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コンクールが終わって 引退して
あなたに会えなくなった 最後の夏休み
行こうかな どうしようかな
散々迷って 思い切って出かけた
あなたの母校の演奏会
いつもよりちょっとだけお洒落して
夜の学校 会場は体育館
ぽっかりと白い光を吐き出している入り口
中に入れば それなりの人ごみ
あなたの姿を目で探す
いない…
賛助で来てると思ったけれど
変に期待してバカみたい
その時
ふと聞こえてきたユーフォニアム
この優しい音色 もしかして?
耳を頼りに歩き回る
音が はっきりしてくる
リップスラー 次はスケール
それから アルペジオ
その後は…
ほら この練習曲
ああ もう間違いない!
常夜灯のそば 誰もいない教室
電気もつけないで
窓の向こうに あなたのシルエット
あなたは 私に気づいていない
聴きなれたメロディだけが夜空に響く
最大限の勇気を出して ノックした
音が 止んだ
窓が開く
そして…
びっくりした!どうしたの?
ごめん ちょっと気が向いて
久しぶり
そうだね 元気してた?
会話は他愛のないものだったけど
今日出るんでしょ?頑張ってね
うん サンキュー
あ 邪魔してごめんね じゃあね
人が通りかかるまでの
ほんの少しの間だったけど
いつも 夢みていた Scene ――
それからずいぶん時は流れて…
もう 演奏会の曲なんて覚えていない
だけど あの時の Scene だけは
今でも ここに はっきりと
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