半節の“モゾッで釣れた50上” ( VI )


寸法を確認してから、写真を撮って貰う為に少し離れた場所にフラシをつけました。

日中に釣れた事とバランスの良い綺麗な魚体に感激が“ジワッ”と沸いて来たのですが、I氏の心中を察すると心から素直には喜んでる訳には行きませんでした。
もどかしげに仕掛けを作ってるI氏の横に竿を置いて“全く同じにしたら?”と言いますと、素直に頷いて即座に全ての仕掛けが全く同じようにセッティング(浮子の長さ、ハリスの長さと段差、片金の錘の大きさと位置を全く同じ)されたのでした。

竿とエサを持って私の釣台に座って頂き、ポイントを指差してトップの赤が一節出る位置に浮子下を決めて貰ってから半節の“モゾッ”アタリだけを合わせて下さいと言って車の中に休息に行ったのです。

この時点では大型が釣れそうな気はしたのですが、まさか?が本音でした。

車の中で一人で余韻を楽しんでいるとK君も掛け付けて急いでI氏の横で竿を出したのです。
一向に合わす気配が無かったので、時折様子を見に行ったのですが、クソ真面目なI氏は忠実に“モゾッ”アタリを待っておられてるようで“アタリは有るねんけど?”の返答に少し戸惑ったのですが、この日に限っては何故か次の言葉が出ませんでした。

数時間経って、車の中でうとうとし始めた時です。ふとI氏の方を見上げると釣台の上に立って竿を満月に絞っている姿が見えました。
竿の曲がり具合から大型で有る事は容易に想像は出来たのですが、直に確認に行く事は無いと思ったのです。

無事に取り込んでこちらを見て嬉しそうに笑っておられる顔が何とも言えませんでした。
横に居た、普段は温厚で冷静沈着なK君がルーラーに載せて“片岡さん!50有ります。50を超えてます!”と大きな声で手招きをしました。

車から飛び出して飛んで行くと私が釣った魚より綺麗?な50オーバーの巨べラがルーラーの上に横たわっていました。“こんな事が現実に有るんや!”と思いながらもI氏とガッチリと握手を交わしたのです。

今にも泣き出しそうなクシャくしゃの笑顔に、出会ってから3年半の想いが凝縮されていました。

その後、3匹目を狙ってK君にポイントを譲られたのですが、3匹目のドジョウは居たのかも知れませんが?結果は釣れませんでした。

掛け付けた仲間の皆さんに魚を見て貰ったり、記念写真を撮って貰ってから皆さんとお別れをした後も一人残って釣をする事に成ったのです。 ( VII )