話題を、別コーナーの「湯布院日記」とドッキングさせ、「周磨要の映画三昧日記」として独立させる旨の宣言をした。「ピンク日記」の方は、基本的なスタイルは変えないが、データ性を充実しここに「周磨要のピンク映画カタログ」という形で継続していく。併せて「周磨要の映画三昧日記」も御愛顧いただければ幸いである。
「周磨 要の映画三昧日記」
● NEW 周磨要の掲示板 
「周磨 要の湯布院日記」

「周磨 要のピンク日記」
「おたべちゃんのシネマシネマ」
2005年12月10日(土) ●上野オークラ劇場
「未亡人女将 我慢できないの」 2005年公開
監督・脚本・関根和美 主演・瀬戸恵子,佐々木麻由子

未亡人女将の瀬戸恵子は板前といい仲になっている。板前は昔からの仲居の佐々木麻由子にも、いずれ二人でこの旅館をモノにしようと誘いかけよろしくやっている。主人が死んで傾きかけた旅館を瀬戸恵子や佐々木麻由子のSEXサービスで立て直したやり手である。そこに、教授と女子大生の教え子の不倫カップルやら、会社が倒産して死に場所を探しにきた社長とひそかに思いを寄せているゲイの社員との二人連れやらが出没するという濡れ場方便ストーリーの凡ピンクである。佐々木麻由子の活き造り女体盛りと、三井かおりの女子大生のアッケラカンとした現代っ子ぶりがまあ見所か。

「四十路の色気 しとやかな官能」 2005年公開
監督・浜野佐知 脚本・山崎邦紀 主演・美月ゆう子,風間今日子

河原のテント住まいの冴えない若者が、公園でいかにも負け犬の風情の四十女の美月ゆう子を引き込んで情事に明け暮れる。負け犬同士のよしみか美月も激しく応じる。時々、しとやかな和服姿やナース姿に瞬間的に変身するのが意味ありげだ。和服姿で7年前の別れた夫を訪れる。売れっ子の官能小説作家だった夫は暴力的な今の妻風間今日子のためか、書けなくなっている。ナース姿で10年前の恋人の医師をを訪れる。医師は院長の娘との結婚を選び彼女を捨てた。今は勃起不全で悩んでいる。彼女の出現がきっかけで、作家はM小説作家として再起し、医師の妻は自立を求めて夫から去る。ここまでくればもうネタは見え見えで、美月ゆう子は交通事故で死んだ霊で、現世に影響を与えたのを見届け昇天していく。パッとしないが妙にそそる負け犬風情の美月ゆう子が、髪をアップして和服姿になると若き日の八千草薫似で華やかになるあたりが魅せる。アナーキーな性の世界の女流監督浜野佐知の持ち味よりも、ファンタスティックでSFチックな山崎邦紀脚本の色が前面に出た佳篇だった。

ピンク大賞の参加資格の鑑賞総数25本にあと1本と迫り、もう何でもいいや年内にクリアしようと、新作3本立(1本は「セクシー剣法 一本ぶちこむ」の再見)の上野オークラ劇場に行く。偶然にも佐々木麻由子がワキで3本とも出演していた。佐々木麻由子脇役特集といったところか。これで鑑賞総数26本、まずは安らかに(?)年を越せる。昨年までは、「映画芸術」誌の連載などもあり、色々便宜を図っていただいたが、今年からは自力更生(?)の参加資格クリア、とにかく何とか達成した。もっとも、13号倉庫さんの招待券の2本もあったし、お蔵出しの1本もある。ありがとうございました。完全自力更生はまだまだ茨の道である。今年の「ピンク映画カタログ」はこれで最終となります。みなさま、よいお年をお迎え下さい。
2005年11月26日(土) ●新橋ロマン
「肉屋と義母−うばう!−」 2005年公開
監督・松岡邦彦 脚本・黒川幸則 主演・山東ルシア, 徳原晋一

山東ルシアは大学教授。弁護士の夫の後妻になる。息子にはフィアンセもいて幸せいっぱい。ただ、やや年の離れた夫は夜の方は芳しくない。それがちょっと不満。肉屋の軒先で雨宿りした時、中の夫婦の激しい営みを見てしまう。ある日フラフラとその肉屋を訪れる。肉屋の主人徳原晋一は絶倫の持ち主。はまりこんでしまうルシア。濡れ場はXcesFilmならではのねちっこいアヘアヘピストンのくどいワンパターン。ただし一度で体位の変化から5連発を想像させるところで、肉屋の絶倫ぶりが伺える。肉屋の妻は嫉妬から義理の息子を誘惑。このことで息子とフィアンセの仲は壊れる。冒頭の幸せを絵に描いたような家族が終盤でズタズタに崩壊する。ルシアは待望の妊娠。でも、これ肉屋の種じゃない?幸せそうな妊婦のルシアのファンタスティックなイメージでエンド。濡れ場乱発のXcesタッチだが、ワンアイデアストーリーでちょっと洒落てる一編。

「ノーパン家庭教師 痺れ下半身」 2005年公開
監督・下元哲 脚本・関根和美,水上晃太,宮崎剛 主演・合沢萌,佐々木基子

これも濡れ場乱発のXcesタッチだが、「肉屋と義母」と似たような設定でワンアイデアストーリーがちょっと洒落てる一編。高校生の連れ子間宮ユイのいる久須美欽一のところに後妻に入った佐々木基子。姪の合沢萌を家庭教師として間宮ユイにつける。萌は家族の中で寂しく浮いている初老の退職者の久須美欽一をジャズダンス指導を通して誘惑。また、教え子の間宮ユイもレズの世界に引き込む。両方とも佐々木基子の知るところとなり、二人とも家にいずらくなる。萌は二人にそれぞれ駆け落ちを誘うが、約束の場には現れず、二人とも個々に家出するしかない。どうみても温泉旅館ロケにしかみえないのに、普通の家庭として撮っている奇妙な映像空間がちょっと楽しい。これは「テオレマ」か?と思ったら、そんな高級なことではなく合沢萌,佐々木基子はレズ関係、邪魔者を追い出して自分達の世界に溺れ尽くす。叔母と姪というのも本当かどうかといったところ。舞台は温泉ロケ地らしき所に限定、登場人物も前記4人に加えて間宮ユイの援助交際相手のなかみつせいじの5人だけというコンパクトさも見事。

「映画三昧日記」で記したが、これは13号倉庫さんの御好意で頂いた招待券で鑑賞した。見てよかった。監督・脚本で鑑賞作品を選定する可愛げのないピンクファンの私はXcesの封切2本立は、もっとも食指の動かない番組で、頂き物がなければまず観にいかなかったろう。濡れ場の方便でストーリーが転がるXcesでも、洒落たワンアイデアストーリーの仕掛けがあるのを確認できました。ありがとうございました。

2005年11月××日 ●お蔵出し
「SEXマシン 卑猥な季節」 2005年公開
監督・田尻裕司 脚本・守屋文男 主演・平沢里菜子, 吉岡睦雄

だらしない夫と別れ5歳の息子を育てている平沢里菜子。今は土地の顔役と関係を持っている。何故か顔役を中心にコオロギ相撲が盛んで、息子もコオロギを育てみんながその息子を可愛がっているという奇妙な共同体空間が現出している。そこへ謎の男の吉岡睦雄がヒモとして平沢里菜子と関係を持つ。SEXしてるとそれに合わせて地震が起きたり、何とも現実離れした変な存在で、最後は天変地異の津波が起こったりして吉岡睦雄は死んでしまう。と、思っていたらさり気なく生き返ってまたコオロギ共同体に復帰していたりと、分かったような分からないような異才田尻裕司の奇妙な味わいの一編だった。

