さぁ、目を開けて僕を見てよ
君を救えるのは僕しかいないと自惚れてる
君が怒っても
君が嘆いても
俺の手なんか要らないと睨んでも
ここから始まる
「どうもありがとう」
三年生の教室の中
俺は案内してくれた女子に軽く挨拶がてらに手を振り、そのまま目の前の彼に向き直った
「怪我の具合は大丈夫?」
教室内にずかずかと入ってきた俺に対して苦笑する隠元氏に、俺は歯を見せて笑った
「昔から怪我の治りが早いんだ、もう痣なんて薄いもんだよ
それよりも…はい、これ
ちゃんと手洗いしたから、って大豆君に伝えておいて」
昨日隠元氏から貰い受けた紙袋、その中には昨日借り受けた大豆君の衣服が入っている
じゃあシャツ、と反対に彼からも紙袋をもう一つ受け取ると、流石に笑った
「高校生男子が洗濯物の交換こってのも女染みてて笑えるな」
「ええ、普通洗って返す、んじゃないの?」
「ギオインはOLくさいよ」
「…なんでOLなの」
「ぶっちゃけ丸の内で働いてるね」
「そのとってつけたようなありがちな設定で俺をキャラつけないで」
「じゃあ地方の農協って云われたほうがいいのかい?コーポのお姉さんと呼ぶのかい?」
「待ってみようか、根本的に俺をOLに例える時点でどうかと思うんだよね
だって俺は男だしね」
「じゃあ何に例えろというのだね」
「何にも例えなくていいよ…って、今日は仕事はいいの」
「仕事はいいの」
放課後でばらつく教室内
不思議そうに俺を見てる人間も居たけれど、結局俺はそのままギオインの前の席に座った
ギオインも帰る気配を見せず、頬杖をつきながら俺の話を聞いている
「今日、俺引っ越すの、念願の一人暮らし」
「へぇ…そうなんだ、おめでとう、遠くなければ手伝ってあげようか、荷解き」
「そうだなぁ、手伝って貰おうかな、とても近いから」
「どこにしたの?住むところ」
「隣の部屋」
「え?」
「君の隣の部屋」
にこにこと笑う俺の手前で気持ち固まってるギオイン
やがて、うわぁ……と、抜けた感嘆符を彼が放つ
俺は手を伸ばして、彼の制服の胸元を、ツン、と突付いた
「大豆君、よろしくね」
「…大豆、落ち込んでるよ」
「引越しソバ持って行くね」
「くるなって云ってるよ」
「そのうち合鍵作るからいつでも来てね」
「行かないって泣いてるよ」
「じゃあギオイン、合鍵作って、俺が行くから」
「俺は構わないけれども大豆が本気で泣いちゃうかもしれないから…
今日は勘弁してあげてよ…」
そう苦笑するギオインの頬に手をかける
きょとりとしてる彼の顔の向こうには逃げられずにこの映像を見ている彼もいるのだろうか
「絶対、好きにさせてみせる」
そう云った時に、自分で自分の胸がじわり、と熱くなるのを感じた
拒絶されて諦めようとか、彼の記憶に残りたいとか、
ああ、そんなんじゃなくて、もっと直情になれば、こんなところか
やっぱり俺は愛せば愛して欲しい子供で、それが手に入るのなら
ところで、今、俺の目の前に居るのは”誰”なのだろう
困ったような淡い笑みでもなく
睨むギラついた鋭い目でもなく
世慣れた見据える眼差しでもない
彫像のように、その金色は俺を見ている
あとがき
えーっと、BLか、これBLだな、もう