〜安息の章・1「出会いへのプロローグ」〜
ヒュウウーーーーーーーン・・・
「・・・・・ふぅ」
無事に戻ってきたみたい。
目の前には坑道に行く前と同じドレッシングルームがある。
「お、やーっと戻ってきよったか」
そこに一人、わたしのよく知った顔の子。
「あれ?漣(れん)?」
「あれやあれへんわ!」
どか!
「いったあいっ!」
あの子信じられないことする・・・いきなり後ろに回って蹴るなんて!
ううううう・・・・鼻打ったぁ・・・・
「ひどいよ漣・・・・・」
「やかまし。はよそないなごっついの脱いでシャワー浴びにいこ!」
・・・・・もう。
足元にあるスイッチを指先で入れる。
ごしゅ・・・・・・・プシュウウウウウウウウ・・・・
背中のジョイントが外れ、風が背中に当たる。
・・・・・・・気持ちいい・・・・
腕のロックも同時に外れているから、そのままするっと身体を抜く。
「はううう〜〜〜〜〜」
湯気が身体中から、しょうがないよ。
だってずっとあんな風も感じないような中にいたんだもん・・・
「しっかし・・・・ボコボコやなこれ・・・」
固くなった体を揉みほぐしている時、漣がわたしの着ていたレイキャストの装甲服をべしべし叩きながら呟くのが聞
こえた。
でも、ほんとだ。すっごくへこんでる。
ごめんね乱暴に扱って。
それと・・・ありがとう。
「どこまでいったん?」
「えへへ・・・・・」
言おうかな、最後まで行けたって。
でも・・・ちょっと勿体ぶりたい気もする。
苦労したもん。
「・・・勿体ぶらんでとっとと教え」
ぺち!
「痛いっ!はたかないでよ〜」
「やかまし。玲奈が勿体ぶるからやろ!」
・・・この子はもう・・・本当に手が早いんだから。
わたしより二つ年下なのにわたしを年上扱い全然してくれない。
・・・・おまけに・・・・・
ザーーーーーーーーーーーー
「さっすが玲奈やね。最後までいくなんてほんますごいわー」
シャワー室。
いるのはわたしと蓮だけだから蓮の声も遠慮がなく大きくて、よく耳に届く。
この子の場合は人がいても変わらないけど。
「えへへー。どうにかね。運も味方になってくれたし」
僅かにだけど感じた風。
あの風がなければきっとギャランゾにやられていた・・・
わたし、みんなに助けられてるな。
もっと自分でやれるようにならないと。
「そろそろ上がろ」
・・・・・・・・・・・・うっ。
「・・・・・・・玲奈?どないした?」
「な、なんでもないよ。漣先に上がってて。わたしもすぐ出るから」
「・・・・・・・・・・まだならええよ。うちもあんたに付き合っとくから」
・・・・それ余計・・・
「い、いいよ先に出てて」
「何言うてんねん。あんたとうちの仲やん。一緒に出よ」
・・・・うー、駄目だ。
この子こうなると絶対わたしが出るまで待つ子だ。
「・・・わかったよ、出よう」
「え?もうええの?」
「うん。出るよ」
「ふあー!さっぱりしたなー!」
「・・・・・・・そだね」
うううう〜〜〜〜〜
神様不公平。
わたしの方が年上なのにどうしてわたしの方が成長遅いの?
こうして横になるとわたしの方が年下ぽいよぉ・・・
しかも漣って・・・・・胸大きいのに腰わたしよりも細いし・・・・・・・
「玲奈牛乳ちゃんと飲んどるん?ちゃんと飲まんと成長せぇへんでー」
「・・・・ほっといて」
「そうはいかんて。これからご飯食べにいこ」
「・・・・・また西山飯店?」
「あたぼーや!あそこの杏仁豆腐食べんで乙女は勤まらんで、玲奈」
「・・・・嫌いじゃないし・・どっちかっていうと好きな部類に入るけど・・・」
一週間同じものを続けるのはちょっと・・・
「いこいこー!」
・・・・・・もう。
でも、しょうがないか。
漣と一緒にこうしていられるのももうすぐ出来なくなるかもしれないもの。
〜その2・運命〜に続く