「セクシー剣法 一本ぶちこむ」 2005年公開
監督・脚本・深町章 主演・吉沢明歩,千葉尚之

宮本武蔵の末裔の宮本武子(吉沢明歩)と吉岡一門の末裔の吉岡鈴之助(千葉尚之)は、幼馴染みの仲良しで今は高校の剣道部のライバルでもある。男の子がいないため宮本家に男として育てられた武子が女として目覚め、最後は鈴之助とラブラブとなる。設定といい名前といい、何とも人を喰った他愛ないが楽しい一編。股旅姿で女を犯して歩きまわる牧村耕次演じる正体不明な男の出没で吉沢明歩もレイプされるが、股旅姿の牧村と晒しと六尺の男装下着の明歩との濡れ場は目を楽しませる。青々とした湖畔や山脈、予算も豊富でなかろうから東京近郊だと思うがなかなか効果的なロケだった。高校生の制服の男装から、色っぽい浴衣姿、幻想の中の武蔵と吉岡一門の対決での宮本武蔵姿と、吉沢明歩の三変化もビジュアル的に魅せる。さすがベテラン深町章だ。「人妻 あふれる蜜ツボ」に続いて吉沢明歩の若さが眩しくキラキラ輝いている。

13号倉庫さんの御好意に続いての別の方の御好意(出所は記せないが)のお蔵出しの2本。これでピンク大賞の対象作品鑑賞総数は24本。参加資格にあと1本と迫ってまいりました。重ねて、ありがとうございました。
2005年10月29日(土) ●新宿国際劇場
「ミスピーチ 巨乳は桃の甘み」 2005年公開
監督・吉行由実 脚本・吉行由実,本田唯一 主演・林由美香,薫桜子

 結果的に林由美香さんの遺作となった。ミスフルーツ日本代表を巡って、準ミスの薫桜子が陰謀を図るのを明朗コメディタッチで綴る。実は由美香は、十代の頃暴走族のボーイフレンドの子を生んだ17歳の男の子の母。父親は事故で死んでいる。それが暴かれて日本代表はならなくなるが、昔のボーイフレンドと瓜二つのジャーナリスト(岡田智宏)と知り合い、幸せを掴みそうとのハッピーエンド。ミスピーチと張り合ってミススイカの3人組がスイカップを揺らしたり、巨乳薫桜子が「ピーチを食べてピーチピチ」と巨乳をこれみよがしに突き出して貧乳由美香を挑発したりとの明朗タッチ。男女の心と体の襞をきめ細かく描き尽くす手腕に優れた吉行由美監督としては、今回は肩の力を抜いた軽い作品。17歳の息子がいながら多少は年増とはいえミスコンに参加してトップを取ってしまうキャラクターに違和感を与えない由美香さんはさすがである。他の女優では考えられまい。でも遺作ならば、「たまもの」に負けないくらいの女の肉体と情念の凄まじさをスクリーンに叩きつける作品に出てもらいたかった。それがやや寂しい。後述の2002年作品「痴漢鉄道 ムンムン巨乳号」でも堂々と貧乳キャラを前面に出していたが、スレンダーがチャームポイントとはいえピンク映画で貧乳を謳っちゃうあたり、貫禄と自信の現れだ。再度、御冥福を祈るのみである。合掌!

「パイズリ熟女 裏責め」 1995年公開
監督・小林悟 脚本・五代暁子 主演・冴島奈緒,桃井良子

 尾行が下手で淫乱な女探偵の行状記。仕事がないと探偵事務所長にも迫って閉口させる始末。探偵稼業をしながら、尾行相手の愛欲世界に巻き込まれつくすという濡れ場の方便でストーリーが転がる典型王道ピンク。ということで見終わってしばらくたったらディティールが完全に飛んでいた。

「痴漢鉄道 ムンムン巨乳号」 2002年公開
監督・渡邊元嗣 脚本・五代暁子 主演・…美咲レイラ,風間今日子

 旧題「痴漢電車 魅せます巨乳」、電車の中で痴漢に囲まれている美咲レイラを男が救うと彼女のブレスレットが光り、あなたこそ私の男と迫って同棲し財産を吐き出させ姿をくらます。一度目はエリと名乗り、2度目は別の男と樹里と名乗って同様のことを行なう。ブッ飛び感覚が期待できる渡邊元嗣監督だけにSF的落ちでもつくかと思ったらさにあらず。彼女の本名は良子、辺鄙な村の診療所を存続させようと恋人のために資金集めに励んでいたとの何とも凡な顛末でした。
2005年10月9日(土) ●新宿国際劇場
「ふたり妻  寝室の淫らな匂い」 2005年公開
監督・荒木太郎 脚本・三上紗恵子 主演・淡島小鞠,佐々木基子

倦怠期の真子(佐々木基子)と健二(三上寛)の夫婦。基子は若い男と浮気中である。ある日「しょじょじの狸囃子」のメロディーに乗って若い女の淡島小鞠が三上の前に現れたり消えたりする。そして、ついには迫ってくる。若い女はマコと名乗り、真子の若い頃だったと称する。そういえば若き日の妻だ。健二は不倫(?)に至ったところを真子に見られてしまう。でも、これって不倫になるの?真子とマコは健二を挟んでやりあい、真子は所帯やつれで魅力を失った自分を反省する。幻想の中で、ラブラブ時代のマコとケンジ(荒木太郎)を目撃する二人。こんな時代もあったと思い返し、健二と真子の夫婦仲は回復する。マコはそれを見届けて消えていく。淡島小鞠と佐々木基子、三上寛と荒木太郎が似ても似つかず、どう見ても同一人物に見えない野放図さも微笑ましい。いかにも荒木太郎らしい爽やかなファンタジーだ。効果的な「しょじょじの狸囃子」の音楽、エンドクレジットの出演者に子供時代の写真を活用したりと、相変わらず荒木太郎の遊び心は楽しい。よく考えるとこれはフランソワ・オゾンの最新作「ふたりの5つの分かれ路」をファンタジー的に換骨奪胎した作品のようにも見えるが、いくらフットワークの速いピンクとはいえ、それはなかろう。単なる偶然だと思う。

「人妻(裏)盗撮 背徳の情交」 2005年公開
監督・国沢実 脚本・城定秀夫 主演・森田りこ,里見瑶子

専業主婦の森田りこは、家事以外は何もできない。不妊が判明してからは夫は愛人(御贔屓里見瑶子嬢!)を作り抱いてもくれない。オナニーで欲求不満を解消する日々である。そこに、工事のドサクサに紛れて盗撮装置を仕掛け、録画して裏ビデオに流す電機屋が現れる。彼は森田りこに惚れてしまうが、視姦にしか興味がない。ビデオテープを送りつけ言うことを聞かないとネットに流すと脅迫し、激しいオナニーを強要する。さては若くしてカンヌのグランプリに輝いたスティーブン・ソダーバーグの「セックスと嘘とビデオテープ」のピンク版と思いきや、結局りこと電機屋は出会って不倫関係になり、そちらの方は凡な展開である。ただ、二人で駆け落ちしようとの誘いにりこは、私はあの家を離れられないと拒絶する。愛人が挑発にきて離婚を迫っても、同じ言葉で斥ける。そのたおやかな中にある芯の強さに、愛人も夫の元から去る。「私を見て」という花言葉が好きな控えめだが強靭な心を秘めた森田りこの魅力で見せる一編である。御贔屓瑶子嬢、妻の強さに負け男を自ら振るあたりを、情感を込めて演じた。ただ、冒頭の濡れ場の前技で、キックからチョークスリーパーを見せるなど、格闘技女のブッ飛びぶりを見せてくれるかと思ったら、それはそれだけのことだった。瑶子嬢のブッ飛びぶりは昨年末の「桃色ガードマン カラダ張ります」の女盗賊「ベルサイユの黒バラ」以後、絶えて久しく見ない。そろそろブッ飛んだ里見瑶子嬢が見たい。

