――私立高校に行ってみたら、何かよくわかんないうちにとりあえず就職できた双月先生!
何てロングショット・ガイ! そんな先生の幸福は多分三丁目の向こうらへんに!
とっとと記憶を取り戻せ先生! ついでにねぐらも確保しろ!
■ 私立ぷそ学園。■
〜寮生活編〜
第一話
九重「それでは明日から、二年六組を受け持ってもらうでござる。
あそこは今まで、学級担任がおりませなんだゆえに」
双月「聞けば聞くほどアバウトですね」
九重「しっかりやってくだされ。まあ気負わずテキトーに」
双月「どっちだ」
採用教科書一式をもらったはいいが、何か忘れてる気が。
はたと気付いた。
双月「そう言えば俺、何処で寝れば」
九重「ああ、それでしたら寮があるのでそちらをお使いになるとよろしかろう。
狢屋(まみや)君――」
海乃「(※いきなり背後から)――ははっ! 狢屋海乃、ここに!!」
双月「どわあっ!!?」
振り向くと、赤いジャージにバンダナを巻いた女生徒がひかえていた。
……ひかえて?
学園モノだろコレ?(※その通りでございます)
九重「先生の担当する二年十三組六ホームの副委員長、狢屋海乃でござる。
くだんの寮生でござれば」
海乃「委細は先程来、身をひそめて聞いてましたっ。よろしくお願いしますっ!」
双月「…………………」
九重「ああ、彼女の言動がちとおかしいのは時代劇の影響でござって」
アンタが言うな。
海乃「さ、先生。『侯爵寮』へ案内しますっ」
S.C「(※ぐるんとカメラに向き直って)……なんとなくオチとしては読めてたデショー?」
ギルガン「HAHAHA(笑)」
第一話 完
第二話
校舎に負けず劣らず、無駄にデカい寮だった。
玄関も、デカい。
廊下も、デカい。
部屋も、デカい(※夢枕獏調)。
海乃「――さあっ双月先生っ、こちらですッッ!!」
………………コイツの声が一番デカい。
つーかお前、なんでそんな無駄に元気か。
第二話 完
第三話
勇 「や。双月さん」
む、七本槍じゃないか。
と、言うことはコイツも寮生か……?
勇 「……その顔は今この瞬間、何かに不満を抱いた顔」
お見事。
双月「いやまったくの誤解。それよりここで寝泊まりするよう言われたんだが……」
勇 「ふうん……じゃあ一階かな? 教員専用室もあるし」
双月「そうか。まあ、よろしく頼む」
勇 「うん、こちらこそ」
ところで。
双月「…………オマエはナニをやってるんだ、狢屋?」
海乃「はっ、影に潜んでいるところですっ」
双月「何故潜む必要があるか」
海乃「先生の御下知をお待ちしておりますっ。九重先生より任されました由、この二年六組副委員長狢屋海乃、一命に代えましても必ずや先生を部屋までお連れして――」
双月「……こんなんだらけなワケか、ここは」
勇 「早く慣れることをお薦めするよ」
否定しろ。頼むから。
第三話 完
第四話
案内された部屋は、かなり広くて清潔そうだった。
狢屋は案内し終わるなり、「それではこれにてッ」とモノスゴイスピードで走り去っている。
難儀だ。
勇 「ベッドとクローゼットはあるから。……何か必要なものはある?」
双月「特に今は思いつかないが」
勇 「あったら僕に相談して。
どーせ貴方は宿なし記憶なしで挙げ句に金もなしなんだから、用意できそうなものは相談に乗るよ」
双月「……事実って、時に残酷なホド腹立つな」
勇 「気にしない。じゃあ今夜からよろしく。
明日から授業もよろしくね、双月先生?」
双月「――む、そうそうあったぞ教えて欲しいこと」
勇 「なに?」
双月「俺の教科って何なんだ」
勇 「僕に聞かれてもなー」
聞くの忘れてた。
双月「そーか、コレが一話の伏線に」
勇 「……いやその手のハナシは思っても口に出さないが無難だよ。
あ、いっそ全教科履修しとくってどう? 便利がられること請け合い」
双月「殺す気か」
第四話 完