数十人が釣をしてる中での唯一の五十上に優越感に浸れた至福の一日でした。



     随分昔の話ですが、広島県の三川ダム(神農湖)が全盛期だった頃の話です。

ゴールデンウイ-クの前半から釣に出掛けていたのですが、50cmが釣れましたのと気配が無くなりましたのとで十分に満足をして帰宅しました。

翌日、三川ダムの主と誰もが認めていた中野氏から“50cm上を知り合いが釣ったよ!”と連絡が有りました。

気持ちが切れていたので少し躊躇したのですが、仲間に連絡すると連休だったせいも有りますが“行きましょ!”と二つ返事の答えが返って来ました。

中野氏に“もう一度行きます。釣れた場所は何処ですか?”と電話をしますと、“トンネルを越えて直ぐの所”との答えが返って来ました。

当時はその場所での50上の実績は聞いていませんでしたので、“へぇー”と言う感じだったのですが、川筋から最初のハタキ場の入り口でしたので、何時、誰が釣れても全く不思議では有りませんでした。

頭の中をリセットし直して、トンボ返りで現地に向いました。

ダムに着きますと、連休で有る事、満水で有る事、情報が流れた事等が重なった性か既に対岸もハタキ場も人が一杯でした。

処が、何故か聞いていたトンネル下だけは空いていたのです。“情報が漏れていない!(実を言いますと、後から聞いた話ですが前日釣れたのは対岸でした。)”と直ぐに4人分の釣場を確保しました。
釣台を組みながら水面を見ていますと水に浸かった青草がゆっくりと動き魚が居るのは容易に判断出来ました。

釣台をセットしている最中にも水が少しづつですが増えています。水位の上昇に備えて、釣台の後方の草も綺麗に刈り取りました。

釣り初めて間も無くにナイターに成ったのですが、ハタキ始めるまでに何とか一枚をと頑張った結果尺半クラスが夜が明けるまでに二枚釣れました。

夜半からハタキが始まって明るく成った頃には見渡す限りの大ハタキでした。唯、どんなに欲目に見ても尺半オーバーを見つける事は出来ませんでした。

この日は魚の大きさが手頃?だったのと少しずつ水位が上がっている、ハタキ始め、魚の数が多い等が重なった為か三川ダムにしては珍しく皆さんも42〜43cm前後の釣果が有った様でした。

太陽もすっかり上がってハタキも一段落したのですが、草の中には未だ沢山の魚が居るのが分かりました。

最初一本だったタナも一本半に増水をして少し深いかなと思いながら11時頃に再度草の動きを観察して見ますと、明らかに魚の大きさが違うのが分かりました。“魚が代わった”と気合を入れ直し一本の草の上を狙ったのですが何の反応も有りませんでした。

次なる手段をと釣台を30cm後に下げて、一本の底狙いに変えました。一投目を振り込もうとすると同時に、右前方一メートルの草の中から一目で大型と分かるへラが“モコッ”と顔を出したのです。

落ち込みでサワリが有り、緊張の一瞬が続いたのですが、合わせる様なアタリは有りませんでした。

そこで、多分草が邪魔をしているのだと思いましたので、(本来なら草の上を狙うのが常道ですが)それまでに宙では全く反応が有りませんでしたので、逆に草の中を釣ろうとガラスの細めのムクトップに変えて見たのです。

すると、同じ様に落ち込みで少しサワリが有った後、今度は馴染むと同時に“ドスン”と一節落としました。

空かさず合わせると正に“ゴボッ!”と口が出て来ました。短竿だった性かも知れませんが直ぐに玉網で掬えて、ルーラーに乗せると51,7cmでした。

三川ダム始まって以来?の数十人が釣をしてる中での唯一の五十上に優越感に浸れた至福の一日だった事を今でもハッキリと覚えています。