「女医の湿毛」 旧題「女医ワイセツ逆療法」 1997年公開
監督・関根和美 脚本・小松公典 主演・青木こずえ,沢口レナ

カウンセラーの青木こずえは、婚約者がいるのを承知のうえで理事長と関係を続ける。受診者の受験ノイローゼの若者とも関係し、彼は彼女のためと思い理事長の婚約者をレイプする。婚約は解消となり、理事長夫人の座を手に入れたも同然となるが、そうなると彼女は興味を失い次の獲物を求めて去っていく。てな、濡れ場のネタに事欠かない凡ピンクでした。
2005年9月10日(土) ●新宿国際名画座
「人妻 あふれる蜜ツボ」 2005年公開
監督・脚本・深町章 主演・里見瑶子,佐々木ユメカ

 深町章の練達の職人芸は、今回も健在だった。舞台は戦後間もない昭和22年の没落華族。「安城家の舞踏会」みたいな映画もあるくらいのスケールの大きな題材を、登場人物を男女各3人3組の6人のみに絞り、場所も殆どが旧家の屋敷内に限定して、小道具の工夫で時代の雰囲気を低予算の中にも関わらずきっちり出し、しっかり纏めあげてみせた。1組めは華族の戦争未亡人の御贔屓里見瑶子嬢。亡き夫は岡田智弘で、思い出の濡れ場と仏壇前のオナニーで、ピンクとしての見せ場をちゃんとクリアする。彼女は、戦犯で拘置中の義弟の釈放を待ち、それまでは没落しても屋敷を手放すまいと頑張り続ける。出所したら義弟と愛し合っている女中(差別用語かもしれないが、この時代色を感じさせるのはこの言葉しかない)吉沢明歩と後を継がせ、自分は屋敷を去ろうと決意している。その吉沢に迫るのは、二人でここを乗っ取ろうと目論む元運転手の川瀬陽太。戦後の成金で「安城家の舞踏会」なら神田隆に相当する人物だ。2組目は川瀬の吉沢へのレイプである。瑶子嬢の親友だったが恋敵として岡田智弘を争い、恋に敗れたのが佐々木ユメカ。自暴自棄で死に場所を探しており、ヒロポン中毒の情人の千葉尚之と屋敷に転がり込み退廃的な情事を繰り返す。これが3組目。過不足なくバランスよくドラマが組み立てられており見事だ。
 御贔屓里見瑶子嬢お目当てで見たのだが、曲がり角を感じさせられた。金魚の妖精・ニューハーフ・処女の亡霊・セーラー服女子高生から全共斗女闘士etc、年齢不詳(時に性別不詳)を若さでキラキラ乗り切ってきたが、そろそろ転換期のようだ。若さの弾けという点では、当然吉沢明歩に押されるのはやむをえない。佐々木ユメカとガップリ競演するあたり、ベテラン女優という風格も出てきたが、最後の決意を秘めたクローズアロップの長回しあたりになると、葉月蛍あたりに比べてまだ持たない。御贔屓里見瑶子嬢、いよいよ正念場との感がないでもない。

「痴漢と奥様 尻に欲情」 1988年公開
監督・脚本・珠瑠美 主演・柴田はるか,杉本まこと

 旧題「人妻痴漢体験 まさぐる」川べりのジョギングコースに露出狂の痴漢が出没する。といっても、しごいて精液を浴びせるだけというかなり無害な痴漢だ。その巨根が奥さん連中の話題になる。巨根見たさに、それらしき男の前で挑発的なポーズを取ったりする奥さんも登場する。「こっちだって選ぶ権利はあるよ」と呟く痴漢氏。てな具合の他愛のない一編

「痴漢体験 Hがいっぱい」 1995年公開
監督・浜野佐知 脚本・山崎邦紀 主演・藤野まりの,山本竜二

 旧題「痴漢電車 エッチがいっぱい」エロ漫画界の世界を描く。処女でエロ漫画を書いてる南野バイブ。対称的に男関係も激しくフェラが得意な所沢ゴックン。童貞のライオン丸。人を食ったペンネームが楽しい。編集者がやらせの痴漢を仕組み、南野バイブに処女の痴漢体験ルポを依頼したり、バイブがライオン丸に処女を捧げようとして早漏してしまい失敗したり、最後はバイブがバイブで破瓜をする。という分かったような分からないような脚本・山崎邦紀と、アナーキーな監督・浜野佐知とがドッキングした珍品。
2005年8月6日(土) ●新宿国際劇場
「援交性態ルポ 乱れた性欲」 2005年公開
監督・竹洞哲也 脚本・小松公典 主演・冬月恋,倖田李梨

 ルポライターの倖田李梨は、渋谷で高校中退して家出して援助交際で食いつないでいる冬月恋を取材する。簡単な食事をたかって取材に応じる冬月。金がなくなればキャバクラ体験と、虚無とあっけらかんが入り混じった現代の若い娘の空気が救いとられていく。冬月を窓口として、似たような娘が次々と紹介される。何か理解できることを期待して、倖田李梨も援助交際を体験するが、何かが解るわけでもないし、何かが変わるわけもなかった。「今日みたいな日が何日続くと思う?」「何となく」といったモノローグが連発される終盤、時代の空気を巧みにキャッチしたようでもあるし、単なる濡れ場のバリエーションが目的の風俗探訪に過ぎないようにも見える。いずれにしてもこういうネガティブな感覚は、私の趣味ではない。

「負け犬OL 毎日が発情期」 2005年公開
監督・池島ゆたか 脚本・五代暁子 主演・山口真里,松雪令奈

 幼馴染みのSEXフレンドはいるが、彼がフリーターなので結婚に踏み切れず、バツイチの男との二股もかけているメイ(山口真里)。画廊経営者との不倫を続けていて、その生活に満足しているかおり(松雪令奈)。玉の輿に乗れたと思ったら、夫はあきれたマザコン男、子を宿したまま離婚しシングルマザーを目指すみな子(仲間ひとみ)。いわゆる三者三様の負け犬模様だが、どれも平凡でユニークなものはない。ただ、「メイの場合」「かおりの場合」「みな子の場合」と3部に分けた構成の妙。天から声を降らして登場する神戸顕一のセクハラ課長のケッタイな魅力。エンドクレジットに挿入される撮影風景の楽屋落ちの楽しさ。色々と工夫はあるのだが、才人コンビ池島=五代コンビ作品としては、物足らない凡ピンクだった。

 8月6日(土)現在、今年度封切り鑑賞ピンク映画は16本、ピンク大賞の投票資格25本以上までの道は遠い。とりあえず現時点でのベスト3を記します。
 「不倫団地 かなしいイロやねん」   監督・堀禎一
 「人妻を濡らす蛇−SM至極編−」   監督・池島ゆたか
 「援助交際物語 したがるオンナたち」 監督・いまおかしんじ
2005年7月9日(土) ●上野オークラ劇場
「人妻姦通 お仕置き監禁責め」 2005年公開
監督・小川欽也 脚本・小松公典 主演・佐々木麻由子,平川直大

