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なんじゃそりゃ。
と思う方もおられるだろう。ともかく今回の考察は、鏡岩の形からスタートするのである。
今までの「光ネットワーク」とはまた違った観点から千光寺の鏡岩について考えていきたい。
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「鏡岩」と呼ばれる岩は全国に結構多くある。しかし、それらは丸い形でないものが多い。むしろ、岩の形よりも岩の面が平らで光やものの姿を映し出す、もしくは反射することから「鏡」の名がついたものが多いようだ。鬼叫山にある鏡岩はその例である。 一方、千光寺の鏡岩は2000年の発見時に表面が研磨されて白く光るようになっているが、ものを映し出すというよりも、むしろその形に他の鏡岩と違う特徴がある。きれいな丸い形をしている。岩の表面全体が磨かれているのでなく、○の中を磨いて「鏡」としている。これは遺跡から出土する「鏡」と共通するものがある。 よく遺跡から出土する鏡はほとんどが丸い形のものである。なかには違う形のものもあるらしいが、丸がほとんどである。 |
| 千光寺鏡岩 |
ではなぜ鏡は丸いのか。丸い形より、表面がぴかぴかに光ることの方が大切なことなんじゃないか。
しかし、古の人は丸にこだわり、丸い鏡を作ってきた。それには理由がある。
鏡(カガミ)の語源は「カガメ=カガ(蛇)の目」だからである。
尾道の鏡岩も、他の鏡岩とちがい、わざわざ丸く削られ、磨かれているのはなぜだろうか。
この鏡岩が作られた時代はわかっていない。しかし、何らかの意図を持って作られたものであることは間違いない。
では、それはなぜだろうか。
今回はそういう視点から千光寺の鏡岩について考えていきたい。以下引用。
中国伝来の「鏡(キョウ)」が「カガミ」と訓(よ)まれた理由は、鏡が古代日本人によって「蛇(カカ)の目」すなわち「カガメ」として捉えられたからではないだろうか。「カガメ」は容易に「カガミ」に転訛する。
ここで、古代人になりかわって、当時の鏡を考えてみよう。
まず、鏡は舶来品で、最も貴重な宝物であった。そうして、円形で光り輝き、しかもその背面は二重に縁どられていて、いわゆる「蛇ノ目形」をなし、その上、大部分は凸面鏡であった。
○宝物としてのその希少性
○円形で光り輝くもの
○二重の輪で縁取られていること
○鏡全体が丸みを帯びていること
このような特徴によって、鏡は蛇の目の模擬物としてこの上ない諸条件を備えているものと見なされ、信仰の対象、至高の宝器にまで高められていったのである。 (蛇 日本の蛇信仰 吉野裕子 1999 講談社学術文庫)
なぜそこまで「蛇」にこだわる必要があるのか。吉野裕子によると、蛇と人間とのつきあいは極めて古く、世界各民族はいずれも蛇を無視することはできなかったという。 たとえば中国の天地開闢(かいびゃく)の創世神は伏犠(ふつき)、女か(じょか)であるが、この二神は人面蛇身である。キリスト教では邪悪の権化として扱われているが、日本では蛇神が神話に多く登場する。
なぜ蛇に対する思いが信仰にまで高められてきたか。最も強力な理由は、
1 まず蛇の形態が何よりも男根を連想させること。
2 毒蛇、マムシなどの強烈な生命力と、その毒で敵を一撃の下にたおす強さ。
の二点であろう。さらには脱皮を通して『生まれ変わり』を行うこと、濃厚な交尾(ハブは雌雄が絡み合って交尾をし、26時間もかかることがあるという。その姿は注連縄に表現されているともいう。)、まぶたがなくずっと開きっぱなしのよく光る目、など、さまざまな要因も考えられる。
蛇を神としてあがめ、その目に呪力が宿ると信じた人々は、その蛇の目に代わるものを求め、それを神器として扱うようになる。
それが「カガミ」なのである。
また、三輪山に代表される神体山は、円錐の形をしている。これは、蛇がとぐろを巻いた形の見立てである。
三輪山の神は大物主神、蛇神である。大神神社には本殿がなく、この円錐形の三輪山をご神体として祭る、最も古い形の神社である。山中は今も禁足地とされ、そこには多くの磐座が存在すると言う。
円錐形の山はそれが蛇のとぐろに似ていることもあり、聖なる山として崇められてきた。その蛇の頭が山頂の磐座である。
では当然目もあって然るべきではないか。ということで、目となる鏡を置く。または、岩を加工して鏡のようにする。それが鏡岩ではないだろうか。
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尾道三山の中で、円錐形をしている山といえば、千光寺のある大宝山である。ここに丸い形をした鏡岩があるということは、これを巨大な蛇の頭、そして目として見立てた信仰があるのではないか。海の方にむけて睨みをきかす蛇の目。光を反射するというはたらきだけでなく、何かを防ごうという意図を持って作られたものではないか。 |
| 浄土寺山から見た鏡岩 |
参考文献:蛇 日本の蛇信仰 吉野裕子 1999 講談社学術文庫
ドラゴン 久保田悠羅とF.E.A.R 2002 新紀元社
アマテラス 倭姫幻想まほろば編 美内すずえ 1994 角川書店
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