満水に成るのに三日間位は掛かります。( 下 ) 


そうこうする内にかなりのいきよいで水が上がって来たのですが、私の浮子の横でモジル事は有りませんでした。

それでも水位が上昇するにつれて確実に浮子に変化が出て来ました。
やがて、家内の浮子と同じ様に10cmから15cm位のストロークでトップが大きく上下しだしたのです。
スレをかかないように数十分間の慎重な竿の上げ下げを繰り返したのですが、やはり合わせる決めアタリが出ませんでした。

雰囲気や浮子の動きで対象魚が大型で有る事は容易に予測出来ました。
一息き付いてからの大きい目にしっかりしたエサを付けての一投目でした。左右に揺れながら沈んで行く浮子が馴染みきったと同時にボディーの肩近くまでゆっくりと持ち上がり、合わそうと思った瞬間に正に“ズボッ!”と消しこまれたのです。

それまでの緊張が全て手元に伝わって確かな重量感が返ってきました。“ゴッツイ!”と思わず出た言葉に“逃がさんどきや!”と応援の言葉が返って来ました。

ゆっくりと引き寄せに掛かった瞬間に猛烈にワンドの入り口に向かって走りだしたのです。“切れる、切れる、止れ!”巨ベラ様に用意していた極光観が水中に何無く引き込まれてしまいました。
“これは鯉やは!”今度は止まりましたので“スレかも?”少しずつですが、頭を振りながら上がって来ましたので、“やっぱり、ヘラや!”と他の人が居たらうるさい事だったと思います。

やがて、力尽きて水面に上がって来た魚体は計測をしなくても分かる50cmオーバーの巨ベラでした。

釣った本人寄りも側に居る家内が“やった!やった!”とうるさい事でした。
玉網で慎重に救い上げてルーラーの上に乗せると53cmを少し超えていました。

記念撮影をしようとシャッターを押したのですが、何回押してもシャッター音を聞く事は出来ませんでした。仕方なく、フラシに入れて翌日に誰かが来る事に掛けて見たのですが、釣人も来ませんでした。

知識は全く無かったのですが、思い浮かぶ範囲で修復に努力をしたのですがカメラは回復はしませんでした。
愚妻は“カメラが有る所まで、持って行こう”と言ったのですが、死なす事が忍び無かったので逃してやろうとしているところに、お世話に成っている方のお爺さんが鯉釣に降りて来られたのです。

お陰様で“こんなんが釣れました”と両手で差し出すと、優しく微笑みながら“良かったな!ええ鯉が釣れて!”と喜んで下さいました。

その言葉だけで良かったのですが!“鯉と違います。ヘラ鮒ですよ!”言い返しますと、今度は“こんな大きなヘラ鮒を見た事が無い。こんな大きな鮒が居るんや!”とさかんに感心して頂き、喜んで下さいました。

そして、十分過ぎる一枚に満足して、嫁が久し振りの再開を楽しみにし ていた鶴田ダムのお膝元に有る宮之城温泉の玉ノ湯に向かったのでした。
片山氏に因りますと鹿児島は全く雨が降って無くて、一ツ瀬ダムの上流の熊本県の南部に降った集中豪雨だった事を改めて知る事に成ったのです。後日談ですが、その後の二週間はハタキ続けたそうです。

*一ツ瀬ダムでの二枚目の50センチオーバーでした。