 夫がいて高校生の娘がいて平凡だが幸福な家庭の主婦の佐々木麻由子。テニスコーチの若者平川直大の火遊び相手がいるのも文句のないところ。ところがある日の逢引きの帰り道に二人は拉致されてしまう。覗き見されている一室に監禁された麻由子、その理由は全くわからない。と、ここまで書けば、これはカンヌ映画祭グランプリの韓流作品「オールドボーイ」ネタだなと想像がつく。こういうのを、すぐにパクるフットワークの軽さはピンク映画ならではだ。
 部屋を覗いてるらしき男からオナニーを強要されるかと思えば、男が乗り込んできてレイプもされる。家族の近況のビデオが部屋のTVに映される。娘は覆面男にレイプされている。夫は妻とテニスコーチとの火遊びの写真を会社にばら撒かれて失職寸前、やけになって昔の恋人によく似た女とベッドインしている。その女を見て麻由子は思い出す。かつて偽りを言って、夫と恋人の仲を引き裂いて、自分が結婚したことを。
 愛する人との仲を引き裂かれた恋人は、宿していた子供を出産した後に狂い死ぬ。孤独に生きてきた子供の成長した姿が、不倫相手の平川直大で、すべては彼が仕組んだ復讐劇だった。麻由子は解放されるが、もうどこへも帰る場所はない。残酷な復讐劇としては、監禁期間も内容の壮絶さも「オールドボーイ」に遠く及ぶものではないにせよ、とにかくアッという間にこういうコピー作品を完成してしまうピンクの軽やかさは楽しい。

「レイプ願望 私をいかせて!」 1996年公開
監督・脚本・清水大敬 主演・水野さやか,牧村耕次

 ピンク女優の水野さやかは、牧村耕次演じる清水監督にプロデューサーの反対を押し切って勝負作の主演に抜擢される。撮影当日、絶対に遅刻は許されない。ところが、電車に乗る直前に、ガス代にやかんをかけっぱなしなのを思い出して家に戻ったのをきっかけに、捕まった下着泥を連れて刑事が現場検証に訪れたり、長年音信のなかった姉が訊ねてきたり、下着泥が刑事を殴り倒し彼女がレイプされちゃったり、とにかくどうしても家から出られず撮影現場に向かえない事態が続出する。「ウィークエンド・シャッフル」を彷彿させる不条理感覚が楽しい。
 ラストは、彼女が現場でうたた寝をしている間に抜擢を夢見てたという夢オチ。夢の中の監督の牧村耕次に「監督!」と寝ぼけて呼び掛けると彼は役者で、「何を寝ぼけてんだ!」と清水大敬監督自身が怒鳴る楽屋落ちが楽しい。夢の中で地味な衣装でスクリプトガールをしていた林由美香さん(合掌!)、なんでこんな役をと思ったら、現実の方では女優でしっかりヌードを見せていた。この落ちも楽しいが、今は楽しいなんて軽く言えないのがちょっと寂しい。
「レイプ願望 私をいかせて!」は公開年不詳でしたが、その後、ぢーこさんから1996年公開を教えていただきました。ありがとうございました。

「セックス詐欺の女 濡れてよがる」 2005年公開
監督・脚本・深町章 主演・里見瑶子,牧村耕次

 登場人物は芸達者の6人ポッキリ。侘しい山村の限定した舞台。時間も3〜4日に限定というコンパクトさでしっかり見せるベテラン深町章・監督・脚本の練達の職人芸だ。男ヤモメの農夫の牧村耕次と駐在の神戸顕一は、近所の土臭い女の水原香菜恵に夜這いをかけている悪友同士。ある日都会から、借金苦で自殺を図る美貌の里見瑶子が訪れる。牧村耕次と神戸顕一に二股かけて同情を買い、婚約をする代わりに金を引き出してもらう手配をつける。おりしも、太股にホクロのある女結婚詐欺師が近隣を徘徊しているとの情報が駐在に入る。牧村耕次と神戸顕一は、お互いに婚約を報告しあい嬉々としているが、それぞれ相手の婚約者は水原香菜恵だと勝手に解釈している。そこへ牧村耕次の息子の千葉尚之が、婚約者の華沢レモンを連れて帰郷してくる。3組の合同の婚約祝の宴をまずは開こうと、里見瑶子に金を渡すのはその後に見送られる。ヤバいと感じた里見は、水原香菜恵を言いくるめて宴に送り込む。両方から婚約を申し込まれたと思い込んだ水原の闖入で、宴はテンヤワンヤ。その夜、千葉尚之と華沢レモンの濡れ場。レモンの太股にクッキリとホクロがあるというのがオチ。残念なのは、中盤で里見瑶子が浴場で「私はホクロなんてなかったわよねえ」と呟いて確認するところ。これがなければ、もっとオチが効いたと思う。主演、久々の御贔屓里見瑶子嬢、前日から主演女優目当てでワクワク待つのは、絶えて久しい映画体験である。瑶子嬢、相変わらずの美貌とチャッカリ詐欺師ぶりがチャーミングだ。ただ、若さだけのピチピチ、キラキラで押しきる年ではなくなってきたなあとも感じる。「小説家の情事2 不倫旅行」で女子高生でなく先生役だった時にも寂しく感じ、深町章監督との酒席の機会にそのことを話したら、「そりゃ、女優はいつまでも若くない」って。そういうことなんだろう。私がピンク映画を見始めた頃、入門編として当時好評だった「OLの愛汁 ラブジュース」を薦められた。まあ悪くはないが、これだけでは私はピンクにハマらなかったろう。おりしも、監督・深町章、脚本・川崎りぼん、主演・御贔屓里見瑶子嬢!初トリオの「痴漢家政婦 すけべなエプロン」(平成人魚伝説)が公開された。このトリオのその後の作品群、そして国沢実監督=樫原辰郎脚本コンビ作、こういうエンタメ系がなければハマっていくことはなかった。御贔屓里見瑶子嬢、やっぱり今後も追い続けていきたい。
●林由美香さんのこと
 林由美香さんが亡くなった。第一報は「映画芸術」の104さんだった。6月30日(木)発行の東京スポーツの一面は、由美香さん急死の報で埋め尽くされていた。
 由美香さんとお会いしたのは2度、最初は2004年ピンク大賞の打ち上げだった。すでに「たまもの」を見ていた私は、女優賞確実とのエールを送った。その時に役創りのお話などを伺った。再会は、2005年ピンク大賞の打ち上げ、「ご記憶かどうか、昨年の打ち上げで女優賞確実と断言した者です。おめでとうございます」ただ、ダブル受賞の佐々木ユメカさんもいたので、「たまもの」賛歌は控えて、ご挨拶
程度の話しかしなかった。
 私は業界外の者なので、女優さんと話すことができるのは、稀な体験だ。その稀な体験の中の一人の方が急逝するとは…しかも34歳の若さ!
 今は御冥福をお祈りするのみである。
2005年6月12日(日) ●新宿国際名画座
「官能の館 人妻昇天」 2004年公開
監督・脚本・橋口卓明 主演・葉月蛍,本多菊次郎

