ブルース・リーの記念すべき第一作 「ドラゴン危機一発」 の記者会見の様子を記録したメモがあります。このメモを書いた人は、香港のチン・カン氏(Mr. Chin Kang)です。どのような様子だったかを少し紹介しましょう。
1971年9月3日 午後3時50分 ブルース・リーは 香港のカイ・タク(Kai Tak)空港に到着した。私を含む40人以上の香港の記者と外国人の記者が彼らを待ち受けていた。
ブルースは、赤いシャツを着て我々の前に現れた。大歓声とフラッシュが起こった。ブルースといっしょに彼のボスであるレイモンド・チョウ氏 ホー・クアン・チャン氏(Ho Kuan Chan), リアン・フェン氏(Liang Feng)も姿をあらわした。ノラ・ミアオさん、マリア・イーさん そしてよく太ったロー・ウエイ部長もいっしょだ。
空港のレストランの一角が記者会見の会場として用意されている。記者会見が始まり、ブルースはすべての質問に一つずつ答えてくれた。ある女性記者がブルースに質問した。「タイでの撮影時にあなたは、ロー監督に異議を唱えていたといわれていますが、それは本当ですか?」
ブルースは微笑して、そしてロー・ウエイ氏の肩を軽く叩きながら「はい」と答えた。
「私たちは、テクニカルな問題で言い争ったことはあります。それはこの映画をよりよいものにするという目的がありました。お互いにそのことに関して、学ぶときに若干の論争がおこるのです。しかし それらは単一的なものでした。私たちはすぐに友人として、仕事を続けることができたのですよ。」
別の記者が質問します。「あなたのJKDは、ジミーウオング氏の空手にひってきするほど強いですか?」
この質問は、ブルースにとっては 非常に難しいくて、なおかつ答えなければならない質問でした。ブルースは穏やかにいいました。
「私は、彼をよく知らない。私は彼の出演している映画を多く見ているだけだ。空手は人気の高い武道で功績もあります。もしJKDが空手に匹敵するならば、あなたはジミーの映画の技術と見比べることができるでしょう。私の映画を見てそのことをあなたが判断してみてはどうですか?そのことがもっとも公平な判断と思います。」
この回答は充分だった。全員が拍手喝采を送った。
ブルースは、「ドラゴン危機一発」等の香港映画に出演することを決心した経由を簡単に話だします。
「私は、”サイレント・フルート”の撮影場所を探す為、インドとパキスタンに1970年の10月に行きました。しかしその場所は、中国的な色彩を持っていなかった為、撮影を断念しました。その合間に私の友人のユニコン・チャンが私の為にショウ・ブラザーズで働けるよう交渉してくれました。しかし 彼らとの交渉は意見が会わず、私はGHと交渉することになり、私たちは合意したのです。」
ブルースは、2本の映画を契約し、その1本が「ドラゴン危機一発」です。
「西洋人が作る中国武術のイメージは、非常に後ろ向きです。空手や柔道といった起源が中国である武術を使用して撮影されますが、カンフーを使うのが正当と私は思います。それゆえパラマウントやワーナーは私に中国のごろつきの役をするように要求してきました。そして中国カンフーを無用のものにするのです。すべての西洋映画は、西洋武道家が中国武道家を負かすように作られています。私は、それを非常に腹立たしく感じます。」
ブルースは、中国武術の威信を回復する為に映画を作ろうとしました。ブルースは、香港と台湾の人々が中国カンフーの功績をたたえることができる映画をプロデュースすることを希望しています。けれどの この段階ではこの希望はまだ希望でしかありませんでした。
ブルースのインタビューは、20分間行われました。最後にある記者が彼に彼のカンフーを見せてくれるようにしきりにリクエストしました。ブルースは、微笑しながら立ち上がり、空想的なキックを見せてくれました。それは大変強力なものでした。全員が彼に惜しみない拍手を送りました。
私は、彼が彼の希望どおり、成功すれば良いと思いました。この後 彼は「ドラゴン危機一発」で本当に有名になりました。彼のその後の3本の映画は、同じく非常な人気になりました。彼は、大変有名な国際的なスターになりました。彼は同時にカンフーにおいても実現しました。彼の約束は本当に果たされたのです!
これはブルースが、香港でも有名な映画スターになる前のお話です。しかし 彼の野望はこの時点で表明されていて、しかもその数日後には、実現に向けてすごい速度で加速してゆくことになります。ブルース自信、「ドラゴン危機一発」のできの悪さには後日コメントしています。それには、2作目に期待してくれといっていますが、この危機一発こそ香港映画に新しい光を差し込むことになったのは、忽せない事実です。この作品がなければ、現在のすべての空手・カンフー・格闘アクション映画は、無かったと考えるとこの記者会見は、大変興味深く見えるのは私だけでしょうか・・・?