もりた とおるさん作・掌編
ショートカット
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「元気だった?」
「え?ど・・・・・どなたでしょう?わたしには何がなにやら」
「そうやって動揺したら自己紹介をしているようなものだよ、フレナ」
「ド!ドドドドドコノドナタカカンチガイヲナサッテイルノデハト」
「・・・・・相変らず愉快だね君は。椅子から転げ落ちるほど動揺しているようじゃ先が思いやられるよ」
「・・・・・い、いつから気付いていたんですか?」
「最初から」
「・・・・が――――――――――ん」
「アンドロイドにしては感情が派手すぎたからね」
「そんなあ・・・・一生懸命芝居していたつもりなのに・・・アズさんも「わからない」って言ってくれたのに」
「・・・・単に気の毒で言えなかっただけだと思うよ」
「・・・・・・・・・・・・・泣いていいですか?」
「胸は貸さないけどね」
「ひーん・・・・・・・」
「最近になってニューマン以外の女性ハンターの存在も認められたから君もきっと装甲から解放されるとは思っていたけど、まさかこんなに早くお目にかかれるとはね」
「一応誰にも知られることのないようにしようと思ってたんですけど・・・・」
「その心配もないだろう?アズさんから聞いたよ、ラボに行くんだって?」
「・・・・・・・ええ。今回はわたしがリーダーとして行くことになりました」
「聞いたよ、シェスさんが産休だってね、おめでとうって言っておいて。僕には行けないところにいるようだし」
「はい、伝えておきますね。でもアズさんはおかんむりだったみたいです。「あたしらが必死になってる間にいいご身分だ」って」
「偉い人っていうのはそんなもんだよ」
「だからイシャムさんもそうなんですか」
「・・・・・・色々と言いたいことがあるけど・・・「刺の人」って言わないからやめておくよ、心境の変化?」
「どちらかというと本能です。生身で刺棒に殴られたら死んじゃいますから」
「なるほど、賢明な判断だね。で?君のほかにもラボに行くのかい?」
「ええ、わたしのほかに3人、イシャムさんは?」
「僕は結構人気者でね、生憎とラボには行けないんだよ」
「そう・・・です、か」
「生身で出られるんだから心機一転の意味でもいいんじゃないかな、君のマスターも行くようだし・・・・おっと、メイド装甲じゃないからマスターはまずいのかな」
「・・・・・・わたしは「フレナ」ではありませんから」
「・・・そうだったね。本当の名前は?言いたくないなら無理に言わなくてもいいけど、餞別の意味で教えて欲しいな」
「レナ、です。わたしの、本当の名前。わたしの故郷で「風」を「ふう」と呼ぶので「風のレナ」から「フレナ」と。お爺様につけていただきました」
「そう。ありがとね、教えてくれて」
「いいえ・・・もう会うこともない、そのつもりのようですから・・・覚えていて欲しかったんです、一緒にパーティー組んだドジなフレナって名前の女の子がいたって」
「・・・・僕は記憶力がいいんだ、忘れないよ、きっと生きてる限りはね」
「わたしも忘れません、絶対に」
「・・・・・ああ、元気で」
「はい、イシャムさんも頑張ってください」
「頑張って・・・ね。うん、それなりに頑張るよ。じゃあ」
「はいっ、さよならですっっ!」