 医療ミスの内部告発で、職も妻も失った医師の本多菊次郎と、同情から恋愛関係になった看護婦の葉月蛍が主人公。新生活を目指して新居を購入する。引越し当日に、眼を黒く塗り潰された不気味なフランス人形を発見。前の住人の忘れ物かとも思い、とりあえず保管しておく。住んでから間もなく、蛍は誰かに見られている感覚、いや長い髪で白い着物の「リング」の貞子を彷彿させる女がチラリと視界に入るのを何度も目撃する。前の住人を調査したら、母子二人暮らしで、母が引きこもりの我が子をバラバラ殺人して発狂していたことが判明した。そして、不気味な女が菊次郎を襲う。蛍が人形をバラバラにすると、女は消える。やっと心安らぎ濃厚な濡れ場。なぜかフラッシュが断続的に光る。一転、場面は菊次郎のバラバラ死体と、自殺した葉月の現場検証のフラッシュへと変わる。人形を通じて夫をバラバラにしてしまった蛍が後追い自殺したということか?人形は原型に復し、不気味な黒い瞳もそのままという余韻のある幕切れだ。低予算ながらカメラアングルや焦点をボカした演出の工夫で怖がらせかたは「リング」に匹敵する超一級。もっとも、「リング」自体が、低予算だが知恵の工夫で恐怖を醸成する演出が魅力だったのだから、それを踏襲したということか。
 「リング」の中田秀夫監督は、ハリウッドの「リング2」では潤沢な予算を駆使しての恐怖を創りあげたが、その話題は「映画三昧日記」をどうぞ。と、「映画三昧日記」も覗いてもらおうとの、ここはさもしい魂胆である。

「見てはいけない母の痴態」 1996年公開
 監督・深町章 脚本・岡輝男 主演・青井みずき,風見怜香

 旧題「青い性体験 淫らに燃えて」。無医村女医志望で進学を目指す女子高生の娘。女の幸せはいい男との結婚しかないとの母。だが突然、娘の希望を入れて家庭教師をつける。名門大学生と結びつけようとの魂胆である。精力のつく食事を差し入れたり、催淫香を炊いたら母の方が催してオナニーしたりのドタバタ騒動。家庭教師はホモであることが判明してチョンというのが落ち。ベテラン深町章監督は、女子高生とサッカー部の同級生との濡れ場、いい旦那がいながら不倫でも稼ぐ姉、ホモ家庭教師を誘惑して落としてしまう母、と多彩な濡れ場を巧にちりばめて引っ張っていく。

「援助交際物語 したがるオンナたち」
監督・脚本・いまおかしんじ 主演・向夏,平沢里菜子

 浮気者の夫と喧嘩して家を飛び出した人妻の向夏は、マンガ喫茶で年下の平沢里菜子と知り合い、二人で援助交際を始める。たが、里菜子は向夏の夫とも関係した後に、乱れた生活の報いで子宮を取る羽目になり、親の看病のため田舎に帰る。数年後、夫と別れて子連れになった向夏と、再び上京していた里菜子が再会し、お互いに感慨に耽るのだった。と、こんな平凡な荒筋だけを紹介しても殆ど意味がない。
 昨年のピンク大賞・監督賞のいまおかしんじの映像パワーが、とにかく相変わらず凄い!言語化不可能の女の情念の表現が素晴らしい。冒頭の悔しそうに夫にワインの瓶を叩きつける向夏のアップ、水と油みたいな向夏と里菜子の愛憎半ばする微妙な関係、「でも、あなたと会えて楽しかった」田舎に帰る里菜子と向夏のホームの別れの切々たる情感、蛙の着ぐるみの小道具の扱いも巧みで、ラストの再会で関係者一同が画面に入って踊るあっけらかんとした明るさまで、言葉を連ねても全く映画の良さを伝えきれない。見てもらうしかない。「不倫団地」と並んで、今年のベストワンの有力候補である。
2005年5月6日(金) ●上野オークラ劇場
「痴漢義母 汚された喪服妻」 2005年公開
監督・廣田幹夫 脚本・高木裕治 主演・阿当真子,小島三奈

 良家の箱入り娘の阿当真子が、家が没落して裕福な社長の家に嫁ぐ。だが、昔にトラウマがあり男を異常に恐怖して夫との夫婦生活も貫徹できない。優しい夫は無理をせずに待つのだが、突然に急死してしまい処女妻のままになる。夫を追憶して仏壇の前でオナニーしているのを息子の嫁に発見され、無理矢理に息子の夫婦生活を覗かせて欲情させられて、ついに義理の息子に犯されて奇妙なトリプル関係に至る。しかし、かねてから社長夫人に心を寄せていた秘書の尽力で、後継ぎの息子を追い落とす大逆転となり、新社長として辣腕を振るう。前半の触れなば落ちん楚々とした処女妻の風情、後半の開き直った新社長ぶりと、阿当真子の個性がうまく生きた。

「人妻を濡らす蛇−SM至極編−」 2005年公開
監督・池島ゆたか  脚本・五代暁子  主演・山口真里,牧村耕次

 「襦袢を濡らす蛇−SM開華編−」に続く2部作の完結編。どうも池島監督の連作に、私は頓珍漢なことを言ってしまう性癖があるようだ。昨年の「淫乱なる一族・第一章」でも「一族が次々と男を騙し殺していくのを続けるシリーズを目論んでるのだろうか」とピント外れなことを書き、「ぢーこ」さんからパラレルワールドの構想であることを教えられた。今回も前作で「牧村は急死」して山口真里のSM癖が「日常世界をどう侵食していのか」なんて書いて、「ぢーこ」さんからまたまた「牧村さん演ずる美術評論家は死んではいません」と指摘されてしまった。確かに不治の病だったがそれを克服し、事故で車椅子になりながら復活してくる。平凡な人妻となったはずの山口真里だったはずが、フラフラと牧村の元に戻り再び、いや前よりも深くSMの世界にのめり込む。前作のドラマを盛り上げる一要素としてのSMではなく、今回は徹底的に緊縛のエロチシズム・拘束されて愛撫されることの興奮に、魅惑の一点を絞り込む。女流緊縛師の狩野千秋の延々と続く緊縛ショーといった趣。クライマックスのクレーン吊なんて杉本彩も裸足で逃げ出すんじゃないかと思わせる過激さだ。ラストのコートの中の全裸の亀甲縛りを夫に晒して、自分を表明する山口真里から、エンドクレジットに挟まれる緊縛スタイルの数々まで、その徹底ぶりには強烈なものがある。
 SM美術評論家を演じたピンク大賞男優賞の牧村耕次は、鬼気迫る域に達してきた。

「叔父と姪 ふしだらな欲情」 1999年公開
監督・荒木太郎  脚本・吉行由美  主演・山崎瞳,田嶋謙一

 題名どおりで、血の繋がらない「叔父と姪」の「ふしだらな欲情」のお話である。と言ってもイヤらしい猥褻感で盛り上げるのでなく荒木監督・吉行脚本らしく、切々とした純愛タッチでもある。凡な題材を、さすがこのコンビ、しっかりと見せ切る。男やもめの田舎暮らし田嶋謙一の下に、大学のレポートの野鳥観察のために姪の山崎瞳が泊まりに来る。幼い頃から知っているとはいえ、姪も成長しお互いに微妙に男女を意識する。その心理の綾の描き方がきめ細かい。叔父に再婚話がまとまりかけて相手が訪れてきた時、あてつけのように山崎瞳は田舎で知り合った男のところに外泊する。問い詰めることなく無言の叔父。入浴後、バスタオルを外して全裸を晒し「私になんて、何も感じないんでしょう」と涙を浮かべる山崎。ソッと目を逸らし去る叔父の田嶋謙一。レポートは完成し、別れの日が来る。寒村をコトコトと去っていく電車にめいっぱいの叙情が盛り上がる。そして何ヶ月か後、ベッドでじゃれあう叔父と姪の大逆転描写に繋がる。その前の叔父と姪との関係を察した再婚相手の複雑な表情が見事な伏線となるのも味わいがある。「叔父と姪 ふしだらな欲情」というだけの題材にここまで叙情性を溢れさせた手腕は見事だ。
2005年4月22日(金) ●上野オークラ劇場
「襦袢を濡らす蛇−SM開華編−」 2005年公開
監督・池島ゆたか 脚本・五代暁子 主演・山口真里,牧村耕次


