ニシン(2012/2/11(土))
ニシン(2012/2/11(土))

ニシン(2012/2/11(土))

 その昔、ニシン御殿と呼ばれる漁師の家があったくらい、よく獲れて、よく儲かった魚である。 しかし、いつしか漁獲高も減り、国産のニシンはなかなか見られないそうである。
 刺身用ニシンを見つけたのは、いつもの魚屋であった。 身欠きニシン、ニシンそば、干したりしたものしか思い浮かばない。 その刺身とは一体どんなものであろうか。 大変興味をひかれたのと、四尾400円と手ごろな値段にもひかれて、買ってみることにした。  本によるとエラに血がにじんでいないものが新鮮。 新鮮なものなら、丸ごと塩焼きに、と書かれていた。 刺身については、一言も触れられていない。 あまり、刺身向きでないのか、それほど新鮮なものが手に入ることが稀なのか、どちらかだろう。 今回のものは、血のにじみもなく、体もしっかりしている。 「刺身」を謳うだけのことはあって、新鮮なものなのだろう。

●ニシン nisin

 身は柔らかく、イワシをさばいている感覚に近い。 小出刃があれで十分である。 頭を落とし、内臓を出していくと、きれいに黄色い卵が現れた。 ニシンの卵、数の子である。 かつては黄色いダイヤモンドと呼ばれたものである。 オスには白子が詰まっていた。
 内臓と数の子、白子を取出し、三枚におろしていく。 骨に当たる感覚を頼りに、慎重に包丁を動かしていく。 骨が細いので力を入れすぎると、背骨の反対側まで包丁が入ってしまう。 サンマをおろしていく感覚に似ている。 身の色も少し赤く染まった感じで、サンマそっくりである。
 小骨を取ろうと骨抜きで引っ張るが、完全には取れきれないようだ。 めぼしいものを取って、皮をひく。 皮引きはしっぽ側から包丁を入れてやった。 刺身に向けに切っていくと、取りきれなかった小骨が、バキバキ音を立てる。 骨切りしているような感じである。 大きいものはないので、大して気にならないだろう。  一部は酢締め、酢漬けにしてやった。 三枚におろした身に塩を振って、1、2時間程度置いてやる。 酢締め用のものは、そのまま酢に入れたさらに漬けてやる。 これで1日冷蔵庫に寝かしてやる。  酢漬けのものは、少し洋風にする。 酢大さじ1杯、白ワイン大さじ1杯を混ぜ、煮切ってアルコールを飛ばす。 こしょうを振って、その汁につけてやる。 これも1日冷蔵庫で寝かす。 本当は、さらに香草などを入れてやるとよいようだ。

●数の子と白子 kazunoko

 食べてみよう。
刺身の食感はやはりサンマに似ていて、少し柔らか目の歯ごたえである。 サンマとの大きな違いは、刺身は生臭さも少なく変なクセがないところだろう。 意外にも、食べやすいのである。 しょうが醤油を用意したが、そうでなくても美味しく食べられる。 旨みも多いような気がする。
 酢漬けしたものは、カルパッチョ風にする。 酢を拭いてから皮をひいて薄く切って、皿に並べる。 その上からオリーブオイルをかけてやる。 これで、ぐっと洋風の一品に変わる。 実際食べてみると、オリーブの風味で爽やか感が出てくる。 単に酢締めしたものに、オリーブオイルを振ってやってもいいのかもしれない。
 酢締めは醤油でいただく。 青魚系の酢締めというのは、ほんとうに美味しい。 刺身のときのクセのなさが、酢締めでも活きる。 脂も適度で、さっぱりとして食べられる。 このままオリーブオイルとこしょうを振ったら、確かにカルパッチョに変身した。

●刺身 sasimi

●酢漬け(カルパッチョ) carpaccio

●酢締め sujime

note.
2012/2/16:初版

ref.
「魚の目利き食通辞典」講談社編(講談社)2002/3/20
「からだにおいしい魚の便利帳」講談社編(高橋書店)2010/12/30
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑 :名前や生態に関する調査に利用しました。

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