とーるさん作・掌編
ショートカット
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1.
「……まず1歩。先は長い」
「いやぁ、そんなに慌てることもないと思うよ。まだ単独行動だけで、あそこの連中とも会うことはないしね」
「……」
「大丈夫、キミが所属していた傭兵部隊の元隊長……キャラダインだっけ? 彼女をどうこうしてくれなんていわないから」
「それは関係ない。敵なら倒す、味方なら守る。それだけ」
「……はぁ、プロフェッショナルなこと」
「それより、ティーニャは欲しいものがある」
「ん? 何?」
「……やっぱり、銃より弓と矢の方が……」
「……槍(ハルベルト)は手に入ったんだからそれで我慢してよ」
2.
[……私、生きてる……の?]
「自意識を保っている、イコール生きている、でいいならその答えはイエス。五体満足で、ということならノーだねぇ」
[そっか……なんで、生き残っちゃったのかな……]
「そりゃあれだろ? 『黒の魔女』がかばったから」
[だからっ……なんで私なんかをかばってっ! 姉さんがっ!!]
「……執着、かねぇ? ボクは当事者じゃないからわからないけど、少なくともキミの命を犠牲にしたいと思わなかったのと、キミにさえ譲りたくないものがあった、ってことじゃないのかなぁ?」
[……]
「で、どうする? このまま安楽死、ってのもアリなんだけど、ボクもさすがにそれは寝覚めが悪い。ニューマンの神経系は強化されているから、数ヶ月我慢してもらえれば元どおりの体を作ってあげることもできるよ?」
[……]
「なんか、うれしくなさそうだね」
[私じゃなくて、姉さんが生き残るべきだった。『黒』の為でもあるし、『闇』の真理を解き明かすために、絶対に必要な存在。姉さんは自分の重要性を分かっていない!]
「そーはいうけどねぇ、まぁ、絶対者というか強者の驕りというか、とにかくそんなもんでしょ、キミを守ったのは」
[……っ]
「残されちゃって拗ねる気持ちも分かるけどねぇ。ボクだって、光子の結晶化技術に関してまだ教わってないことがたくさんあるのに、勝手に逝っちゃったんだもん。悔しい半分、惜しい半分ってとこ」
「さて、どうするの、『紫電の魔術師』さん?」
[そんな名前で、金輪際私を呼ばないで]
「とはいえ、これはキミの二つ名だしねぇ」
[姉さんの助けになると思ってテクニックのレベルを上げてきた。でも、それは何にもならなかった。だったら、そんなものいらない]
「……昔から思い込んだら一途だったけど、また今回は徹底してること……」
[再生はしてもらうわ。でも、クローン再生じゃなくて、新しいボディを創って欲しいの]
「……ボクに改造手術をしろと?」
[死人すら蘇らせる『創造主』が何をいっているの?]
「みんな僕を買いかぶりすぎる。誰も無から有なんて作り出せない。そんな風に見えるものも、絶対に理論という名前のタネが存在する。魔術なんて存在しないのさ」
[それでも、あなたが生命工学と生体機械工学の権威であることには変わりはないわ。おねがい、私に新しい体をちょうだい]
「で、機械の体を手に入れたら、キミはどうするつもりだい?」
[姉さんが追いかけていたもの、それを探す。なんで私だけが生き残ったのか? その答えはきっとそこにあるから]
「……了解。何とかしてみよう。
次に目を覚ますときは、きっと新しい体だよ。それじゃ、おやすみ」
「で、どうするの? あんな風に追い詰めるぐらいなら、助けなかった方がよかったんじゃない?」
「生きている方がマシ? 何も成さずに死ぬよりも? それはずいぶんと手厳しい」
「まぁ、イシャム君も表舞台からは姿を消して、あそこも様変わりしたようだし。
どうせ、ボクに出ろっていうんでしょ? ……やっぱり」
「期待にこたえられるかどうかはわからないよ? ……あなたならできる? またそういうことをいう。そんな風に人を動かすから、魔女だの何だのって呼ばれるんだよ。わかってるの?」
3.
今廃棄場から奇跡の生還……じゃなかった奇跡の死に戻りをー!
……て言うかねー。あのD因子敵性体はナニゴトなの。わたしこれでも最新型なのにー。
踏まれて壊れた。びえー。
だいたいねーあんなデカいのにブラディアートいっちょでどーやっ
――がす。
(※機密保持のため音もなく近付いてきたキャラダインが振り下ろすフォトンランチャーの巨大な銃身の一撃)
「くだんのエリア、なかなか手強いようよ? 『黒』のお手並み拝見と行くわ。
……どーでもいいけど重いわね」
(※怪しげな流し目と共にずーるずーるとブレイカーの落ちたヒューキャシを引きずっていくキャラダイン/フェードアウト)