 最近には珍しい本格SM物、2部作・2時間の大作。とはいってもSM描写をねちっこく堪能させる類のものではなく、SM心理を核にしたカッチリしたドラマであった。美術好きの女子大生山口真里が、著名美術評論家牧村耕次と知合い、別荘にまで招待され大感激。しかし、そこからジワジワとSMの世界に引き込まれていく。
 一般的なSM物は、マニアックに一つのプレイに焦点を絞り、ネチネチと描写で楽しませていくのだが、それに対してこれは総花的。視姦・レズ・緊縛・張形責め・強制放尿、果てはノーマルな男なら全然興奮しない男へのバック責めまであり(ゲイポルノ見にきたんじゃないんだから)、描写を楽しむにはちと発散気味だ。むしろ、アブノーマルな世界に序々にのめり込んでいく山口真里の心理ドラマにポイントがある。
 完全にアブな世界に捉え込まれたところで牧村は急死。秘密のSMワールドは消滅。他の女はあっけらかんと日常の世界に回帰していくが、山口真里は婚約者とのノーマルなSEXでは満たされず「感じた演技」に終始する。ただ、両手を押さえつけられる体位になった時は、メラッと燃えたようでもある。SEXには大なり小なりSMチックな部分があり、別に道具を使ったり縛ったりしなくたって、日常的に調味料として潜在しているのである。それが、日常世界をどう侵食していくのか。といったところが続編「人妻を濡らす蛇−SM至極編−」へのお楽しみというところだろう。

「不倫団地 かなしいイロやねん」 2005年公開
監督・掘禎一 脚本・尾上史高 主演・速水今日子,佐々木ユメカ

 出会った早々に、これぞベストワンと確信するピンクがある。昨年は「熟女・発情 玉しゃぶり」、一昨年は「猥褻ネット集団 いかせて!」だった。世評とも一致し、両作品はピンク大賞も受賞した。「不倫団地」と主演・速水今日子は、私にとって作品賞・主演女優賞の重要候補だ。ただ、淡々としたタッチの作品なので、今回は世評と一致するかどうかは自信がない。
 私が「映画芸術」に「サラリーマンピンク体験記」を連載していた2003年、その関係で新人監督の掘禎一と佐藤吏を取材した。どちらも日常を淡々と描くタッチで、それらの監督が二作目以降を確実に生んで、中堅の位置についてきつつあるのは何とも嬉しい。前回に佐藤吏「ハードレズビアン」が、レズを人間の一つのあり方として淡々と描いたように、掘禎一「不倫団地」も不倫を扇情的に煽らず淡々と描いている。
 主人公の人妻速水今日子は、浮気のベッドでよくコロコロと笑い転げる。現実には、すべてのSEXがハーハーアヘアヘというわけではなく、これも有りだろう。ただ、濡れ場をいやらしい見せ場として盛り上げるピンクの中では異色だ。ここに掘監督の個性が見えると思う。基本は憂い顔である速水今日子に濡れ場で笑い転げる役をキャスティングしたのも良い。このアンバランスがラストの屈折した心情とよくマッチする。主演女優賞の重要候補に推したい所以である。
 子供を生めない人妻速水今日子は、夫伊藤猛の浮気を責めることをしない。といっても耐えてるだけではなく、自分もテレクラで不倫を楽しむ。不倫相手の佐々木ユメカに子供ができるが、子供を生めないから夫を許しているというあなたの視線に耐えられないと、伊藤猛に無断で堕胎して去る。
 テレクラの相手は廃品回収業で、ひょんなことで団地で再会、部屋に引き込み不倫を続けていたら、ユメカに去られた夫が帰宅。妻の浮気を知るとともに、妻の口からユメカが去った訳まで聞かされる。ここから先の鉢合わせした3人が、心の底に地獄を抱えてそれをぶつけ合う非難の応酬は凄い。大袈裟にいうならばベルイマンの「ある結婚の風景」を彷彿させる。でも、淡々とした日常はその後も続いていくというラストは、さらに印象深い。

「監獄のエロス 囚われた肉体」 2002年公開
監督・加藤義一 脚本・岡輝男 主演・岩下由里香,なかみつせいじ

 旧題「牝監房 汚された人妻」。刑務所が民営化された未来の話。利益を上げるため囚人確保の取り合いになり、官僚と民間が癒着する。民営化は悪、官営の方が良いとは、時代に逆行しているみたいだが、実はそんなことはどうでもよく、加藤義一一流のブッ飛び感覚でサディスティックなレイプ・拷問などの女囚いじめの場が設定し易いということだろう。
 局長「なかみつせいじ」が、女刑務所長と癒着、人体実験の場として女囚を使う。それを知った女囚達が大量脱獄してマスコミにばらし、陰謀は裁かれる。
 脱獄の手口が、局長や看守を誘惑してあっさり成功してしまうあたりや、人体実験の装置が何とも安手だったり、苦労して雰囲気は出したがどうにも苦しい刑務所内のセット(ロケ?)とか、全体に貧弱極まりないのだが、それが何ともチープな魅力を醸し出しているのも加藤義一作品らしい。(今回は笑いの要素は皆無だったが)
 万引の軽罪でいたぶられた岩下由里香が悲劇のヒロインと思わせて、脱獄後も万引癖が納まらず、再収監されたら服役中の元女刑務所長と鉢合わせという洒落っ気も、加藤義一ならではだった。
2005年4月2日(土) ●上野オークラ劇場
「女のイク瞬間 覗かれた痴態」 1999年公開
監督・脚本・片山圭太 主演・奈賀毬子, 岡田謙一郎

 ネットの新技術開発中の一流会社のエリートサラリーマン岡田謙一郎が、何故かライバル会社に出し抜かれ、首になってヤケになり技術を生かして盗撮マニアになりヤクザと商売をする。その過程の中で、部下の裏切りによる秘密漏洩を知る。盗撮の濡れ場というピンクならではの見せ場を配したエロティックミステリーとしてまとまっている。岡田が開き直って、だんだんとヤクザ相手に優位なポジションを確保していき、最後は鍵を握る元の部下奈賀毬子と共謀しさらに図太くなって尻馬に乗り「ヤクザの上前をはねる」のも楽しい見物だ。ロングに引いたラストのロケの効果も効いている。

