「風を愛する少女・風に愛される少女 〜試験の章〜」


・・・・・・・きつい・・・
やっぱり坑道も下階層にくると・・・攻撃も激しさを増し
てくる。
・・・・でも!
ここまできたんだもの・・・頑張らないと!
1エリアから2エリア。
ギルチックやカナデイン、シノワビートやゴールド。
いくつもいくつも破壊してここまできたんだから!

部屋に足を踏み入れた途端、真っ暗になった。
どこかにスイッチ・・・・ううん。
それよりも先に熱源を察知したからそっちの方を片付けて
おかないと。
・・・・数は2体、一つずつ確実に・・・

ピピッ

・・・よし。
方角はこっちで合っている。
あとは照準を・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・駄目!

風を感じられない!

わずかに全身を撫でてくれる風がわたしに距離と自信を与
えてくれていた。
でも・・・・・今は・・・・感じられない!

わたしを包む装甲が、風を妨げている!
暗黒ゾーンは上のエリアでもあったけど、あっちはまだ明
るかったから距離を掴めた。
でもここはさっきよりも全然暗い!読めない!

ど・・・・どうしよう・・・・

でも・・・・やらなきゃ!

落ち着いて・・・・出来るよ、絶対に。
だってずっとやってきたことじゃない。
照準に的を合わせて引き金を絞る。
小さい時からずっと当たり前のようにやってきたこと。
出来る。うん、出来る!

ターゲットにロック・・・え?うそ!

ウ”ン・・・・・ジャキッ ジャキッ

起動している?そんな、確かに位置合わせはしたはずなの
に!
と!とにかく撃たないと!

ピキュ!

バジイッ!

「あうううっ!」
あっちのレーザー、早い!胸に直撃受けた!
た・・・態勢を・・・

ウ”ン・・・・・ジャキ ジャキ・・・

も!もう一台の方も!
いいいいい急がなきゃ!

ピキュ!

危ない!

ブゥン・・・

・・・・ふぅ、今度はかわせた・・・と。
態勢も立て直せたし、お返しよ!

暗闇に潜む熱源に向けて・・・・一発あれば!

ビシュン!

ガギン!・・・・・ドォォォン!

やった!次は・・・・こっち!


・・・・・・・・・・・どうやらこれで全て片付いたみた
い。
安心して明かりを入れられる・・・・・ぽち。

回りにはギルチックの残骸と、落とし物がいくつか。
物色してみる・・・・たいしたものはないみたい。
次のエリアに・・・・・え?

ヴン・・・・!

うそぉ!
ど、どうしてまたギルチックが出てくるの?

で、でも冷静に。
距離を取るために移動・・・・・・武器選択。
敵は4体、ちょうど課題の4体だ!
よっし!なら構えるのはクラッシュバレットで!
う・・・重いよこれ・・・何とか腰溜めに構える・・・・
さ、きなさいっ!

ジャキ・・・ジャキ・・・

まだ・・・まだ・・・・

ジャキ・・・ジャキ・・・ジャキ・・・

今!いけえええええっっっ!

バヒュン!

ゴゴゴゴゴンッ!・・・・・・・ズズウ・・・・・ン!

・・・やったああ!課題クリアだ!
これであとは・・・・

ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン

え?まだワープアウトしてくる敵が?

ウゥゥゥゥゥゥ・・・・・

ギャ・・・ギャランゾお?
こ・・・こんなのが・・・・と、とにかく!
態勢を立て直すためにも小部屋に入って・・・・

ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン

こ、こっちにもぉ?
って!足止めたら駄目!こいつらにはミサイルが山ほど積
まれているんだから!

ズドッ!ズドッ!・・・・ズドドドーーーーン!

きゃうっっ!
・・・・・いったぁ・・・背中直撃ぃ・・・
は、早く・・・・部屋に・・・・ふぅ。
とりあえず一息つこう。
損傷は・・・かなりひどい。
あと一撃どこかに受けたら多分終わり。
かといって回復アイテムはもうとっくになくなっちゃって
る。
これで、この状態でギャランゾを2体破壊する必要がある
ということ。
・・・きっついなー・・・
でも、多分これで終わりだと思う。
突き当たりの小部屋がきっとゴール。
頑張ろうっと!

では、気を取り直して・・・

最初のーーー近くの一体は楽。
ヒットアンドウェイの繰り返しでいい。
当てて、隠れ。
当てて、隠れ。

ズドドドドォオオオンン!

よっし!簡単簡単!

問題は・・・・もう一体の方。
遠いけど、射程がギャランゾは長いから。
わたしもうまくすればあっちに気づかれることなく当てて
いけるんだけど、今は無理。
風が教えてくれるいつもなら出来る。
でも、今のわたしは装甲に身を包んでいるから風を感じる
ことが・・・・・・・え?
うそ!?感じられる!
胸の一部と・・・・背中から。
・・・・そうか!
ギルチックやギャランゾの攻撃で装甲が割れてるんだ。
そこから風が入り込んでくるんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・これなら!

慎重に進む。
一歩、一歩距離を詰める。
風が教えてくれる。
距離を。
風はわたしに色々なことを教えてくれる。
優しく吹いてくれる時はわたしに力を与えてくれる。
厳しく吹いてくれた時はわたしに試練を与えてくれる。
今吹いている風は、背中の方から流れてくる。
優しく、わたしを落ち着けてくれる風。
そして、撃ち出す弾丸に手を貸してくれる風。

足を止める。
ここがぎりぎり。
ギャランゾのセンサーにはかかっていない。

風に見守られながら、わたしの弾丸はギャランゾを破壊し
ていく。
上部装甲をはぎ取って。
内側もはぎ取って。
そして剥き出しになった内部装甲に、止めの一撃を撃ちこ
んだーーーーーーーーーーー。

風さん・・・・ありがとう。


「お疲れ様。これで試験は終了だ」
「・・・・・・ありがとうございました」
わたしの予想どおり、小部屋には30才ぐらいの試験官さ
んが一人いて、紙にいろいろ書き込んでいた。
「じゃあそこにあるテレパイプを使って帰って。合否の通
知は家の方に送るからね」
うう・・・・嫌な時間になりそう。
「えと・・・・来るまでどのぐらいかかります?」
せめてどれぐらい待たされるのか聞いておきたい。
「うーんと・・・そうだなあ、三日かからないと思うよ」
・・・は、早っ!
あまり長く待たされるのも嫌だけど、ここまで早いのもそ
れはそれで嫌だ・・・
「・・まあ君は大丈夫だと思うけどね、課題は全てこなし
ているし」
眼鏡をかけた試験官さん、わたしを安心させようとしてく
れている。
でも・・・気休めにもならないですよぅ・・・
・・・・・・・・・・帰ろう。
「それでは失礼します」
「はい、お疲れ様」

ヴオン!

テレパイプを起動させ、転送ゲートに体を入れる。
試験官さんに頭を下げて、わたしは試験の場をあとにした

どんな結果が待っているんだろう。
大丈夫だよね。試験官さんも「課題は全部こなしたから」
、って言ってくれたし。
でも・・・・装甲こんなにぼろぼろにしちゃったのは減点
対象だろうなあ・・・・・
駄目だぁ。
欝になっていくから・・・・・戻ったらシャワーでも浴び
て気分を変えないと。
早くこの装甲脱いで、全身で風を浴びたい!

光の渦はわたしを抱いたまま、ゆっくりと上に登っていく
ーーーーーー

試験の章ーーーーおしまい。



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