■不定型な愛情/もしくは誰もが陥りやすい憂鬱について■
吐息。
少女が小さく息を吐き出したのを、ナインヘッドのセンサーは敏感にとらえていた。
普段の呼吸よりも、こころもち大きい程度の吐息だった。深呼吸というほどでもなかったが、意図的に大きくしたものなのは間違いなかった。
「どうかいたしたか、お嬢? ……ため息などと」
ナインヘッド――『Ninehaed5426』は、アンドロイドである。
無骨な装甲を貼り付けたボディに内蔵された、二基の光子ジェネレーターで稼働する。エネルギーは成形された光子ペレットで、フルチャージで通常行動なら約一千時間、戦闘行動なら百五十時間が可能。当然その活動において酸素などまったく必要としない。
しかしながら、同時に彼に組み込まれた複数のAIたちは非常に優秀だった。
息のつき方と一瞬かいま見えた表情を、今までの対人蓄積データから参照して「ため息」であると瞬時に判断、その大きさからして自分にもメッセージ性が――つまりは「どうしたのか聞いて欲しい」と無意識に思っている――あることを予測、対人用として機能している統合AIに至っては、ため息をついた少女を「心配」すらしてみせた。
「あー、……ううん、どうってコトない……」
「そうでござるか……? いやしかし……」
「そんな大げさなコトじゃないの。……んと、ちょっとだけね」
少女はナインヘッドに振り返って、苦笑してみせる。ナインヘッドの胸までしかない背丈だったので、見上げるようなかたちになった。
メインモニタで少女と「目を合わせ」ながら、ふとナインヘッドはサブモニタのひとつがとらえたものに気がついた。
カウンターをはさんで少女と向かいあっている店員も、少女と同じ苦笑を浮かべていたのである。
「申し訳ございませんね、お客様」
二十代後半くらいと思われる女性の店員は、いくぶんかくだけた口調でそう言った。
「あ、いいよいいよ」と、少女はあわてて手を振る。
ふたりがいるのは、宇宙船の中だった。
移民船団十三番艦『アンブリエル』の、第六居住ブロック。
その中にある複合ショップの一角で、装備を調えているところだった。今から約一時間後、惑星上へギルドの依頼で調査に向かうことになっている。
調査前の支度時――アイテムショップ――店員の謝罪――「大げさなコトじゃない」――。
ナインヘッドは状況から推測して、すぐにいくつかの「原因」を仮定した。
「何か、手に入れたかったものがあったでござるか? 回復剤? それとも精神賦活剤で――」
ハンターたちが使用する各種の賦活剤は、病院で使われているものと異なり即効性である。
技術が進んで、肉体や脳細胞を活性化させる薬剤はすばらしい進歩を遂げた。
文字通り死に至るような深刻なダメージも瞬時に「修復」する薬も開発され、それが常に危険と隣り合わせのハンターたちにとっての必需品となるまで、それほど時間はかからなかった。
ただ、強力な薬は手に入りにくい。
医療機関ですら、賦活剤は重要な手術中くらいにしか使わない。ところがハンターたちの場合は、仕事によっては一回でそれを湯水のように使用「しなければならない」事態にしばしば直面する。特にラグオルに降りての調査となると、その危険度は通常の仕事の比ではない。
需要と供給のバランスが崩れている――。
各種薬剤が品薄になりがちなのには、そういった理由があった。
「だ、大丈夫だよ。ボクは別に」
「そうはいかぬ。装備をきちんと調えぬまま仕事をされたのでは、いつ何時――」
少女はなぜかぱちくりとまばたきをした後、
「――あ、ううん、違うの。ただ、マグちゃんの……」
と、あわててナインヘッドの言葉をさえぎる。
「……マグ?」
ナインヘッドは頓狂な声を出してしまった。人間であれば、眉のひとつもつり上げているところだ。
関連性を見つけだすのに、たっぷりコンマ一秒ほどかかった。
「マグの食料……でござるか?」
「ん。この子ね、ソルアトマイザが好きなんだよ」
少女はにっこり笑って、ウェストポーチをぽん、と叩く。
今はそこに入っているらしい。確かに少女の「それ」は、けして大きくはないそのポーチにすっぽりと入ってしまうくらい小さいものだった。
「また、変わった好みでござるな」
「喜んでくれるんだー。――こう、ぴょんぴょんって」
「ほほう」
ナインヘッドはセンサーのひとつをちかり、とまたたかせて応じた。
つきあいの長い少女にあてた「表情」だ。人間で言うところの「苦笑」にあたる。
少女の「それ」に対する態度は、まるで自分が可愛がっているペットを自慢する飼い主のようだった。
――まあ、無理からぬ、か?
