一本のウキにもドラマが有ります!!


     一回でも使用した浮子には結果が出たにしろ、出なかったにしろ必ず思い出が有る筈です。

何年か前の和知ダムでの出来事です。和田氏が小生の見てる目の前で底オダに引っかかって2回の高切れです。

度重なるハリス切れで道糸が弱っていたのです。
強風にも関らず、幸運な事に一回目は目の前に浮子が飛んできて何事も無く玉網で容易く掬い取れました。

ラッキーな事は二度続きません。二回目は少し遠方に落ちてしまいました。折からの強風で、高い波の中を早いスピードで“アッ!”と言う間にダムサイド方向に流されて行きましたした。

急遽、繋いだ21尺でさえ、最早、何の役に立ちませんでした。

和田氏は“バスボートが来たら取って貰おう”とは言っておられますが、木が4〜5m先まで被ってる陰に入れば、先ず、見つける事が不可能に近い事位は容易に想像がつきました。

ヘビが苦手な和田氏と小和田ちゃんが、何時出てもおかしくない急な斜面を竿を持って追いかけたのですが、直ぐに、“逆光で見えへん”と力無く帰ってこられました。

釣座に戻って、和田氏は力なく一から仕掛け作りをされました。

私に取りまして、同じタイプのウキを作る事位は大した事では無かったのですが、氏の心中を察すると、じっとしておられずに黙って車に帰り24尺を持って流れ去った方へ探しに行きました。

途中、何回か道の無い急な場所を天敵のヘビを恐れながら降りました。降りる度に、これで有れば奇跡に近いと思いました。

3度目に降りた場所で沖の方を見渡して、やっぱり駄目かと思っていますと、何と足元にゆっくりと浮子が流れて着たのです。 竿を継ぐ事も無しに、何無く拾い上げる事が出来ました。

まさに奇跡に近い出来事でした。和田氏に“ハイ”と渡すと、最初は違うウキだと思っておられたのですが、手に取り、直ぐそのものだと分かり驚いて感動されました。

この浮子は和田氏が50cm上を釣った時の思い出一杯の大事な、大事なウキでした。

最初にお会いした時に“この浮子で50cm上を釣って頂くと嬉しいのですが!”とプレゼントしてから奇跡に近い発見まで、この浮子には何か運命めいた物を感じました。