「ハードレズビアン クイック&ディープ」 2005年公開
監督・佐藤吏 脚本・高橋祐太 主演・夏目今日子, ナンシー

 「人妻ブティック 不倫生下着」「ナース姉妹 桃色診察室」に続く、いかにも佐藤吏作品らしい一編。前者は子供好きの男が子供を媒介にして妻との関係を修復し子供も交えた一家団欒のハッピーエンド。後者は少女時代のトラウマに苦しむ主人公の回想シーンが出る。ピンクでは珍しい子供を出演させるホームドラマの味だ。今度は子供は出ないが、OLの夏目今日子の平凡な結婚を喜ぶ両親と婚約者との鍋を囲んでの団欒というような、アットホームなシーンがある。だが、今日子はレズの心を普通の女として演じ尽くすことで、封じ込めていた。ナンシーとの出会いで、それが一気に解放される。これまでのピンクでは、レズは興味本位の扇情的な視点で捉えられることが多かったが、本作品ではノーマルな社会に自分を偽って封じ込めるか、自我を貫くかという真摯な人間な悩みとして捉えていく。ホームドラマピンク佐藤吏の面目躍如である。レズ・ゲイ・性同一性生涯などを、アブノーマルでなく人間の一つの自然なあり方として認知していこうという現代のささやかな潮流と鮮やかにリンクしていた。ピンク的な題材で、ピンクとしての見せ場も成立させつつ自然体で性を描く。ある意味でピンクの王道であろう。

「年上のOL 悩ましい下使い」 2005年公開
監督・吉行由実 脚本・吉行由実,本田唯一 主演・谷川彩, 関本信也

 ピンク的な題材で、ピンクとしての見せ場も成立させつつ自然体で性を描くある意味でピンクの王道、こう来たら吉行由実の独壇場だ。とにかく女流監督らしく、濡れ場が自然体でさみしい物欲しさがないのがよい。昨年の「憧れの家庭教師 汚された純白」は楽屋落ちの遊びが過ぎたが、再び真っ向ひた押しの王道に帰って来た。
 OL谷川彩が断続的に若者関本信也と、出会いと別れを繰り返す。高校生の時・大学生の時・就職した時。谷川彩の身辺も婚約者がいて幸せだが彼が忙し過ぎる不満の時・婚約解消して一人身の寂しさの時・上司との不倫をズルズル続ける時という環境変化に呼応しての出会い。そんな時間と環境の変化の狭間の男と女の心理と生理の襞が丹念に描かれていく。濡れ場が基本であり、それなりの見せ場として成立させつつ扇情に流れず自然体で一般映画を超えて性を描く。ピンクの王道が、ここにもまた一本誕生した。
2005年3月5日(土) ●上野オークラ劇場
「金粉FUCK ずぶ濡れ観音」 2005年公開
監督・荒木太郎 脚本・三上紗恵子 主演・黄金咲ちひろ,林由美香

 ホステスの黄金咲ちひろと売れない絵本作家林由美香のレズのルームメート。95年公開の「濃厚愛撫 とろける舌ざわり」が、やはりレズのダンサー崩れの水商売吉行由美と絵本作家林由美香が真のレズ愛に目覚める話だったので、その姉妹編の趣。ただ、こちらは監督・渡邊元嗣、脚本・五代暁子だから、何の繋がりもなさそう。偶然の一致ということか。
 今回は「あげまん」物語。易者に金運の相ありと見立てられた黄金咲。彼女と関係した「なかみつせいじ」は宝くじに当たるは、レズ関係の由美香は絵本コンクールに入賞し賞金は入るはで、結局金運はSEXした相手につくということらしい。男も女もみんなして小金咲に殺到し由美香との仲もそれで破綻するが、いつしか金運も消えて、何となくその時には易者も街頭から消えている。金運目当ての者は小金咲から去り、彼女は由実香との愛を再確認する。
 黄金咲と「なかみつ」の親密さのおじゃま虫になる由実香との、3人のドライブ風景をストップモーション風の演出とモノローグをミックスさせた洒落っ気、「あげまん」目指した男達の河原の黄金咲への集団レイプがいつしか施しをする女神と感謝に浸る男達へと変化していく奇妙なムード、金目当てのレズ女とのワイドショーでの金粉まみれの濡れ場と、荒木太郎の映像感覚は相変わらず豊かだ。最後に真の愛を再確認するレースのカーテン越しの黄金咲と由実香のラブシーンも美しい。筋立ては凡でも、やっぱり荒木太郎は見せる。

「尻軽浮気妻 バイブ地獄」 1996年公開
監督・脚本・関根和美 主演・小川真美,林由実香

 結婚十年、子供もいない倦怠期の夫婦。夫の不倫を知った妻は、大学時代の元彼に連絡をとって不倫。夫の愛人にも元彼にもさらに相手がいて、濡れ場の連鎖という典型ピンク。大学時代の元彼は、人妻との不倫の清算のため、夫の会社に密告。自分の不倫を棚に上げ、妻を責める夫。ひらきなおる妻。最後は妻のS的資質が目覚め、夫を支配する。これって、今村昌平の「赤い殺意」のパターンだけど、残念ながら濡れ場連鎖の方便だけみたいで、それ程に高級なものじゃなさそうだ。

「異常性欲リポート 激ナマSEX研究所」 2005年公開
監督・的場ちせ 脚本・山崎邦紀 主演・佐々木麻由子,北川絵美

 すべての性の悩みは、宇宙のオルゴンを吸収することで解消されるとの、分かったような分からないような理屈の研究所長佐々木麻由子。変態性欲者に次々とセラピーを送り込むが、セラピーなんだか出張デリヘル嬢なんだかよくわからない。まあピンクの見せ場としては事欠かない。性の解放に対してタブーなしとのアナーキーさは、的場ちせのこれまでの病院ものと共通するが、宇宙空間の幻想イメージを挿入し、「宇宙のオルゴン」なる訳のわからんものを押し出すあたりは、悪ふざけかSFマインドか判然としない山崎邦紀ワールドであろう。
*今年からこの「ピンク映画カタログ」と「映画三昧日記」の二本立となりました。本コーナーは作品評のカタログに徹し、ピンク映画も含めた映画全般の話題は「映画三昧日記」となります。ですから、ピンク映画以外は興味がないという方も、是非とも立ち寄ってくださいませ。

2005年2月5日(土) ●上野オークラ劇場
「欲情喪服妻 うずく」 2005年公開
監督・国沢実 脚本・樫原辰郎 主演・橘瑠璃, まんたのりお

 ここのところ監督・脚本でシリアスな世界を描き続けてきた国沢実監督が、久々に樫原辰郎脚本コンビでの登場だ。製薬会社勤務の「まんたのりお」の研究員、才能はありそうなのだが人間関係がまるで駄目。でも社長に評価されて、庭に特別研究を与えられる。社長夫人橘瑠璃は、複合副作用で社長を亡き者にして愛人とよろしくやろうとしている。殺意を「まんた」に悟られ、夫人に思いを寄せていた「まんた」は新薬で殺害計画に荷担、成功するも夫人の愛人の存在を知り、嫉妬に狂って同じ新薬で夫人と心中。これに、「まんた」同様に人間関係が上手く構築できない「まんた」の助手「葵しいな」が意味ありげにからむ。
 出だしは「まんた」のマッドサイエンストぶりに樫原脚本一流のブッ飛び感覚を期待したが、何とも凡庸な展開。久々の国沢=樫原コンビにしては、ガックリの肩すかし。