ボイスモジュールには通さずに、ナインヘッドはそう考える。
『マグ』というが、「それ」の総称だった。
少女やナインヘッドを含むハンターたちが必ず持っていると言ってもいい、半自立型の防具である。――と言っても、一般概念的な「防具」とはかなり異なる代物ではあったが。
少女が「防具」であるはずのそれを「ちゃん」付けで呼んだのは、あながち少女の性格だけに起因するものではない。それはナインヘッドも店員も知っている。
一言で言うならば、「生きた防具」である。
有機的なフォルムをしているわけではないし、吠えたり喋ったりするわけでもない。ただ確実に、それを「生きている」とするいくつかの根拠があった。
ひとつ。自力で浮遊し、何も言わなくとも使用者について廻ること。
ひとつ。使用者が特定されていない場合、勝手に動き回るらしい目撃証言があること。
ひとつ。周囲の光子を吸収し、スペクトルを変換したあと吐き出す――あたかも呼吸しているかのごとく――作業を規則的に行っていること。
ひとつ。脳波に似た波形の電磁波が、微量に検出されること。
ひとつ。その波形が、使用者の脳波と同調しているらしいこと。
ひとつ。使用者の身に危険が迫ると、使用者の身を守ろうとするかのような行動をとる例が確認されていること。
それらの根拠と、原理がいまだに完全には解明されていないということもあって、学会では未知の珪素寄生体ではないかという説が根強い。もっともハンターたちはそんなことをまったく意に介さず、危険性など疑いもせずにマグを使っているが。
そして何より、『マグ』が「生きている」のではないかと思わせる点が、ひとつ。
「食事」をすること。
一日に何度か、水素を中心とした化学反応物を取り込ませることができる。これは使用者が行った場合のことだが、すぐ近くにあった反応物を自力摂取したケースもあった。
強力な反応を引き起こすものを取り込めば、それに応じて『マグ』もわずかづつ変化する。食物を食べた生物が成長するのに、それはよく似ている。
水素を中心とした、強い化学反応物。
すなわちハンターたちの使用する賦活剤こそ、『マグ』の食料にもっとも適したものだった。ハンターと『マグ』の共生関係において、ハンターが与えるものがこれなのだ。
『マグ』はその見返りとして、様々なものをハンターたちに提供する。
使用者の身体能力の増幅、周囲に展開する光子フィールドによる防具としての能力、圧倒的な破壊力を発揮する光子放射による自衛攻撃、フォトンブラスト――。
そう。
結晶加工後の技術ならともかく、人間ではフォースがかろうじて行える程度の光子操作を、この『マグ』という存在は常時行っている。それは常にハンターたちを助けているし、ハンターたちもそれを知っている。
ゆえに『マグ』に愛着を持つだけでなく、愛情に近いものを注ぐハンターも決して少なくはない。少女はその典型だし、ナインヘッドですらマグとの関係を「もちつもたれつ」だと思っている。
すこしがっかりした様子の少女の横顔をながめ、ナインヘッドはいくつかのことを検討した。
いくばくかの逡巡のあと――。
「……ソルアトマイザなら、拙者の蓄えがいくらかあり申す」
「――ホントにっ?」
名残惜しそうにショップのカウンタを見つめていた少女は、その一言にばっと振り向いた。
戦術AIのデータ検証によれば、その反応速度は戦闘時の少女のそれを超えたとか何とか――どうでもいいことだったが。
「いや、拙者には必要なきものゆえ……」
ソルアトマイザは、およそ人体に悪影響があるとされるほとんどの有害成分を中和してくれる。菌類や毒物はもちろんのこと、強い電磁波や放射能、高濃度酸素などまで。
もちろん、純戦闘用として造られたナインヘッドには一切無用の長物である。
