| 前向き幸運人 | ||||
許冠傑(サミュエル・ホイ)が1983年に発表したアルバム「新的開始」に「我是幸運人」という曲が収録されている。どちらかと言えばマイナーな曲だろう。映画の主題歌でもないしヒット曲でもない。ただこの曲は洋楽のカバー曲で、原曲はカナダのカントリーシンガーソングライターであるイアン・タイソンのナンバー「Someday
Soon」。1965年に発表された作品だ。許冠傑がエルビス・プレスリーを崇拝していることは有名で、恐らくこうしたカントリーも好きなのだろう。何故ここでこの曲を取り上げるのか、実は筆者が最も好きなアーティストである浜田省吾もこの曲をカバーしており(アルバム「君が人生の時」に収録。1979年発表)、原曲歌詞と許冠傑と浜田省吾が歌う歌詞をそれぞれ比べると、とても個性が出ているように思うからだ。ここではこの三者を比較することで、許冠傑の人気の秘密を探ってみたい。
それに対して浜田省吾の歌詞は、ややシチュエーションが異なる。広島出身の浜田は自身が少年だった頃の失恋物語に置き換えている。これは実話に基づいたストーリーで、内容は歌詞を見てもらえば分かるが、将来を誓ったはずの少女を米兵に横取りされてしまう。少年の無力さ、それに対するアメリカの圧倒的な強さ・魅力、そしてその誘惑に負けてしまう少女、というものを通して、ほろ苦い失恋の思い出を歌っている。そして自分が無力だと分かっていても、それを認めたくない、という少年の心がと
では許冠傑版ではどうか。作詞は別人であるから、彼の世界観をストレートに現しているとは限らないが、少なくとも許冠傑の伝えたいこと、歌うべきだと考えている内容が盛り込まれているはずだ。主人公は鏡に向かって自分に問いかける。「いつになったら運気が良くなるのかな?」。現状に満足していない、というよりも、自分を客観的に見て決して幸福ではない、と分かっている者の呟きだ。そしてそれは誰でも思うことだ。そこで落ち込むのではなく、鏡の中の自分が勇気づけてくれる。「もうすぐ良くなるさ」。決して諦めたり腐ったりせずに前向きに生きていれば、いつかきっと報われる。そんな普通の人への応援歌になっている。 原曲が、ある少女のワンシーンを切り取って描いてみせている
ここまでの内容で浜田省吾の詩が許冠傑版に比べて劣っているかのような印象を与えているかも知れないので、最後に付け加えておきたい。彼の詩の特徴はどちらかと言えば世間からドロップアウトした少年の心情を歌ったものが多いが、この詩も大きな意味ではその範疇に入るものだ。この作品では曲だけを借りているのではなく、上記で少し触れたようにオリジナル曲の主人公の心情に通じるものが感じられるだろう。オリジナルで描かれた心の動きや感受性を浜田省吾風に表現すればこうなった、ということだ。またサビの部分や詩の構成などはオリジナルのスタイルを踏襲していることも分かる。曲にだけインスパイアされて全く内容の異なる詩を作るよりも、オリジナル詩の骨格を尊重しながら自分の作品を仕上げるという、制約の多い作業をこなしているということは彼の力量の高さを物語るものと言えるではないだろうか。 |
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| (安上がり決死隊) | |||||||
| 【参考資料】 「Someday Soon」対比表 |
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| タイトル | Someday Soon![]() |
我是幸運人![]() |
いつかもうすぐ![]() |
| 歌 | Ian Tyson | 許冠傑 | 浜田省吾 |
| 作詞 | Ian Tyson | 向雪懐 | 浜田省吾 |
| 作曲 | Ian Tyson | ||
| 歌詞 | There's a young man that I know just turned twenty-one Comes from down in southern Colorado Just got out of the service lookin' for his fun Someday soon, goin' with him someday soon My parents can not stand him 'cause he works the rodeos Daddy says that he will leave me cryin' But I would follow him right down the roughest row to hoe Someday soon, goin' with him someday soon *When he comes to call, my pa ain't got a good word to say Guess it's 'cause he's just as wild back in the early days #Blow you old Blue Northern, blow him back to me He's drivin' in tonight from California He loves his damned old rodeos as much as he loves me Someday soon, goin' with him someday soon *repeat #repeat |
對鏡中影子笑著問 問何時行好運 它説好景不遠 含著笑愉快等 那理想彷彿似在近 自信也不笨 願我能展開心中志露潛能 對鏡中影子笑著問 問何時行好運 轉身輕輕一笑 成就似在我身 那理想足跡巳漸近 讓我再一問 問那時可衝霄展翅入白雲 境界可一新 隱隱見遠景光輝紅日襯 快樂似擁抱著我 會更加開心 #不必再癡癡等那幸運 那日來母需問 但求立志做人 成就要ョ信心 只須有信心不必怨命運 盡了我本[イ分] 若有恆始終可變幸運人 不要癡癡等 雖知道幻想始終如夢印 我願毎天努力過那 怕多艱辛 #重唱 |
あの子は米軍キャンプのそばにある 小さな店で働いてた 僕らは約束した この街出ようねと いつか いつかもうすぐ あの頃僕はまだ18で 望めば全てが叶うと信じてた あの子の荒れた手を見る度つぶやいた いつか いつかもうすぐ *どうして僕を待ってくれなかったの こうして今 迎えに来たのに #あの子は青い目の若い兵隊と 5月に行っちまった California 今でもこの街で独り呟いてる いつか いつかもうすぐ *繰り返し #繰り返し |
| 試聴 | Ian Tyson(ダイジェスト) | 許冠傑(フルコーラス) (再生失敗時は再生ボタンを再クリック) |
浜田省吾(ダイジェスト) |
| Shirley Newberry(カバー・バージョン、フルコーラス) | |||