「桃色ガードマン カラダ張ります!」 2004年公開
監督・脚本・深町章 主演・川瀬陽太, 里見瑶子

 本人は意識してないけど、精力絶倫ガードマン川瀬、女盗賊「ベルサイユの黒バラ」もその虜にし、自殺を止めた女もその精力で生きる希望を取り戻し迫ってくる。先輩ガードマン牧村耕次の妻酒井あずさまで言い寄って来て、川瀬はヨレヨレ。
 女盗賊「ベルサイユの黒バラ」を演じるは、久々の御贔屓里見瑶子嬢、胸に黒バラの刺青、いざと言う時はチラリとそれを晒し巧みに逃亡、川瀬の精力にイカれてしまった後は、宝塚もどきの美文調の台詞で迫る。絶頂に達した時に「パリは燃えている〜」って、瑶子嬢じゃなきゃ絶対できない怪演・快演!瑶子嬢はこうこなくっちゃ。「出会い系不倫 堕ちた人妻たち」で金のために出会い系サイトに堕ちる凡な人妻でガックリさせただけに、今回のブっ飛びぶりはうれしかった。

「新人バスガイド くわえ上手な唇」 2005年公開
監督・加藤義一 脚本・岡輝男  主演・KAEDE, なかみつせいじ

 交通事故死した姉の遺志を継いで、良きガイドになろうと励むがうまくいかないKAEDE、自己に責任を感じて励ます「なかみつせいじ」の運転手、ってそんな筋立てはどうでもいい。加藤義一は、失敗して部長にSM的折檻を受けるKAEDEの妄想やら、姉がかつて巡り合った小国の王子様と再会、ロマンチックなH。でもHの方は妄想だった。と、「尻ふりスッチー」で奇妙なミュージカル空間を創り上げた加藤義一は、今度はバスガイドをネタに楽しい幻想空間を構築してみせた。
2005年1月29日(土) ●上野オークラ劇場
 この日、上野オークラ劇場に至った経過はあるのだが、ここでは「ピンク映画カタログ」に絞り込むので、勿体ぶる程のことではないのだが、その辺は「映画三昧日記」の方に記します。そちらも御愛顧下さい。

「主婦の性 淫らな野外エッチ」 1999年公開
監督・荒木太郎 脚本・内藤忠志 主演・伊藤清美,林由美香

 結局は長い時間を共有した連れ合いが最高との何とも凡な展開だが、荒木太郎の映像の工夫で見せてくれる一編。
 商店主の主人が、店員の由美香と不倫中。察した妻伊藤清美はそれを確認するため夫婦旅行に由美香まで誘い、海岸で二人の青カンを目撃。放心してワゴン車巡回白黒ショーにフラフラと入場し、そこの男とデキてしまう。男のショーの相方兼愛人は怒って飛び出す。ショーの男は由美香の元彼で、そんな縁で二人が再会。今度は、何かを感じたか由美香が姿をくらます。夫が恋しくなり戻る清美。男の寝床にはさりげなく前の相方兼愛人が清美と入れ替わっていた。クライマックス、波立つ海岸での清美と夫との延々たる青カンは、ビジュアル的に魅せる見物だ。

「肌の隙間」 2004年公開
監督・瀬々敬久 脚本・佐藤有記 主演・不二子,小谷健仁

 母殺しの若者小谷健仁が殺された母の妹の不二子を連れての逃避行。殺すまでの間に何があったのかの説明は一切無し。ヒッチハイクを頼んだ男に不二子が迫られ、無人のロッジに逃げ込み、保存食を貪り喰らい、民家の冷蔵庫から食べ物を盗み、愛欲に溺れていくも、愛憎半ばする関係なのか不二子は出刃で小谷を刺したりもする。濡れ場があるからピンクとして成立はするが、アヘアヘ的な扇情感は微塵もない。昆虫のように獣のように何かを吹っ切るような狂った営みが延々と繰り返される。映像のパワーが半端じゃない。手負いとなった小谷と不二子はホームレスの溜まり場へと落ち延びる。そこで、一個の握り飯のために体を奪われる不二子、ホームレスを虐殺する小谷、地獄絵図のような逃避行の果てに、再び憎悪を込めて小谷の首を絞める不二子。一切の状況説明を廃し、男と女の追い詰められた極限が、凄まじい映像パワーで叩きつけられる。ただし、陰惨ではない。それでも生きてんだ!文句あっか!という生への賛歌が迸る。瀬々監督とは現代映像研究会で一度お会いしたが、とにかく映画のようなパワフルな人だった。この映画もその例に漏れない。(小谷の祖母で吉村実子が出演という思いがけない贅沢さあり)昨年を代表するピンクの1本!

 ということで、昨年アップした「ピンク日記」のベスト5が変わりました。当然ベスト10も変わります。ですが、このコーナーは「ピンク映画」の「カタログ」に徹するということで、そちらの詳細は「映画三昧日記」の方で御覧下さい、とここでもそっちも覗いてもらおうというさもしい魂胆です。

「女探偵 おねだり七変化」 2005年公開
監督・関根和美 脚本・吉行良介 主演・出雲ちひろ,尋樹

 空手を使いコスプレを楽しみ、友達の彼氏は悉く奪い、イケメン狩りの奔放な女子大生小俣桜子。ストーカーにつきまとわれ、探偵に調査を依頼するも費用が出せず、女の特権を生かしたエアロビクスのスクール調査を協力させられる羽目になり、実は探偵の妻の浮気調査に利用されていたという顛末。最後は探偵の尻を叩いて妻奪還に向かわせる。と、こんな話はどうでもよく溌剌とした女子大生の小俣桜子=出雲ちひろのキャラが魅力の一編。シリーズ化もいけるんじゃなかろうか。
2005年1月10日(月) ●渋谷アップルリンクファクトリー
「あぶない情事 獣のしたたり」 1998年公開 シナリオタイトル「ノーウーマン★ノークライ」
監督・鎌田義孝 脚本・白野朗 主演・伊藤猛 佐々木麻由子
 
 3人で現金輸送車を襲撃、大金を手にした1人の伊藤猛。出所して、逮捕を免れた男の元を訪れる。男は佐々木麻由子の愛人と喫茶店経営、経営が苦しく金は使ってしまったという。正調美人の佐々木麻由子以外は、伊藤の愛人・もう一人の仲間の愛人と、奇抜なメークとファッション、金の行方を巡って伊藤が次々と男も女も殺していくというストーリーはどうでもよく、虚無的な伊藤猛のキャラクターだけが鮮烈な印象を残すが、私の趣味ではない。
 「博奕打ち 総長賭博」を見て岡田茂が、「ヤクザ映画でゲージツやっちゃあかん」と言ったとか。なんかそんなことが言いたくなるムードのピンクの一編だった。

2005年1月13日(木) ●渋谷アップルリンクファクトリー
「若妻 不倫の香り」 1998年公開 シナリオタイトル「サラ」
監督・鎌田義孝 脚本・いまおかしんぢ 江面貴亮 主演・佐々木ユメカ 川瀬陽太

 風俗産業のチラシ配りをしているしがない川瀬陽太。夫に浮気され、自棄になり体を売ったり自殺したりする人妻佐々木ユメカ。ポストにチラシを入れてたらユメカの部屋の鍵を見つける川瀬。こっそり部屋に忍び込み不倫現場を覗いたり、自殺を見て救急車を呼んで助けたり。そんな縁で二人は駆け落ち。凝ったライティングでグラフィックに処理された濡れ場が綺麗だ。突然姿を消す川瀬、照明も暗から明に反転。その直前のショットで川瀬はホームレスに撲殺されたかのショットも入る。彼は亡霊?ユメカの自殺願望も含め、こちらも死への傾斜が強く陰々滅々、この暗さが鎌田義孝の個性なんだろうか?
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