「ねっ、ねっ、ちょっと分けてよう」
「それはいっこうに構わぬのでござるが……」
それを持っていたのは、純粋に人間の相棒――今回の少女のような――がそういった有害な物質に犯されたときの用心にすぎなかった。使用するかどうかもわからない解毒剤や抗放射線剤を多量に持ち歩くよりは、という程度のものである。
もともと少女のために持ち歩いていたものだ。少女が必要だというのなら否やはない。
ただ、一応釘は刺しておくことにした。
「ただし、あまり使いすぎぬよう。もしもの時があっては、拙者ではどうにもできませぬからな」
「いやー、わかってますわかってます。もー全然。
よかったねえマグちゃん。ほれほれかいぐりかいぐり」
あまり効果はないようだった。
惑星地表面の温暖な気候は、極点以外では年中ほとんど変わらない。
第一期植民団から入植調査時にもたらされた、この惑星ラグオルのデータのひとつがそれだった。大気の組成率も、やや窒素がすくない程度で地球と変わりない。重力は惑星の直径に比例してほぼ完全なる1G、紫外線強度も低く、地球との環境適合率は九〇パーセントを超えている。
――なのに、どうしてこれほど違う生物が生まれるのでござろうかな――。
ナインヘッドの統合AIは思った。
他のAIたちは周囲の索敵と警戒ランクの引き下げ協議とにやっきになっていたが、どのみち戦闘警戒中、統合AIにできることとなどほとんどないに等しい。せいぜいが「黙考」くらいのものだった。
ちょっとした戦闘が終了していた。
『アンブリエル』と惑星とをつなぐ転送ゲートを出ていくらも進まないうちに、惑星の現住生物たちに集団で襲われた。今回の任務は安全領域の調査のはずだったのだが、早くも安全ではないと証明されたというわけだ。
「……んー、B502ブロック、ばってん……と。
どーするナイさん? もうすこし進んでみる?」
チェック用ボードのタッチパネルにちょんちょんと触れながら、少女はそう尋ねてきた。自らが切り倒した大木の切り株に腰掛け、すぐ横の地面に大ぶりの竿状武器を突き刺していた。
つい今し方、その武器をふるって現住生物たちを――そのついでに周囲の樹木も根こそぎに――切り刻んだ人間と同一人物にはとても見えない。そのギャップにわずかばかりとまどいながら、
「左様でござるな……調査指定エリアは一応、すべてチェックしておいた方がよろしかろう」
少女をモニターに捉えつつ、応じる。
「入り口近くでこんだけ襲われちゃってんだから、ムイミなんじゃないのー?」
少女の肩のすぐ上に、ちいさな金属塊がふわふわと浮いていた。ふたつの突起をつけたような手の平大のそれは、ときおりくるりとまわっては緩慢に上下運動を繰り返していた。
少女の『マグ』である。
幾多ある識別コードで、『カバンダ』と呼ばれるタイプだった。ナインヘッドのデータが確かなら、西暦期の神話に登場する生き物の名前だ。
――精気を吸う、よこしまな竜の名……でござったか? また似合わぬことでござるな……。
「でもござらんよ。後発のハンターたちのためにも、安全地帯と現住生物たちのテリトリーを調査しておくのは重要でござるし」
少女が怒り出しそうな感想については、音声にはしないでおく。
自分に表情が存在しないことを、この時ばかりは設計者に感謝した。
「そだね。じゃ行こっか――と、その前に」
立ち上がりかけた少女が、ごそごそとウェストポーチをまさぐった。
ややあってポーチから取り出されたものは、数時間前にナインヘッドが渡したアトマイザだった。
「ちょっと早いお昼とシャレこもうかにゃー♪」
肩越しにマグに話しかける。語尾は猫なで声だった。
ナインヘッドは自分の設計者の顔を思い出し、口には出さずにその偶像に話しかけた。
