「こぉ〜の自販機めー!やったんを馬鹿にしてるのだ!」

 

 

 

 

 

アイ      ラブ    ユー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やったんこと浜本夜澄はジュースの自販機にむかって喧嘩をふっかけていた。

暑い日、ジュースを買おうとお金を自販機に入れたいいがジュースがでてこないのだ。

 

 

「くー!ここまで言ったのに出さない気なのだな〜!むぅ〜!本日のやったん…」

 

 

夜澄が蹴りを入れようとした瞬間、後ろから鋭い蹴りが入る。

ガゴッという鈍くでかい音がして少し自販機がへこんだ。

その少し後に夜澄が欲しかったジュースが落ちてくる。

 

 

 

「それでいいのかな?夜澄ちゃん。」

 

 

 

後上から降る声に振り向くと自分を優しく笑って見ている男が視界に入る。

 

 

「祇園寺先輩のお兄さん!グーテンモーゲンです!」

 

「ニーハオ!やだなー嘉修って呼んでよ、やったん♪」

 

 

知り合いに思わず笑顔を振りまく。

ジュースもゲットで気分がかなり良かった。

 

 

「やったん今暇?」

 

 

嘉修の言葉に夜澄は深く頷く。

 

 

 

「はいです!暇ですー!」

 

「じゃあ美味しいアイス食べない?」

 

「食ーべーる〜!」

 

 

 

高々、といっても夜澄の背なのだからあまり高くないがそれでもビシッ!と手をあげていた。

そんな夜澄を見て苦笑する嘉修に背を押されその場から移動する。

背中を押された手が大きくて思わずドキッとした。

 

 

 

 

 

 

ジュースを歩きながら飲んでしまおうと缶を開けようとした。

プルトップのふたがなかなか開かない。

 

苦戦していると横から長い手がにょきっと缶をさらっていく。

嘉修の手だ。

缶を開けると笑顔で夜澄に缶を渡す。

 

さっきから車道側を歩いてくれていることと良い、女性の扱いに慣れている感があった。

 

 

 

 

(いろんな女の人と付き合ったんだろうなぁ…)

 

 

 

なんとなく寂しい感じがした。

理由は、わからなかったけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーここだ。」

 

嘉修は町外れにある店に夜澄を連れてきた。

住宅街に入るか入らないかの場所にある小じんまりした店で

なんとなくモダンな感じがした。

 

人が少ない。

隠れ家的な店のようだ。

 

 

 

 

「可愛いお店ー!」

 

 

 

夜澄は嘉修の後に続いて店内に入るとキョロキョロとあたりを見回していた。

嘉修はそんな夜澄が可愛くて思わず頭を撫でた。

夜澄は嘉修に頭を撫でられ不思議そうに嘉修を見上げた。

 

 

 

「おー嘉修君。」

 

 

 

マスターらしい髭の生えた背の高い男が嘉修達に声をかける。

よく見るとなかなかのカッコ良かった。

なのにお菓子やさんのギャップに少し笑えた。

 

 

「今日も可愛い子連れてるなー。彼女ー?」

 

 

夜澄は可愛いと彼女でおもわず赤面した。

誤解をされないよう釈明しようとする前に嘉修が先にまったく動じずに笑いながら答えた。

 

 

「可愛いけど彼女じゃないんだ。今、口説いているところ。いい雰囲気になるようなアイスよろしくね〜」

 

「えぇぇっーー!!??」

 

 

 

夜澄は真っ赤になって嘉修を見上げる。

嘉修はそんな夜澄をまた背を押して席に誘導する。

外にはバルコニーがあった。

高台だからかかなり眺めが良かった。

日陰に席を取る。

嘉修は夜澄の席を引き先に座らせると自分も静かに席につく。

 

 

 

「嘉修さん〜あんな嘘つかないでくださいよー」

 

 

夜澄が照れているせいか少し拗ねたように嘉修を見ていた。

嘉修はそんな夜澄を見て優しく笑う。

 

 

 

「嘘でも冗談じゃないよ。夜澄ちゃん。」

 

 

 

 

 

 

どこか真面目な嘉修の思わずドキッとした。

 

「か、嘉修さ…」

 

 

 

真っ赤な顔をしたら、嘉修はニカッと笑った。

 

 

「やったんはすぐ赤くなって可愛いね☆」

 

 

 

 

からかわれたー!!

 

 

 

 

 

怒りと恥ずかしさで顔がさらに赤くなる。

 

 

 

「うわっ!やったん怒んないでアイスきたから!」

 

「すごいアイスー!!!」

 

 

 

きれいにデコレーションされたアイスにおもわず意識を奪われる。

一口、口に入れると甘さが口に広がる。

 

 

 

 

「ぎゃー美味しい!やったん感激デス!」

 

「あはは!そりゃあ良かったよやったんちゃん!ゆっくりしていってくれよ!」

 

 

 

 

豪快に笑って歩くマスターに夜澄は好感を持った。

アイスが美味しいのもあったけれども。

 

 

 

次は1人でも来ようとアイスを食べながら思った。

 

 

 

でも、もし時間があうならば、

 

 

 

 

いっぱいいっぱいな自分の前にいる余裕でコーヒーを飲む人も一緒だといいなと思った。

 

 

 

 

 

 

 

きっとアイスが美味しいからだ、なんて、自分を無理矢理納得させてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちなみにさっきのマスターの今日『も』可愛い子連れてるっていうのは莢だからね。」

 

「…なんだそーなんですか。」

 

「なにー?やったん寂しかったー?」

 

「ゼン・ゼン!」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

あ、このカッポーつぼいわ。

ツボすぎて悶えるー(ウネウネ)