*ダム湖の巨べら*


へら鮒釣を始めた当初は雑誌、ビデオを買い込んで暗中模索の中を思いつく色んな場所に行ったものです。

しかし、3年も過ぎると欲が出だしてもっと大きなへらを釣って見たく成りました。大型を釣るならナイターと思っていましたので電気浮子を購入したのですが、当時は赤色一色の7灯の浮子しか買う事が出来ませんでした。

真っ暗な中での一人でのナイターは心細くて、釣に中々集中出来なかった事を今でもはっきりと覚えています。

当時の私は40cm以上が巨べらだと思っていました。

絶対に釣って見たい、釣りたい、釣ってやると思っていましたので巨べらが居ると思われる場所は全て行きました。

しかし、悲しいかな知識や情報が乏しくて結果はそう簡単には出ませんでした。
有る時、釣仲間の一人からあそこのダム(荒木根ダム)は他の場所よりは一ヶ月遅れのゴールデンウイークの時期に乗っ込みに入ると言う情報を聞きましたので翌年の5月に期待して行って見たのです。

へら鮒釣を始める前はバス釣をしていましたので、幸いにも地形や水深はおおよその把握は出来ていたのですが、流石に夜は不気味なダムで一人でやるにはあまりにも心細かったので堰堤に釣座を構えました。
堰堤で釣る時は21尺以上で無いと駄目だと聞いていましたので21尺に電気浮子をセットしてバラケグルテンのエサを付けて2本のタナで始めたのですが、赤色の7節の浮子は灯りが一本に見えて大変に見づらくてスコープを覗きながらの釣に成りました。

期待に反して現実はモジリも触りも気配も無くて静寂の世界でした。
そうなると寂しいダムでは釣に集中出来なく成って急にぐるりの状況が気になりだしたのでした。
止む無く暫く車の中で休息を取ろうとしたのですが怖くてゆっくりは出来ませんでした。ましてや、“床休め”の知識など当時は全く知りませんでしたので尚更です。

そんな自分と戦いながらも釣を続けていますと、A.M2時を過ぎた頃から沖目ですが少しずつモジリが出始めたのです。
期待しながらエサ打ち続けていると3時丁度に少し触ったかなと思った瞬間に2目盛り静かに上がった後に1節“ツン”と入りました。

合わせた瞬間に今迄味わった事の無い重量感が手元に伝わってきたのです。慌てながらも両手で竿を握り魚が弱るのを待って玉網で掬いました。

自分的には5分位はかかったと思いましたが、玉網に入った腹パンの魚を見て“でかい、遂にやった!”と叫びたい心境に成りました。

玉網から出して慎重に計ると43cm有りました。
当時はデジカメ等有りませんでしたので、手持ちのカメラで写真を撮りまくり何時までも眺めて感動をしたのを今でもはっきりと覚えています。

そして、夢を再びと同じ時間に同じ様に釣れるのでは無いかとの浅はかな考えの元に次週もチャレンジしたのでした。

結果は期待通りに同じ時間に同じサイズのへらが釣れたのには正直ビックリしました!!が、今から思えば私が巨べら釣にのめり込む大きなきっかけに成った事に間違い有りませんでした。  (II)