――何故、拙者に表情をつけてくれなかったのでござるか。
そうすれば「半眼で呆れられた」のに。
『二十五秒前の統合頭脳思考ログに矛盾存在/思考ルーチンの自己診断を行うか?』
――ノーサンキューでござる。……というか、いい加減この手のシャレにつっこむのはやめてくれぬかご同輩……。
ナインヘッドの感情マトリクスを一手に引き受ける統合AIが、ボディのオートメンテナンスも管理している戦術AIのひとつと管理権限の行使について話して――もしくはツッコミにツッコミ返して――いるうちに、少女がマグに「食事」を与えていた。
アトマイザのプラスチックアンプルをぺきんと折って、マグに差し出す。本来なら大気と反応してあっという間に気化、使用者の周囲に拡散するはずのアトマイザは、すべて気化した端からマグにむかって吸い込まれていった。
「えへへ、おいし?」
嬉しいのかどうか、先刻の少女の言葉通りに上下にぴょんぴょんと跳ねている。にこにこと笑いながら、少女は二本目のアンプルを取りだすのが見えた。
奇妙ではあるが、なかなかに微笑ましい。
『実行拒否了承/
統合頭脳からの要望についての回答:自己診断は基本並列処理の項目のひとつであるため削除不可能/処理フレームの組み直しを行いますか? パスコードを提示してください』
戦術AIからの返答は、時と場所を選んでくれなかった。ついでに雰囲気も読んでくれない。
――前々から思ってござったが、……お主わざとやっておらぬか? 半世紀前の人工知能だってもうちょっと融通が利く……。
『統合頭脳からの質問についての回答:仕様』
――そういう態度がわざとだと言っておるのだ、拙者はっ!! お主らやはり感情マトリクスを持っているな!? 答えろっ。きりきり答えんかっ。
『統合頭脳からの要望についての回答:必要性なし』
こういうのも「葛藤」というのだろうかと、ナインヘッドが思っていると――。
「――ああああああああああっ!!?」
いきなり森に響き渡った少女の絶叫が、ナインヘッドを即座に戦闘態勢に置き換えた。
パートナーの悲鳴確認/敵性反応なし/エネルギー反応なし/探索範囲に状況の変化なし/原因予測/ネガティブ/可能性検索/ネガティブ。
――何事でござるか!?
戦術AIたちが一斉にフル稼働するなか、統合AIは突如大声をあげた少女に声をかけようとする。管制AIたちは予備警戒態勢を準警戒態勢に変更され、光子コントロールシステムを解放、ジェネレーターを全開に。
この間コンマ一秒以下。
コンマ五秒後に、少女の第二声をセンサーが確認した。
「マグちゃんが――変わっちゃったようっ!!」
並列リンクされた九基のAIが同時にずっこける感覚は、ナインヘッドの人生でも初めての体験であった。
「どどどどどーしようナイさん! わっ、わっ、なななんかヘンなカタチにっ」
地面に突っ伏しているナインヘッドには気付かずに、少女は慌てている。少女の肩に浮いていたマグ、『カバンダ』は見る見るその容積を膨らませ、ふたつに分離し、両肩に並んで浮遊する。
――マグの適応変性でござるか――。
変化した状況と能力に対応して、自己の形状を光子結成レベルで変化させてしまう、マグの能力のひとつだった。ナインヘッド自身、自分のマグに起きたそれを何度か目撃している。
横長な金属質のボディになったマグを、ナインヘッドのサブモニタが捉えた。
ちなみにメインモニタは、地面に突っ伏していたので見えない。
今まで確認された形状データと照らし合わせ、識別コード検索。すぐに戦術AIから回答がくる。
識別コード『カーマ』。西暦期の民話においては愛情と性愛を司る神らしい。
初見のナインヘッドの感想としては、「これのどこが?」だったが。
――この肩部ハードポイントにマウントされた、二連装砲が?
