多くの人が自転車に乗ったことはあるだろう。
そして、初めて乗ったときの風を切って走る快感も覚えているだろう。
しかし、大人になると、いつしか自転車には乗らなくなってしまう。
自動車に乗ってもっと速く、もっと楽に、もっと遠くへ。
それと引き換えに忘れてしまったもの。
それが自転車の魅力かも。



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風になる

自転車に乗って走ると、まず感じるのが風。
風には匂いがある。
季節の匂い、草の匂い、街の匂い、海の匂い。
風を感じながら、その中を通り抜けていく。
追い風のとき、風の音が聞こえなくなることがある。
自分自身が風と同じ速さで進んでいるのだ。
自分自身が風になることもできる。

初めてクルーザー(ヨット)に乗ったときの驚き。
エンジンで港から出てしばらく航行し、
広い海に出たとき、エンジンを止め、帆を上げる。
突然、聞こえてくる音が、波を切る音だけになる。
風とともに進んでいるのだから、風の音は聞こえない。
その中ですべるように進む。
風になるよろこび。
それと同じものを陸上で味わえるのは、
自転車だけではないだろうか。

汗を流す

なかなか運動する機会がない。
体がなまってくる。
ひとりでも気楽にできて、長続きするもの。
散歩でもいいし、プールに行くのもいい。ジムに行くのもいいだろう。
でも、私にとっては、一番気楽にできるのが自転車。
ただペダルを踏む。
気がついたらかなりの距離を走っている。
1時間も走って帰ってくると、
汗とともにストレスがどこかへ飛んでいってしまっている。


自転車での旅は「冒険」

そうこうしているうちに自転車にはまってくる。
もっと遠くへ行きたくなる。
あの道のむこうには何があるんだろう?
そんなことを考えながらペダルを踏み続ける。
休憩しながら走っても、半日も走ればかなりの距離を移動している。
車ならあっという間の距離も、
自転車で走ると時間の密度が濃い。
記憶にも強く残る。



そうして日帰り、一泊、・・・とツーリングへの道へ。
自動車での旅は「点」の旅。
目的地へ移動する。そして次の目的地へ。
自転車の旅は「線」の旅。
移動自体が新たな発見だらけ。新たな出会いもある。
地元の人と話し込むこともある。
そして、自分の力と判断力だけが頼りの旅をしている、という充実感。
100キロも走ると、ちょっとした冒険気分だ。

子どもの頃、自転車で隣町に行っただけでわくわくしていた。
大人になると、そんな感覚は忘れてしまっている。
自転車に乗ると、子どもの頃のわくわく感を思い出させてくれる。

ほかにも

感じ方は人それぞれ、楽しみ方も人それぞれ。
いろいろな魅力を感じてもらいたい。
そして、みんながもっと安全に、もっと快適に自転車に乗れるような
そんな社会ができれば。
そんなことを願っている。