何が釣れるのですか?  ( 下 )


今、思い返せば、最近は温かい服が沢山有る事を割り引いても当時は随分と寒かったです。

年間を通じて小雨で温暖で有るがゆえに沢山の塩田が作られた赤穂でさえ厳寒期には行くたびに凍っていたのです。

長い鎌の柄で長方形に氷を切って前方に押し込んだり、竿が長い時は大きめの木片にロープを付けて小一時間掛けて割ってから釣りを始めたのでした。 それでも、魚影が濃いのと底を掻き回さなかった事も有って直ぐに釣れたものでした。

唯、問題も有りました。 割れた氷の欠片で仕掛けが切れるトラブルが続出したのでした。時には穂先も折れたのです。

そこで、氷の張らない雨の日を選んで釣行したのです。

厳寒期の雨天の釣行は寒行にも似たものが有りましたが、車の横付けが出来る事、足場がコンクリートで有る事、何よりも確実に釣れた事で良く行ったものです。

有る時の事です。釣りをしてる後ろにパトカーが止まったのです。駐車禁止で注意をされるのかと思ったのですが“何が釣れるんです?””鮒です”と答えると”鮒ですか?”“京都からこの寒い雨の日に態々鮒を釣りに来られたのですか?”と笑いながら尋ねられたのでした。

そらそうですよね、厳寒期の雨の日に誰も釣りをした事の無い海辺に近い池で傘をさして釣りをしているのですから(笑い)
他の日には消防車が同じように止まって、又、同じ質問をされた事も有りました。

一日に一回しか当たらずに一枚しか釣れない時も有りましたが、ボーズの日は有りませんでした。そして、すっかり仲良くなった地元の方が夕方になるとバケツを取りに来られるのも、何時しか楽しみの一つに成っていました。

帰途冷え切った体でPAに寄って、かき揚げそばを食べて帰宅してから風呂に入った時はこれ以上の幸せは無いと感激をしたものでした。

結局、赤穂の池では40cmオーバーが釣れなかったので、数年間十数回の釣りで終わったのですが、今と成っては何もかもが良い思い出です。