そっくりだったが、声には出さない。世界が終わったかのような表情で悲嘆にくれている少女に、その言葉は止めに近いだろう。
ぐっとこらえて、
「ま、まあ……ただの適応変性ではござらぬか。お気になさらず……」
「かわいかったのにぃ……ゴツくなっちゃったよう……」
あやすように言ったセリフも聞いてもらえなかった。半べそだ。
「カタくて太くておっきいのになっちゃったよう……」
「………」
――何となく、わかったでござる。
識別コードとの因果関係に関して、統合AIは奇妙な部分で納得した。
それはそれで問題があるような気もしたが、とりあえず先手はうっておくにしくはない。
『四十一秒前の統合頭脳思考ログに』
――のーさんきゅー。
その日の任務は、完全に遂行された。
行く手を阻む現住生物のことごとくは、木っ端微塵に粉砕された。
――怒りのはけ口にされた、というのが正解でござるが。
ナインヘッドは、今回に限って彼らに同情した。
「〜♪ 、〜〜♪」
鼻歌が疑似聴覚用の振動センサーに聞こえてくる。少女のものだった。
「〜♪ ……かわいいなー」
両手で大事そうに持っているのは、当然『マグ』である。
そして当然ながら――『カーマ』ではなかった。
ふたつに分かれていた細長い形状は星型のそれに変わり、ぐっとサイズを縮めていた。味気ない灰色のボディが鮮やかなパープルになったのも原因のひとつかもしれない、とナインヘッドは思う。
「……拙者思うに」慎重に言葉を選ぶ。「お嬢のマグは形が変わっただけであって、その能力が変化したわけではなく、さらに此度の変化はどう考えても適応変化では……」
ナインヘッドの言葉に間違いはない。
任務が終わりに近づいた頃、自棄を起こした少女に変わって、ナインヘッドが少女のマグに「食事」を与えた。その際に少女のマグが変化したのである。
識別コード『マドゥ』と呼ばれる種類だったが。
ナインヘッドの戦術AIは、満場一致で「適応変化ではない」と判断した。過去のあらゆるデータを参照しても、少女のようなニューマンのハンターが持つマグがタイプ『マドゥ』に変化した例はない。
つまり少女のマグに起きた変化は、「本当の主以外から与えられた」食事にあくまで一時的に反応しただけに過ぎず、「本当の主から与えられる」食事で――。
「あー、いいのいいのー。可愛いもん」
聞いていない。
『今より推定二十二分以内に、パートナーの感情が著しく変化する可能性99.97%』
『危険度AAA。周囲予想被害AA+。こちらに危害が及ぶ可能性97.2%』
『準戦闘モード移行/緊急退避を戦術頭脳より提唱』
戦術AIが、我先にと危険を警告してきた。
少女がにこにこしながら、ウェストポーチのひとつに手をかけた。
何をしようとするのか、ブーマでも理解できる。
その後、どんなことが起きるかも。
ナインヘッドの統合AIは、もう何も言わずにボディの操作を管制AIにゆだねた。
――みんな、こんな想いをしてるのでござろうか?
『マドゥ』に近づけられる、ソルアトマイザのアンプルをサブモニタで――何故かモニタの中では『危険』コードが明滅していたが――確認しつつ。
ナインヘッドは、全力でこの場を離脱した。
自分が「半眼で呆れられない」ことを悔やみながら。
了